映画「C.R.A.Z.Y」を鑑賞しました。
2021年12月に亡くなった、ジャン=マルク・ヴァレ監督の作品です。
誰かの悩みにそっと寄り添ってくれるような優しい映画でした。
時代背景や、家庭背景がよりわかりやすくなるように、映画について解説します!
STORY
1960年代のカナダ・ケベック、保守的な家庭で育った青年ザックが、アイデンティティを確立するまでの葛藤と成長を描くもの。5人兄弟の4男として育ったザックは、キリストと同じ12月25日に生まれ、「特別な子」と呼ばれながら、クリスマスのミサへの参加を義務付けられてきた。
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軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは、父親と同じく音楽を愛しながらも、反抗を覚え、やがて自らのアイデンティティに目覚めていく。
1960年代~1980年代のカナダを描いています。
そのため、音楽も当時のロックが中心で、とてもいい感じ。
ピンクフロイドの「Shine On You Crazy Diamond」を筆頭に、心に沁みるナンバーがごろごろ登場します。
中でも主人公が最も強く惹かれる存在が「デビッドボウイ」でした。
デビット・ボウイは同性愛?
デビッド・ボウイは「自身がゲイである」と1972年に宣言しましたが、真偽のほどは疑わしい。
どちらかというと、当時のムーブメントに一石を投じ、同性愛者を援護しようという発言であったように思われます。
しかしながら、後のインタビューでは、結婚している身ながら、バイセクシャルであり、奥さんもそうだと言っています。
さすがはデビッド・ボウイといったところですね!性的趣向に関係なく、彼の音楽はカッコいい。
同性愛は病気とされていた
1970年頃まで、同性愛は「精神疾患」であるとされていました。
映画の中でも「人間は2種類。男か女か。それだけだ!」「脳を治療するぞ!」というセリフがみられました。
ましてや、主人公の家庭はカトリックです。同性愛(行為)はタブー。
性的マイノリティにとっては本当に生きにくい時代だったことでしょう…。
しかし、それより前はもっとひどい。同性愛は犯罪とされている時代もありました。1960年代でもソドミー法は健在でした。
カナダでフランス語?
私が今作を観て、「カナダなのに英語じゃない?!」と驚きました。
クローネンバーグ作品も、サイコ・ゴアマンも、英語だったのに???
気になって調べたところ、「C.R.A.Z.Y」で話しているのはフランス語でした。
カナダはフランスの植民地だったため、開拓のために多くのフランス人がケベック州へ集まりました。
そのため、今でもケベック州の公用語はフランス語です。国の第二公用語もフランス語です。
イギリスとの戦いに敗れたので、国全体の公用語は英語ですが、フランス人が多く住むという配慮から、第ニ公用語として残ったという訳ですね。
そういった点では、多様性の文化が根付きそうなものですが…。こと性的趣向に関しては違ったようですね。
もっと話そう
今作は、頑固で保守的な考えの父親と、
多感で、様々な趣向をもつ息子との、
すれ違いや対立がメインテーマです。
これってきっと、どんな家庭でもあり得ることです。
「自分はこうだったから」と、悪気無くレールを敷いてしまう親。
「なんでわかってくれないんだ」と反発が先行してしまう子。
とてもありがちです。
親子だから、話さなくても伝わる。そんなことはありません。
親子だって、話さなくては、伝わらない。互いに、対話する勇気を持ちましょう。
愛と不器用さと、無知故に、分かり合えないなんて不幸すぎます。
思っているなら、話しましょう。時間と勇気だけあれば十分です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「C.R.A.Z.Y」をより楽しむためのポイントを解説しました。
親子のコミュニケーションや、性的マイノリティに悩むあなたに、ぴったりの作品です。
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