君の自由を奪い奴隷にできる法が成立したら?
映画『それでも夜は明ける』を鑑賞しました。
本作は、実在したヴァイオリニスト、ソロモン・ノーサップの手記 『Twelve Years a Slave(12年間の奴隷)』を基にした作品です。
舞台は1841年のアメリカ。
南北戦争よりも少し前ですね。
当時のアメリカは、南部で黒人が奴隷として扱われていました。
主人公のソロモンは北部で生まれ、教育を受け音楽をなれ親しみヴァイオリニスとして妻と娘と共に生きる一人の黒人男性でした。
こういった人を当時は自由黒人と呼んでいたそうで、法的に奴隷ではない黒人という地位にあった人々を指します。
商業的な作品ではないにも関わらず、第86回アカデミー賞の作品賞をはじめ、様々な映画賞を受賞した作品です。
詳しく解説していくよ!
同じ目線で奴隷を体感
本作は、奴隷ではなかった北部の黒人が南部に売られてしまうお話です。
これまで奴隷の経験などなかった自由な黒人が、全く新しい経験として、奴隷としての扱いを受けます。
なので、観客と同じ感覚で、驚いたり、心を痛めたりするんです。
意外とこういう映画って、珍しい。
ホラーとかアニメなら、捕まって監禁・奴隷みたいなパターンもありますが、本作は何と言っても実話ですからね…。
なぜ敬虔なカトリックが奴隷を?
本作に登場する南部の奴隷主の白人たち。
彼らは敬虔なカトリック教徒です。
聖書を空で言えるくらいの。
キリスト教では罪を犯したら天国にいけないはずですよね?
じゃあ人を奴隷にしてこき使ったり、暴力的な振る舞いをしたりするのは罪にならないの?
そこが一番恐ろしいところ。
当時のアメリカ南部では、黒人は人ではないということにされていたんです。
南部では黒人は家畜と同じで、医者も獣医に見せていたという話もあります。
敬虔なカトリックだから、人間に酷いことをしてはいけない。
それを正統化するために黒人は人ではないと思いこむしかなかったんですね…。
映画を観ていると、これを真に受けている愚かな人もいれば、
「いやいや、人間でしょうよ…」
と捉えている人もいたんだろうなってことがよく分かります。
製作 ブラッド・ピット
本作には製作・出演にブラッド・ピットがいます。
映画の役もめっちゃいいんですが、最近彼は製作者としても素晴らしい映画を数多く手がけています。
プランBエンターテインメントという会社を2002年に立ち上げ、それからは本当にいい映画をたくさん世に出しています。
『チャーリーとチョコレート工場』『ディパーテッド』『キックアス』『マネーショート』『ムーンライト』『アドアストラ』『SHE SAID』などなど…。
社会的にメッセージ性が強い作品も、ガンガン出してて攻めてる感じがとってもいいです。
本作『それでも夜は明ける』はその象徴的な作品。
多分相当ブラピ自身が差別や社会問題に関心が高いんだと思います。
ブラピはミズーリ州の出身。
ミズーリ州は奴隷制度の賛成反対に分かれていたんです。
で、彼の母親は実は黒人差別する派、白人至上主義の人なんですよ。
ブラピの母親はオバマ大統領を批判して新聞に投稿するほどの人だったんですけど、ブラピはオバマに寄付するほど、母とは反対の思想をもっていたんですよね。
この一件からもわかるように、2013年当時も、オバマを批判するのは南部出身の人たちだったので、潜在的なものは何も変わっていない。
だから作る必要があった。すごい勇気だなと思います。
ブラピの出演シーンはそれほど長くありませんが、差別に対するその思いが深く表れており、必見です。泣けますよ。
監督・キャスト
本作の監督は『SHAME』のスティーブ・マクイーンです。
あのアクションスターと同姓同名ですが、関係はありません。黒人の監督です。
そしてキャストにはこれまた『SHAME』で主演だったマイケル・ファスベンダーが。
あと、奴隷の女の子パッツィー役として、ルピタ・ニョンゴが出演しています。
この二人のシーンや関係性は、なかなかグッとくるところがありますよ…。
おかしいと分かっていても、差別をしなければならない葛藤とか、奴隷制度がどれだけおかしなことかってのがよく分かります。
ちなみにルピタ・ニョンゴは『アス』に出演している人です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『それでも夜は明ける』の見どころと感想をお伝えしました。
これは本当に素晴らしい作品です。
できるだけ多くの人に観てもらいたい。そんな思いになりました。
アマゾンプライムビデオで観放題なのでぜひ!
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