『愛してるって言っておくね』銃の所持について考える

アニメ映画

はたして銃は身を守るものか

映画『愛してるって言っておくね』をNetflixで鑑賞しました。

本作はNetflixで限定公開されているショートアニメーション映画。第93回アカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞した作品です。

校内銃乱射事件によって命を落とした娘。そして愛する娘の死から立ち直ろうとする夫婦を描く、非常に感動的な物語となっています。

ダニー
ダニー

銃乱射事件の犠牲者…、日本では馴染みのない話だよね。

bitotabi
bitotabi

そうだね。どうしてこんな事件が起きてもなお、銃の所持が認められているのか、日本人には理解しがたい部分があるよね。今回の記事では、これまでに起こったアメリカにおける銃乱射事件や、世界的な拳銃の所持や使用について解説していこうと思います。

アメリカにおける銃暴力

まず初めに、アメリカで銃乱射事件がどれくらい頻発しているのかを解説していきます。

こちらのデータを観ると直感的に分かりやすいかなと。Gun Violence Archiveという銃暴力のデータをまとめたサイトのトップに出てくるデータです。

https://www.gunviolencearchive.org/

一番上が死亡者数で、その下が負傷者数。続くMass Shootingが銃乱射事件数となっています。Mass Murderは銃に限らない大量殺人です。

めちゃくちゃ多いですよね…。

アメリカにおいて、銃による事件や死亡が、いかに近しい問題であるかがよくお分かりいただけるかと思います。

しかしながら、その危機感というのはそこまでないみたいなんですよ。

それについてお伝えしたいので、CNNにて2024年12月末に公開されたこちらの記事をご覧ください。

https://www.cnn.co.jp/usa/35227556.html

2023年に職場で殺害された人は458人、日常的な出来事に

ニューヨーク(CNN) 2023年のイースターの翌日、ダナ・ミッチェルさんは米ケンタッキー州ルイビルのオールド・ナショナル・バンクに出社し、コーヒー片手に月曜日の定例朝会が開かれる会議室へ向かった。ミッチェルさんは同僚と休暇中に日焼けしたことを話していた。

目を向けると別の同僚のコナー・スタージョン容疑者が出入り口に立っているのが見えた。容疑者は銃を持っていた。

スタージョン容疑者がミッチェルさんや同僚に発砲し始め、大混乱に陥った。数分のうちに容疑者は従業員5人を殺害し、ミッチェルさんを含む同僚8人を負傷させた後、現場に駆け付けた警察に射殺された。

米国では、これは特に珍しい出来事ではなかった。

米国では毎年何百人もの人々が職場で殺害されている。労働統計局が19日に発表した報告書によると、23年には職場で458人が殺害された。これは週平均で9人近くということになる。合計は22年の524人より減少した。18年から23年の間に職場での殺人は2762件発生している。

職場で殺害されるという脅威は、もちろん労働者が直面する唯一のリスクではない。報告書によると、23年に職場で死亡した人は合計5283人。交通事故による死亡が最も多く、1942人だった。次いで転倒、つまずきによる死亡が885人。しかし、これらは意図しない死だった。

職場での殺人問題は、米医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO)が射殺された事件を受けて、ここ数週間注目を集めている。

しかし、職場での殺人事件の多くは比較的注目されない。オールド・ナショナル・バンクのような銃乱射事件は日常茶飯事になっている。別の銃乱射事件が起こったために数日間にわたって全国的に報道されることもあるが、1人が殺害された程度の多くの事件は地元のニュースで取り上げられるのがせいぜいだ。

そして職場に向かう大半の人は、会議室に向かいながらイースターの週末について話していたミッチェルさんたちと同じようにこうした数字に無頓着だ。

米国心理学会が実施した19年の調査によると、職場やオフィスで銃乱射が発生する可能性にストレスを感じると答えた成人はわずか4分の1程度だった。パレードやスポーツイベント、ショッピングモール、学校や大学などの公共イベントで発生する可能性に不安を感じている人は、その約2倍だった。

しかし、非営利団体の暴力防止プロジェクトの調査では、銃乱射が最も多く発生する場所は、加害者の現在または以前の職場であることが判明している。また、1966年以降に発生した銃乱射事件200件のうち30%が「職場の銃撃犯」に分類されている。

同団体によると、職場での殺人は個人的な不満から生じることが多い。「加害者の中には職場が権威や拒絶の象徴であると考える人もいる。特に解雇や懲戒処分の場合がそうだ。同時に人間は習慣の生き物であり、加害者は知っているものを標的にすることが多い。親密さは機会を生む。怒ったり絶望したりすると、彼らは最も理解している環境で行動する」

しかし、多くの従業員は銃乱射事件が発生したときにどう対処すべきかという基本的な訓練さえ受けていなかった。

公益団体である全米労働安全衛生評議会の事務局長、ジェシカ・マルティネス氏によると、平均的な3年生は銃乱射事件が発生したときの対処方法についての訓練を大半の従業員よりも多く受けている。多くの州では、生徒に年に複数回の封鎖訓練を義務付けているという。https://www.cnn.co.jp/usa/35227556.html

日本でも、学校や職場で避難訓練が行われますよね。でも、ほとんどが火災や地震など、災害時避難訓練なのではないでしょうか。

学校では2001年に大阪で発生した事件をきっかけに、不審者対応避難訓練が行われるようになりました。でも、職場で不審者対応避難訓練が行われているというのは、あまり聞いたことがありません。

イベントなどで不審者や銃事件の危険を感じる人は多いらしいですが、アメリカでは実際、犯人の以前の職場で銃事件が起こるケースがかなり多いのだとか。これ、日本も同じだと思うんですよね。

以前その場所で嫌な経験をしたから、復讐的に犯行に及ぶというケースが。それが、学校での発生ケースにもあてはまるのでしょう。

https://usafacts.org/articles/the-latest-government-data-on-school-shootings/
https://k12ssdb.substack.com/p/analyzing-school-shootings-trends

そして、近年のデータを調べてみると、どれも増加傾向にあることははっきり分かります。気になる人は、「School Shooting USA data」で調べてみてください。

これらのデータを見るだけでも、『愛してるって言っておくね』のような被害者遺族がいかに多いのか分かりますよね。

学校や職場で、不審者及び銃乱射事件に対する避難訓練が広く実施されることを祈るばかりです。

https://abcnews.go.com/US/safe-place-colorado-school-training-kindergartners-high-schoolers/story?id=65123554

こんな感じで、幼稚園でも行うところがあるみたいですね。

ダニー
ダニー

というかそもそも、もっと銃を所持することを厳しくすれば、こんな事件起こらないんじゃない?

bitotabi
bitotabi

それがなかなか難しいんだよ。自由の国と呼ばれるアメリカの成り立ちと、政治的な因果関係があるからね…。

 



どうしてアメリカでは銃を所持できるのか

それは、この国の最高法である憲法にあり、50の州それぞれに適用されます。

1791年に書かれたアメリカ合衆国憲法修正条項第2条では、銃の所持や携帯を保障する「武装権」が認められています。

「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」

この建国の理念により、必要に応じて国家の安全を守るために民兵を結成する可能性が認められることが明記されているんですね。

この憲法が制定される少し前に、アメリカ人はイギリス人を追い出すための革命を起こし、民主主義を樹立しました。当時の人々は、苦労して勝ち取った独立を奪われることを恐れていたんですね。

なので、自分自身を守るために武器を携帯する権利は、多くのアメリカ人にとって、彼らの自由の保証に繋がるわけです。

しかし、これまでお伝えした通り、問題は、何百万もの武器が流通していることによって、致命的な銃撃事件が頻発していることです。

そのため、一部の州では、攻撃用武器を禁止するなど、対策を講じています。

しかし、この問題に関する法律を国レベルで可決することはかなり困難です。

特に、強力な銃擁護団体であるNRA(National Rifle Association of America:全米ライフル協会)が多くの政治家に資金を提供していることが大きな要因の一つとなっています。

また、何か事件が発生した時に、都市部なら警察が早く駆けつけてくれますが、農村部ではそうはいかない、自身の身を守るために銃が必要だ、というの規制反対派の意見もあります。

さらに、既に米国内に3億丁を超える銃器が流通していることを考えると、「刀狩り」のような規制は不可能のように感じますよね。

ドナルド・トランプも以前の大統領時は規制反対派でしたし、まだまだこれは収まることはないと私は思います。

しかし、新たな殺人的な銃撃事件が起こるたびに、米国における銃規制の問題が再び注目されています。

 



映画を観て

『愛してるって言っておくね』を鑑賞すると、銃乱射事件のおぞましさや悲しさを痛感できます。

アメリカにおける銃の所持って、正しいのかなと思ってしまうほどに。

でも、アメリカの成り立ちとか、考え方、利権関係を考えると、もう戻ることはできないんだろうなって。日本人的な感覚では信じられないですが、逆もまた然りなんだと思います。

そもそも、日本人は政治に関心が無さすぎる。それに比べると、政治や国の在り方について、アメリカ人のほうがよっぽど自身の考えを持っていると言えるでしょう。

もし、日本で銃の所持が許されたり、戦争待ったなしになったりしたら、どうなるんでしょうね。

小さな反対はあれど、なんだかんだで政府の思うがままにことは進んでいっちゃうんじゃないかと思うんですよ。

誰かを殺すくらいなら、私はそれを防ぐために動きたい。

なんてことを、15分程度のアニメから考えてしまいました。

ちなみに本作の原題は『If Anything Happens I Love You』で、邦題は『愛してるって言っておくね』ですが、「何があっても大好きだよ」の方が訳としては正しいかなと思います。被害者の娘が絶命寸前に両親にチャットを送った内容がタイトルになっているので、これはこれでいいのかもしれませんが。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

Netflix映画『愛してるって言っておくね』の感想と、アメリカにおける銃乱射事件や銃の在り方についてお伝えしました。

bitotabi
bitotabi

銃の所持、非常にセンシティブな問題だと思います。何が正しいかではなくて、どういった経緯で、今はどんな現状なのかを考えることが大切ですね。

ダニー
ダニー

世界的にヒリヒリした雰囲気で溢れているから、なるべく自分事として捉えていきたいよね。

 

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