若い女は愛されることを愛するだけ
映画『5時から7時までのクレオ』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
本作は、ヌーヴェル・ヴァーグの母と呼ばれるアニエス・ヴァルダの作品。
音楽もファッションも可愛いんですが、『幸福』や『ラ・ポワント・クールト』と同じく、やはりどこかゾッとする部分があるんです。
あらすじはこんな感じだよ👇
美しい女性シンガーのクレオは、体調不良からガンを疑い、精密検査を受けていた。診断が出るのは、この日の夕方5時。不安でいても立ってもいられない彼女は、占い師にも大病であることを告げられ絶望するが、恋人も、陽気な作曲家も、周囲の誰もがその気持ちを理解してくれない。そんな中、人影のない公園で静かな時間を過ごしていると、束の間の休暇で、夜には戦地のアルジェリアに戻るという軍服姿の男と出会い、惹かれていく。
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今回の記事では、映画『5時から7時までのクレオ』の見どころを解説していきます!
オンタイムで進行する
『5時から7時までのクレオ』は、主人公クレオの5時から7時までを密着するようなかたちの映画です。
「◯時◯分から◯時◯分までのクレオ」といったテロップが入り、オンタイムに近いかたちで5時から7時までの様子を追っていくんです。
これは、とても実験的で面白い仕掛けです。
この映画の後の、スパイものやアクションものなんかでも使われる手法ですよね。流石はアニエス・ヴァルダ監督。
ちなみに、5時から7時までは2時間ありますが、映画は90分で終わります。
どこかでキュッと短くしているんでしょうね笑
豪華カメオ出演
本作には、ジャン=リュック・ゴダール、アンナ・カリーナ、エディ・コンスタンティーヌ、そしてジャン=クロード・ブリアリが、劇中で流れるサイレント映画の登場人物としてカメオ出演しています。
また、本作の音楽も手掛けた巨匠ミシェル・ルグランが、音楽家ボブを演じています。
これは豪華です…!
当時のこの界隈って、仲良しだったんだな~と何だかホッコリしてしまいました。
ゾッとする演出
冒頭で述べましたが、『5時から7時までのクレオ』にも、やはりゾッとするショットが。
民族的な物を売るブティックのショーウィンドウが突然映ったり、
カエルを丸呑みする男や、針で腕を貫く男などの路上パフォーマー、
医療カプセルに入った謎の赤ん坊などです。
これらはおそらく、死生観を表現しているのだと思います。
死への恐怖
『5時から7時までのクレオ』は生や死を連想させるシーンが盛り込まれています。
先述のシーンのいくつかもそうです。
人の目、病気、占いを気にするクレオ。
彼女は特に死に対して過剰に怯えています。
「自分はきっと癌なのだ。もうすぐ死ぬのだ」
そんな恐怖に怯えながらこの2時間を過ごしていました。
周囲の目を引く、クレオの見た目の華やかさや、歌手という魅力的な仕事。
これがすでに、クレオの内外における死と生を対比しているように見えますね。
また、本作にはアルジェリア戦争の話題もぽつぽつ出てきます。
1954年に激化したアルジェリアのフランスからの独立戦争で、民族解放戦線による激しい武力闘争が続いた結果、ド=ゴール政権が独立を容認、62年に終結し、独立を達成した戦争です。
もちろん、数多くの犠牲者が出ています。
フランスという国において、戦争との距離が近く、どうしても死について考えずにはいられない、そんな状況だったのかもしれませんね。
比較的コミカルに描かれる本作ですが、結末はなかなか意外です。
ぜひご鑑賞ください。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『5時から7時までのクレオ』について解説しました。
ファッションや歌の美しさと、テーマのギャップが面白い作品です!
豪華カメオ出演にも注目だね!
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