映画「こちらあみ子」を鑑賞しました。
風変わりなあみ子の純粋な行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を鮮やかに描き出します。
教育に関心のある者として、とても考えさせられる作品でした。
今回の記事では、主人公あみ子の「特性」について、少しだけ専門的な目線で解説します。
まずは、簡単にストーリーの解説から。
STORY
あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」―――。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。
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ひとり残された家の廊下で。みんな帰ってしまった教室で。オバケと行進した帰り道で。いつも会話は一方通行で得体の知れないさびしさを抱えながらも、まっすぐに生きるあみ子の姿は、常識や固定概念に縛られ、生きづらさを感じている現代の私たちにとって、かつて自分が見ていたはずの世界を呼び覚ます。観た人それぞれがあみ子に共鳴し、いつの間にかあみ子と同化している感覚を味わえる映画がここに誕生した。
あらすじだけ見ると、ハートフルな雰囲気が漂っていますが、今作結構きついです。
家庭が不安定になるドラマが苦手な方はくれぐれもご注意ください。
でも、本当に学びは深いので、教育関係者や、子育てを学びたい人は、ぜひご鑑賞ください。
あみ子を知る
主人公「あみ子」は個性的という言葉では足りないほど、特性をもった女の子です。
作中で直接的に表現されることはありませんが、いわゆる発達障害です。
その特性が顕著に表れている部分を紹介します。
感覚過敏
ASDの特性の一つである「感覚過敏」
その中でも、あみ子は「触覚過敏」と「聴覚過敏」があるようです。
靴下の肌触りが苦手だから、学校でも裸足(触覚過敏)
ベランダの物音がとても気になって眠れない(聴覚過敏)
というシーンが観られました。
ちなみに、触覚過敏によって、マスクの着用が困難な人もいるので、くれぐれも頭ごなしに否定せぬように心がけましょうね!
こだわり行動
ASDの特性のひとつ「こだわり行動」
あみ子は「同じ歌ばかり歌う」「テレビを見る」といった行動が目立っていたように思います。
以前私が働いていた施設でも、同じ歌を何度も繰り返し歌う子や、PCや読書をなかなかやめられないという子がたくさんいました。
本人も「やめたくてもやめられない」というケースが多いので、何かを始める前に約束をする環境づくりを心掛けましょう。
ちなみに、あみ子が劇中何度も歌う歌は「おばけなんてないさ」です。めちゃくちゃ可愛いです。
他者視点で考えるのが苦手
ASDの特性として、
普通に話しているつもりでも、相手を怒らせてしまったり、自分では悪いことを言っているつもりも悪い行動をとっているつもりもないのに、相手の気分を損なってしまうことがあります。
この特性によって、あみ子は、周囲を怒らせてしまったり、傷つけてしまったりしていました。
また、目線が合わなかったり、声が大きすぎたりする場面も。
あなたの周りにも、「空気を読めない人」「話をきちんと聞いてないように見える人」いるでしょう?
もし、特性を持っているならば、決してわざとでもなければ、性格が悪いわけでもないのです。
お風呂に入らない
こちらはブログで解説します!!
あみ子はお風呂に毎日入っておらず、同級生の男の子から指摘を受ける場面が見られました。
これは先述した2つの特性が関連しています。
シャンプーの感覚やお風呂の温度が苦手(感覚過敏)
人からどう思われるかを想定することが難しいため、身だしなみや清潔にする必要性が分からない。(他者視点で考えるのが苦手)
ということが想定されます。
こちらは何気に、学校や社会で生きていくには重要なポイントです。
サポートできる人は、何が苦手か本人と一緒に考えながら策を練っていきましょう!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「こちらあみ子」に登場した、発達障害の特性を解説しました。
きっとあなたの周りにも、同じように困っている人がいるはずです。どうか優しい目で。
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