彼が何をしたというのか
『ドリーム・シナリオ』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
ニコケイがまたやらかしてる感じの映画なんですが、ふざけてるようで案外侮れない。
コメディで、ホラーで、ドラマでもある。

感想と共に、ザックリ解説していきます。

あらすじはこんな感じ!
ごく普通の暮らしをしている大学教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)。
ある日、何百万という人々の夢の中に一斉にポールが現れ、一躍有名人に。人々にもてはやされ、メディアの注目を集め、
夢だった本の出版まで持ちかけられ、ポールは天にも昇る気持ちだった。しかし、そんな夢のような日々は突然終わりを告げる。
夢の中のポールが様々な悪事を働くようになり、現実世界で大炎上。
その人気は一転、ポールは一気に嫌われ者になり、悪夢のような日常が始まる。何もしていないのに人気絶頂を迎え、何もしていないのに大炎上したポールの運命はー!?
https://klockworx-v.com/dream-scenario/
前提として
まず、この映画の設定やニコケイ、アリ・アスターについて語っておきます。
この映画では、ニコケイ演じる主人公ポールが、人々の夢の中に出てきます。これ、2006年頃、ニューヨークの精神科で眉がつながった奇妙な風貌の男と出会ったという女性患者が多数現れたという都市伝説が元ネタなんですよね。
世界各国で夢で同じ男を見たという証言が多発して、謎の男は「THIS MAN」と呼ばれ、恐れられたという。
これが現代で起こったらどうなるのかというのを描いたのが本作なんです。
あと、作中はっきりとは言及されないんですが、ポールの心理状態によって、夢に出てくる彼の姿が変わるんです。怒りを感じている時は怖い人物として出てくるし、エロいことを考えてた時はエロい人として。で、はじめは何もしなかったってのは、インビジブルな存在で、ポール自身も人に関心を抱いてなかったからなんでしょう。
本当に可哀想な役なんですが、これをニコケイが演じます。本当に変な映画出続けますね…。
借金は返済できたという噂を聞いたんですが、やはり浪費癖は治っていないのか。それとも変な映画に出る変な役者というポジションが気に入ってしまったのか。
本作、製作を務めたのが、『ミッドサマー』のアリ・アスターなんです。
「どうしたアリ・アスター」みたいなつぶやきを見かけましたが、私はめっちゃ納得しています。なぜなら、この映画『ボーはおそれている』にとってもよく似てるから。表で恐いことが起こるのが『ボー』で、裏で起こるのが『ドリーム・シナリオ』って感じだなって思います。
コメディとして
私は基本的には本作をコメディとして笑いながら鑑賞しました。
特に、若い女の子と部屋で二人きり、浮気できるぞ!のあの場面。めっちゃ笑いました。
『ボーはおそれている』って、ブラックジョークが多くて、日本人の感覚では割と笑いにくい要素が多かったように思うんです。だから、本作の方が大分笑えたんじゃないかと。
冴えない男が時の人になってまた落ち込んでいくって、分かりやすくコミカルですもんね。
ホラーとして
ホラーとしても、割といい感じだったと思います。怖い夢で出てくる時、結構派手な描写ありましたもんね。ぐっちゃぐちゃの。
また、全体を通してみても、「どうして彼がみんなの夢に出てくるんだ」という奇妙な現象というのは、オカルティズムとかホラー味を感じます。
「THIS MAN」の都市伝説は、彼に会ってはならないみたいなものもありますけど、本作に関してはその逆っていうのも面白い。得体のしれなさよりも、一緒に写真撮って自分もバズるみたいな方が重視されているという現代の恐さみたいなものも感じました。
ドラマとして
コメディでいて、ポールの哀れさは結構ドラマチックなんですよね。
それまで日陰にいた人が、せっかく人気者になったのに、次第に恐れられて、嫌われていく。
しかも彼は何もしていないのにです。ただ人並みに怒ったり悲しんだり、楽しんだりしてるだけ。
有名になってしまったら、あらゆる感情を押し殺して、みんなのイメージに適うような人間像を作り上げなければならないのかな…。芸能人の中にはそんな辛い状況の人もいるのかしら…。そんな風に思いました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『ドリーム・シナリオ』について解説しました。

笑えて、恐がることもできて、とても楽しい作品です。アリ・アスターはこの方向に向かうのかも。

ちょっとグロイとこもあるからお子さんと観るのは注意がいるかも!
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