この子、ずーっとかくれんぼしてるんじゃないかな
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を鑑賞しました。
第2回日本ホラー映画大賞で大賞を受賞した同名のショートホラーを、キャストもあらたに長編化した作品です。
去年の『みなに幸あれ』と同じパターンだね!
『みなに幸あれ』がかなりいいホラーだったので、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』もかなり注目されています。
なにせ、封切の日は、私の行きつけの映画館でチケットが売り切れてましたからね。ぶっちゃけ、こんなこと年に数回しかありません。
そして私も鑑賞してきたわけですが、この『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、かなり謎の多い作品でした。『みなに幸あれ』よりも、多くを語らない上に不明瞭な要素が多いんです。
そこで、今回の記事では、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の謎について、私なりの考察をお届けしようと思います。
作品概要
イントロダクション:日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「第2回日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)にて大賞を受賞した、近藤亮太監督の同名短編映画が、主演に杉田雷麟、主要キャストに平井亜門、森田想、藤井隆を迎え長編映画化。
総合プロデューサーにはヒット作連発の重鎮・清水崇。映画監督デビューとなる近藤は、テレビ東京ドラマ「イシナガキクエを探しています」で演出を務め話題を集めるなど、ホラ一界に彗星のごとく現れた超注目株。近藤監督のオリジナル原案となる本作は、弟の失踪にまつわるある家族に残された一本のVHSテープの粗い画像に閉じ込められた、底冷えするような真の恐怖を体感できる、Jホラー好き待望の新次元ホラー映画!
ストーリー:そのビデオテープには使ってはいけないものが映っている
敬太(杉田雷麟)は幼い頃、弟・日向が自分と出かけた山で失踪するという過去を持ち、今は失踪した人間を探すボランティア活動を続けていた。そして、ある日突然母から古いビデオテープが送られてくる。それは、日向がいなくなる瞬間を映したビデオテープだった。
霊感を持つ同居人の司 (平井亜門) はそのテープに禍々しい雰囲気を感じ、敬太に深入りしないよう助言するが、敬太はずっと自分についてまわる忌まわしい過去を辿るべく動き出す。そんな敬太を記事ネタの対象として追いかけていた新聞記者の美琴(森田想) も帯同し、3人は日向がいなくなった“山”に向かう・・・。
https://mcv-movie.jp/
それでは、ここから考察に入っていこうと思うんですが、監督自身が公式サイトのコメントでこのように言及しています👇
何を怖いと感じるかは百人いれば百通りの答えがあるかと思います。人間が怖い、幽霊が怖い、自然災害が怖い。この映画では目にはみえない”何か”が怖いのだと考え、作中の彼らが感じる恐怖心を精一杯想像し、ともに体験してもらうことを企図しました。
https://mcv-movie.jp/
そう、目には見えない恐怖を描いてるんですよ。精一杯想像して恐がる。これがこの映画のねらいなんですよね。
だから、正解みたいなものは存在しないんですが、監督の考えにまんまとハマってより想像を広げてみようかなと思います。
ぷよぷよの正体
本作においてメインともされる怪異は「ぷよぷよ」のような見た目だと言ってましたね。
これ、何なのかなというと、「こだま」なんじゃないかと思うんです。
『もののけ姫』に出てきたあれですね。
お化けと言うよりも、精霊とか神に近いような存在です。
というのも、最後に彼らあの建物を訪れた時に、怪異は2つか3つ同時に発生したんですよね。
誰かしらに化けることができる「もの」が2体以上いた。これ、結構「こだま」っぽいなと思います。
おそらく、そこまで知的能力が高いわけではなく、「その人が強烈に気にしている存在に化けることができる」というただそれだけの能力なんじゃないかと。で、新たな仲間を増やそうとしているというか、そんな感じなんでしょうね。
ちなみに、主人公の苗字も「児玉」でした。
次項に続きます。
捨ててもいい場所
民宿の青年が、あの山は骨壺のような亡くなった人の物や、神、仏にまつわる物を捨ててもいい場所だと言ってましたよね。
もともと、大昔から「こだま」が住んでいた場所で、だから神的な、スピリチュアルな場所だとされてきた。
何か浄化作用のある場所が、徐々に時代の流れと共に捨ててもいい場所になってしまったんでしょうね。
そして、やはりそういったものに強烈なエネルギーが宿っている。多くの物が捨てられることで、「こだま」たちもそれと混じり合い、より禍々しく、巨大なものへと成長してしまったのではないでしょうか。
『もののけ姫』でいうところの、あらぶる神に変わってしまったというか。だから失踪が相次いでいるのでしょうね。
こういった日本古来の自然や神の信仰に近いものの恐さを表現しているんだと思うんです。
あるはずの無い場所
最後に辿り着いた建物は、地図的にも歴史的にも存在しない建物だと記者が言ってましたよね。
これに関しては、二つ可能性があるなと思ってます。
一つは、口外できないようなヤバイ研究所とか、人を隔離するための施設なので、地図に載っていないという可能性。
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、様々な恐さを表現するねらいで作られた映画なので、こういうオカルトの要素が入っているのかなと。「ナチス」とか「旧日本軍」とかね。
二つ目は、捨ててもいい場所と繋がるんですが、何かしらのやばい施設が壊されたり放置されたりと、捨てられたような状態になってしまったため、建物そのものが呪い化してしまったという考え方です。
建物そのものがやばいというのも、割とホラーの定番ですよね。『シャイニング』とか『呪怨』とか。
本当に、ホラーへのリスペクトが強いなと感じます。
結局どういうラストなのか
結局どういうラストだったんでしょうね、あれ。
霊能力のある司くんは、ビデオテープの中に閉じ込められてしまったような印象でした。
そして、主人公敬太の弟も同様なんでしょう。
じゃあ、それをやったのは誰なのか。
可能性として考えられるのは4つ。
・敬太
・「建物」の呪い
・「こだま」の呪い
・ビデオテープの呪い
なんですが、私は「建物」か「こだま」の仕業かなと思います。
なぜなら、ビデオテープと敬太だと、他の失踪事件の説明がつきにくいからです。
我が子を亡くした児玉家の父母の怨念がビデオカメラやビデオテープに異常な力を付与したという可能性も若干考えられますが。
でも私は、あの山に潜む、「建物そのもの」か「こだま」のような存在の仕業というのが一番すっきりするなと感じました。
もっと深堀すれば、「児玉家」は代々「こだま」に関係する一族で、そのきっかけを敬太が作ったというのも面白いなと思います。
でも、こんな風に想像を広げるのが、この映画の恐さであり面白さなんじゃないでしょうか。
ビデオテープ
この映画で私が好きだなと思ったのが、ジャパニーズホラーへのリスペクトを強く感じる点です。
ビデオテープとかカセットテープのような、今の若者たちには馴染みがないもの。
でもかつて日本のホラー界を席巻したもの。
そういったものの恐さや人を惹きつける魅力を、改めて表現した。
この心意気にはグッとくるものがありますね。
ショート版との違い
この『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は「第2回日本ホラー映画大賞」の出品作品の一つ。
受賞作品をAmazon Prime Videoで観られることをご存知でしょうか。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22
それぞれ20分くらいの作品が4本ほど収録されています。第1回も公開されてますよ。
で、私もすぐにショート版を観たんですが、結構違います。
長編版の方が、奇妙なエピソードが増えてるんですよ。民宿のおばあさんのエピソードとか、記者のキャラクターすら登場しませんでしたので。
ぜひ、観比べてみてください。他の作品も面白いです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の考察をお届けしました。
これといった正解はないと思いますが、私は「こだま」「建物」「ビデオテープ」これらがカギでしょうね。
あなたの考察もぜひ教えてください!
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