なぜこの土地に、これほど心が騒ぐのか?
『鹿の国』という映画を第七芸術劇場で鑑賞しました。
日本には、「諏訪神社」という名前の神社がたくさんあることをご存知でしょうか。
そしてそこでは、今なお鹿の生首や生きたカエルを神に捧げるという神事が行われているのです。
とても有名な神社で行われていることなのに、自分がこのことについて全然知らなかったことに驚きました。今回の記事では、観にいけない人も多い作品だと思いますし、内容が分かっても十二分に楽しめる作品なのでそのまま本作で私が感じた感想をお伝えします。
まずは公式サイトのイントロダクションとあらすじを載せておくね。
イントロダクション:日本列島のヘソ、諏訪盆地に位置する日本最古の神社の一つ、諏訪大社。年間200回を超えるその祭礼は謎に満ちている。重要神事で降ろされる古い神・ミシャグジ。そして神事に欠かせないとされた鹿の生贄……。ネパールやチベットで生と死の文化を追ってきた監督・弘理子(ひろ・りこ)は、四季の祭礼を追ううち、そこにあるいのちの循環への原初の祈りに気づく。そして、長らく畏怖と謎に包まれてきた中世の「御室神事(みむろしんじ)」の再現に挑む。厳冬の3カ月間、神域の穴倉に籠められた生き神・少年大祝(おおほうり)の前で繰り広げられた芸能とは?そして春4月、化粧を施されて出現する大祝に捧げられた75頭の鹿の首の意味とは?冬から春へ、死から再生へ。美しい四季とともに3年をかけて描き出された、現代社会を生きる私たちが忘れかけていた原初の祈りの姿。
数々の映像民俗学作品を手がけてきた北村皆雄が、プロデューサーを務める。語りは、声優の能登麻美子といとうせいこう。音楽を、国内外のアーティストから高く評価されている音楽家の原摩利彦が担う。https://shikanokuni.vfo.co.jp/
ストーリー:はるか昔、大地が引き裂かれることで誕生した巨大なくぼ地、諏訪盆地。
ここでは古来、鹿を贄とする祭礼が行われてきた。
それを伝えてきたのは全国に1万社ある諏訪神社の総本社、諏訪大社。
この地域の人たちにとって、鹿とはどんな存在なのか?答えを求めて、600年前に途絶えた謎の「御室神事」を再現する。
それは凍てつく冬、3ヵ月間にわたって行われていたという。半地下の穴蔵に籠って、鹿の贄を食し、豊穣を願う芸能を奉納していたのだ。
わずかな史料を手掛かりに、神事を司っていた生き神・大祝(おおほうり)、神の使いとされた
少年たちの存在と、正体を明らかにする。
時空を超えてよみがえったのは、穀物と動物の命を重ねる、他に類を見ないいのちへの眼差し。春が巡り来ると、神前に75頭の鹿が捧げられた。
今でも猟師は、鹿の肉を捧げに諏訪大社にやって来る。そこで手にする一枚の札――、
仕留めた鹿を贄とし、それを人が食すことで鹿が生きる太古の昔から諏訪の地を支配してきた自然信仰「ミシャグジ」、そして神と仏たち。
それらが盆地の中で重なり混じりあうことで形作られた独特の世界が、今もある。諏訪大社 上社 本宮では、現在も蛙を生贄にしたり、鹿の生首を献上する神事が行われています。https://shikanokuni.vfo.co.jp/
それではここから、私の感想を少しだけ。
この生き物を捧げる神事に対し、動物愛護団体は猛烈に反対し続けているんです。少し調べれば、たくさんの団体が反対運動をしていることがお分かりいただけると思います。
「諏訪大社よ、動物を殺すな」という旗を神社の入り口に掲げる活動は、映画の冒頭でもチラリと観ることができました。
私自身は、どちら側にも過剰に賛成もしません。
こういった祭事が、現代社会にフィットしないというのは理解できます。
しかし、なぜ一部で猛反対を受けているにも関わらず、この神事を大切に思いながら受け継がれているのかを知ることが大切なんだろうなと思いました。
日本国内では、様々な祭や神事がありますよね。その土地で古くから伝わるものが。いわゆるフェスみたいなものじゃなくって。
この『鹿の国』でテーマになっている諏訪大社の神事は、その最たる例なのではないかと思います。
『もののけ姫』のような世界が、現代の日本と地続きであるということがよく分かります。
日本人は宗教に対する関心が低い人が多いと思うので、この諏訪大社の神事を表面だけみると、動物愛護側に寄ってしまうんだろうなと思います。
でも、きっとほとんどの人が、地元のお祭りは進んで参加したんだろうし、正月には初詣に行くだろうし、死んだら先祖代々の墓に入るんじゃないかと思うんです。それが正しいものだとして。習慣の延長にあるんでしょう。
その、当たり前の度合いと信心深さが、諏訪大社に関わる人々と私たちの間にあるだけだと思うんですよね。
鹿やカエルが可哀想だと思って反対するなら、それだけの歴史的知見や、食を初めとして自分の行動の多くを変える覚悟をもって挑むべきなのかなって。
私は大阪出身なんですが、昔から地車(だんじり)とか布団太鼓(ふとんだいこ)が苦手なんですよ。有名ですよね。岸和田だんじりとか。堺の布団太鼓。
毎年怪我人や死人を出してまでやることなのかって思ってました。それを理由に学校とか仕事休むってなんなんだよって。
でも、この映画を観てその考えは浅はかだったなと反省してます。
先人たちが守り、受け継がれてきたものであるという事実を、無視してはいけないと。
最後までお読みいただきありがとうございます。
『鹿の国』の感想をお伝えさせていただきました。
日本の歴史や土着の文化って、本当に面白いです。これからもこういった映画に注目して、あらたな知識を獲得していきたいと思います。
勉強になるよね。興味の幅を広げていこう!
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