【はちどり】心に広がる清涼感

映画

映画「はちどり」を鑑賞しました。

韓国の人にとってはきっと懐かしい、94年の韓国が舞台のとてもエモーショナルな作品。

韓国映画界に新たなジャンルが加わったような予感。

 

はじめに

はちどり」は2020年の韓国映画です。

1994 年、ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、子供達の心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。

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パラサイト」とも「新感染」とも「タクシー運転手」とも違う雰囲気の映画でした。

サスペンスでもなく、ホラーでもなく、涙を誘うような映画とも少し違う。

心に刺さりながらも、観た後は不思議な清涼感が心に広がる、そんな映画でした。

近年の映画ならば、「ドライブ・マイ・カー」に近かったかもしれません。

それでは、見どころや映画をより楽しむためのポイントを解説します。

主演は「パク・ジフ」

映画のポスターの主人公の少女「ウニ」を演じるのは、主演の「パク・ジフ

とても素朴ながら、可憐な容姿で観る者を魅了します。

彼女はネットフリックスで話題となった学園ゾンビドラマ「今、私たちの学校は…」にも出演しています。

とても期待の新人です!健気な演技をぜひご堪能下さい♬

韓国では漢字を学習していた…?

「はちどり」の中では、漢文塾という塾に通うシーンが何度もあります。

ここで、先生から「漢文」を習います。日本でも中高生が習いますよね。大体あんな感じです。

しかし、韓国では70年代に「漢字廃止宣言」なるものが行われ、ハングルのみ学習するようになったそうなのですが…。

94年の韓国でも、アカデミックな教養としては、存在していたのでしょうか。ご存じの方がいたら教えてください!

韓国の漫画文化は長い

主人公ウニは漫画を描くのが大好き。

韓国の漫画文化は意外と歴史が深いです。

1948年には初のタブロイド版マンガ雑誌「マンガ行進」、49年には「マンガニュース」などが創刊されました。

1950年代から徐々に日本の漫画も読まれるようになり、1970年以降は「キャンディキャンディ」「ベルサイユのばら」などの少女漫画が人気を博します。

ほとんど日本と時間差がありませんね。

はちどり」でも、はっきりとはわかりませんでしたが、「ベルサイユのばら」っぽい漫画本を主人公が読んでいたように見えました。

キム・イルソンの死

こちらはややデリケートな話題です。詳しくはブログで解説します!

「はちどり」の中で、金日成(キムイルソン)の訃報がニュース速報で流れるシーンが見られました。

金日成は金正日(キムジョンイル)の父、金正恩(キムジョンウン)の祖父にあたる人物です。

あまり深く語るには、デリケートな問題ですので控えめに。

彼の訃報を受け、
「どうなっちゃうのかしら」「戦争が起きるのかな」と不安を呟くシーンが映画の中で観られました

あえて映画でも流したいほど、大きなショックのある出来事であったことが伺えますね。

普通の中学生との違いに苦しむ

主人公「ウニ」は、クラスで浮いた存在です。

韓国の映画では、このあたりの描写が、コミカルに描かれることが多いような気がします。

ユーモアや冗談抜きに、真正面から、周囲とのズレによる心の摩耗を描いた作品は、「はちどり」が初めてです。

よくよく考えると、この映画って、笑いゼロなんですよね…。

日本の岩井俊二的な、少しダウナーだけど、一筋の光を見出すような、そんな映画でした。

最後までお読みいただきありがとうございます!

長くて少し地味な作品ではありますが、本当に珍しいタイプの作品です。なんだかクセになりそうです。

 

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