彼は優しさや愛、無形の財産を象徴してる
映画「三十四丁目の奇蹟(1947)」を鑑賞しました。
舞台はニューヨーク。
マンハッタン34丁目のスクェアに実在する大手デパート”メイシーズ”の旗艦店がサンタ役を雇ったことから大きな騒動へと発展していくお話。
アメリカでは、クリスマス当日は、テレビで一日中クリスマス映画を放送したり、クリスマス映画ランキングなる番組を流したりするそうなのですが、必ず上位にランクインするのが今作「三十四丁目の奇蹟」です。
私は今回が初めての鑑賞でした。
先日、クリスマスにオススメの映画を3本紹介しましたが、こちらも新たに加えたいと思えるほど、素晴らしい作品でした。
今作を観て実に意外だったのが、ファンタジー作品ではなく、かなり現実的な作品だったということです。
物語の中盤以降は、ほとんど裁判をするというお話なのです!
裁判するの?!
意外と大人向きの映画なんだよ!
クリスマス映画で裁判?!
今作では、クリス・クリングルという老人の、
「自分は本物のサンタクロースだ!」
という言葉が真実かどうかを、裁判で争うストーリーです。
弁護士側は、クリングルは本物であると弁護し、
反対側は、偽物であると立証しなければならない、
そして、弁護側がこれを大々的に新聞へ宣伝したことにより、アメリカ中でこの裁判が注目されることになります。
サンタの存在をかけた裁判
クリス・クリングルは、クリスマス精神に溢れた人物で、サンタクロースとして彼が関わった子どもや大人は、みな彼を擁護する側でした。
子どもたちに関しては、本当に”本物のサンタクロース”だと皆が信じています。
民衆もまた、彼の人柄から、支持するようになっていきます。
はじめは老人の詭弁の成否をとう裁判でしたが、
やがて”サンタクロースはいるか、いないか”という論争へと発展していきます。
つまり、反対側や判事は、これを否定することで、”サンタクロースはいない”ということを論じなければならず、子どもたちの夢も希望も壊してしまうことになるわけです。
”常識的・現実的な成否” と ”愛や優しさなどの無形物”
との争いになるわけです。
物語の両軸で進む、シングルマザーと娘のストーリーもこれにリンクしてきて、感動的です。
これはなかなか心に刺さってきますよ。
裁判決着の仕方も秀逸です。
判事の控室
裁判中、何度か判事が裏の控室に入るシーンがあります。
あんなにすぐ飛び出せる位置に控室があることに驚きました笑
また、そこで繰り広げられる会話の内容も実に面白いです。
判事は、議員選挙に出馬しようとしている人物で、この裁判のことの大きさをいまいちよくわかっていません。
そこで指南役のような人物が、
「この裁判で彼がサンタではないと言ってしまうと、とんでもないことになるぞ!
工場のワーカーは組合員だし、デパートも、お菓子屋も、クリスマスに関連する人をみな敵に回すぞ!
おまえに入る票はたった2票。おまえ自身と、反対側の弁護士の1票だけだ!」
といった、サンタがいるかどうかというファンタジックなところは置いておいて、大人にとってこの裁判がどのようなものかを語るシーンが見ものです」
誠実さが信頼へ繋がる
クリス・クリングルは”メイシーズ”で雇われサンタとして働くのですが、クリスマスプレゼントを子どもたちから聞き取る際、”メイシーズ”よりも「他の百貨店で買った方が安い」とか「〇〇の店の物が最高級だ」と正直に伝えてしまいます。
しかし、この発言や行動が、消費者からは「正直でいい」「誠実な態度が素晴らしい」「これからは”メイシーズ”を贔屓店にする」と、好評価を受けます。
この結果を受けた上層部や、他のデパートの重役もまた、「このセールスを他の従業員にも真似させよう!」と変わっていきます。
自分たちの利益ばかり考えて商品を売りつけるのではなく、消費者にとってベストな考えを提案することが、回りまわって自分たちのためになると。
まさに”情けは人の為ならず”な訳であります。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「三十四丁目の奇蹟(1947)」に関する感想をお伝えしました!
クリスマスに超オススメです。大人にとっても学びが深い。くれぐれもリメイク版は観ぬよう笑
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