情けは自分の為にもならないが…
『ほえる犬は噛まない』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
現在、『Micky 17』公開に合わせて、ポン・ジュノ監督の作品の多くがAmazon Prime Video観放題に追加されています。
『殺人の追憶』や『グエムル』『母なる証明』あたりは、これまでも追加されることが多かったんですが、『ほえる犬は噛まない』が追加されたのは初めてかもしれません。
今、結構熱いです。【Amazon Prime Video】
。

私はこの作品をずっと観たかったんです。待望の追加でした。

どうしてずっと観たかったの?
私が本作が気になった理由はですね、2つありまして、1つはポン・ジュノ監督の作品、しかも長編デビュー作であるという点。
もう1つは、『映画評論家への逆襲』という本で読んだからなんですね。
荒井晴彦、森達也、白石和彌、井上淳一ら、4人の映画脚本家・監督が行なったオンライントークショーをまとめた1冊なんですが、これがめちゃくちゃ面白いんです。
私はポン・ジュノ監督の作品ってどれもかなり好きで、面白いなと思うんですが、こちらの本では、『ほえる犬は嚙まない』の脚本が特によくできていると言及していたんです。
でもその頃には観放題には無くってですね、1年程待ってようやく観放題に追加されていたので、待ってました!という感じだったんです。
ちょっとくらいレンタルすればいいじゃないと思われるかもしれませんが、観放題でも見切れないほどの名作があるのがAmazon Prime Video。だったらお金かけずに観られるものを観ようって気になりますよね笑

前置きが長くなりましたが、ここから感想をお伝えしていきます。未鑑賞の人は一度閉じて鑑賞後にお読みください。
長編デビュー作ながら、めちゃくちゃ攻めてるなというのが、第一印象です。
ジャンルはコメディになるんですが、結構エグイ部分もあるんですよね。
犬を殺そうとしたり、犬を食べちゃったり。ギリギリ笑えないよっていうブラックユーモアな感じ。
非常にらしさが出ています。
らしさでいうと、韓国の社会問題を扱うという点もこの時から一緒ですね。特に貧困問題。
メインキャラクターは、給料の低い仕事だったり、高い仕事を手に入れるために困っていたり。そういう人物をリアルに描くんです。
本作で扱われる社会問題としては、就職難と袖の下がメインで、
犬をペットとして飼う人と、犬を食う人の文化の摩擦みたいなところなんでしょうか。
2000年前後は、まだ犬を食べる人もそれなりにいたんですかね。
ヒロインは『ベイビー・ブローカー』や『グエムル』、『リンダ・リンダ・リンダ』にも出演したペ・ドゥナ。
私はとにかくこの子のがんばりに心惹かれました。
高卒でマンションの経理だか庶務だかみたいな仕事をしてるんですけど、優しさでいろんな人のお世話を焼いてしまうんですよね。
でもなかなか報われず、寧ろ上司から、ちゃんと座って仕事しろって怒られる始末。
おばあさんに優しくした見返りが、切り干し大根だったのは笑いました。
で、終盤で彼女は犬食い男から1匹の飼い犬を救出することなるんですが、そのシーンの描き方がとってもドラマチックでいいんですよ。笑えるけど、泣ける。
結局その努力も、彼女にとってメリットになることは一切なく終わってしまうんですけど。
この映画不思議だなと思うのが、彼女自身は何も変わらないということなんですよね。
普通、ここまでフォーカスされるキャラクターだったら、彼女の成長であるとか、変化を描きそうなもんなんですが、それが全くない。
変化があるのは、もう一つ物語の中心となった大学教授を目指す男性が改心したという一点のみ。
これが普通の映画とは違った後味を残します。
情けは人の為ならずの完全なる逆張り。
それでも人は、善意を持って生きていけるはずだ。こういった想いが込められているような気がしますね。
ちなみにこの映画、原題の意味は全然『ほえる犬は嚙まない』じゃないんですよ。『フランダースの犬』って意味です。時々劇中でもあのテーマ曲が流れたり歌われたりします。

最後までお読みいただきありがとうございます!

『ほえる犬は噛まない』の感想をお伝えしました。白石監督らがおっしゃる通り、めちゃくちゃ脚本がよくできた映画だなと思います。
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