「スープとイデオロギー」をシネマートで鑑賞しました。
かなり胸に刺さる作品でした。
自分の無知に気づくとともに、知ってよかった。観てよかったと感じました。
今回は映画の内容をインプットしやすくするために、サクッと用語や要点を解説させていただきます。
観た後や観る前にお役立てください。
はじめに
「スープとイデオロギー」は2022年公開の韓国・日本映画です。
監督は『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』など、朝鮮半島と日本の悲劇的な歴史のうねりを生きる在日コリアン家族の肖像を親密なタッチで写し続けてきたヤン ヨンヒ。本作ではクレイ人形やアニメーションを駆使して母が語ってこなかった記憶を鮮やかにスクリーンに照らし出す。
https://soupandideology.jp/
なぜ父と母は、頑なに“北”を信じ続けてきたのか? ついに明かされる母の秘密。あたらしい家族の存在…。これまで多くの映画ファンを魅了してきた、あの〈家族の物語〉が、まったくあらたな様相をおびて浮かび上がる。
監督のヤンヨンヒさんは、北朝鮮に住む3人の兄家族のもとに通い、ドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」という映画を2006年に制作しました。
それが北朝鮮において「問題映画」となり、監督は入国を禁止されています。
人生かけてますね…!!熱いです。
私の姉も実は…
私には姉がいます。
姉は、台湾人の男性と結婚し、台湾に住んでいます。
「スープとイデオロギー」を観た日、たまたま日本に帰ってきていました。
姉が好きそうなテーマだったので、映画を観てきたことを伝えました。
私:「今日『スープとイデオロギー』っていう映画観てきてん。
済州島の歴史とか、北朝鮮と韓国のドキュメンタリー映画なんやけど」
姉:「ヤンヨンヒって監督のやつ?今までの映画全部観たわ。」
と、知っているようでした。
姉は、台湾も韓国も距離としてはどちらも近いのに、片や親日、片や反日である理由を知りたくて、映画を観たそうです。
まさに映学でございます。
もっと「スープとイデオロギー」が深まる要点解説
それではここからは、映画をより楽しむための、用語や要点を解説します!
イデオロギーとは
はじめに、タイトルにも入っている「イデオロギー」という言葉。
人間の行動を左右する根本的な物の考え方の体系。観念形態。「―は社会的立場を反映する」。俗に、政治思想。社会思想。
Oxford Languagesより引用
映画では、「北朝鮮」の思想を信じる両親と、そのイデオロギーに賛同しない監督自身が描かれています。
しかし、歴史を知り、体感することで、徐々に両親の北朝鮮に対するイデオロギーを理解していきます。
思想や価値観が違っても、一緒にごはんを食べよう。共に生きよう。
というメッセージがこもったタイトルなのです。
帰還事業とは
赤十字国際委員会が仲介して人道目的で始められ、60年以上前の昭和34年12月14日に第1便が新潟港を出発しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen38/
事業は一時中断された期間を含め25年間続き、在日韓国・朝鮮人や日本人の妻、およそ9万3000人が北朝鮮へと渡りました。
多くの人が北朝鮮に向かった背景には貧困と差別があり、当時、「地上の楽園」と宣伝されていた北朝鮮に憧れや希望を抱いて事業に参加したと言われています。
「地上の楽園」と宣伝されていた北朝鮮に関心を抱き、進学や就職も自由に選べると聞いて、参加を決めましたが、実態はまったく異なるものだったそうです。
到着した港は、クレーンが一台あるだけ。迎える人々も瘦せこけていたそうです。
豊かな生活どころか、闇市で所持品を売りながら、何とか一人で生き抜いていくしかない。そんな生活が待っていたのでした。
北朝鮮の当時の様子は、中田敦彦さんのYouTube大学の動画が非常にわかりやすいのでぜひご覧ください。
済州島4・3事件とは
こちらはかなり重いです。悲しく、残酷すぎる歴史。きついですが、学びが深まりますよ…!
1948年4月3日、分割統治下の朝鮮半島の南側で単独選挙が行われる動きに、南朝鮮労働党が反対し済州島で武装蜂起。鎮圧過程で多数の死者が出た。死者数は諸説あり、少なくとも約1万4200人の島民が犠牲となった。武装蜂起と関係のない市民も多く巻き込まれ、2万5千〜8万人との分析もある。事件当時、難を逃れた島民が大量に日本に渡ってもいる。
https://www.sankei.com/article/20180403-WOKB5ZEFFJN57FMGLN3QZW2NFM/2/
韓国南部の済州(チェジュ)島で島民数万人が殺害されたという事件です。
島民の10%にあたる人口。中には武装していない女性や子ども、妊婦までも犠牲になったおぞましい事件です。
当時の朝鮮は南北に真っ二つに分かれており、北側をソ連が、南側をアメリカが統治していました。
平たく言うと、アメリカ側が鎮圧のために、罪のない人もふくめて大量に殺害したということになります。
具体的には、南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察、朝鮮半島の李承晩支持者などが引き起こした虐殺事件です。
恐ろしく、悲しいですが、目を背けてはなりません。
今の私たちにも関係ある
なぜなら、現在も国と国の争いによる紛争は続いています。
連日ニュースになっていますね…。
そして、かつては、日本が朝鮮半島を統治していたということを、知っておかなければなりません。その中で、非道なことも、あったことでしょう。
「日本人は平和を愛する人種だ」というのは、他国から観たステレオタイプではないことは肝に銘じておきましょう。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「スープとイデオロギー」はイデオロギーや済州島、帰還事業など、知っておくべきことがたくさんある映画でした。歴史をしっかりと受け止めたい人はぜひご鑑賞ください。
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