前回の記事で映画「来る」について解説しました。
こちらの映画は、原作小説がございます。「ぼぎわんが、来る」です。
私はホラー映画が好きです。シャイニングやエクソシスト、悪魔のいけにえを敬愛していますし、劇場鑑賞でもホラーを選ぶことが多いです。
日本のホラーは海外に比べるといまいち名作が少なく感じます。俳優の悪目立ち、品の無いジャンプスケアなど、がっかりすることが多いです笑
しかし「来る」に関しては、非常によくできた作品だと思っています。
数少ない、繰り返し見ている日本ホラー作品の一つです。(「残穢」もオススメ)
海外ホラーのように、細部へのこだわりや、考察のしがい、キャラクターの魅力など、非常に見どころが多く、何度観ても飽きない、隠れた名作。
原作があることを知り、より作品を理解するための手立てとして、原作小説を手に取りました。
かなり読みやすく、めくる指が止まりません。ものの数時間で読むことができましたので、興味のある人はぜひ。
今回の記事では、原作を読めばわかる謎や、読まなければわからない設定、映画と小説の違いについて解説します。
津田のお札以降の目次はネタバレを含みますので、くれぐれもご注意ください!
原作「ぼぎわんが、来る」あらすじ
幸せな新婚生活をおくっていた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の噛み傷を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか…。
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原作は、第22回ホラー小説大賞を受賞しており、著者の澤村伊智さんはこれがデビュー。何とも華々しい。
出身が大阪という点に、非常に納得しました。
というのも、「ぼぎわんが、来る」は関西の怪異や伝承をモチーフにしていることが多いからです。
また、東京の地名には「西武新宿」「上井草」「石神井公園」など、西武新宿線の地名がよく出てきました。
個人的には関西にも、西武新宿線沿線にもなじみが深いので、とても親近感をもって読み進めることができました。(私は数年前まで野方周辺に住んでました)
それではここからは、映画の謎を紐解くためのポイントや、違いについて解説していきましょう!
それではここからは、映画の謎を紐解くためのポイントや、違いについて解説していきましょう!
ぼぎわんという名前がある
映画では怪異の正体を「あれ」と呼んでいました。
原作でははっきりと「ぼぎわん」という名称で表していました。
「ぼぎわん」の名前の由来を推理していくのは、原作において結構面白いポイントなのですが、なぜカットされたのでしょう。
「IT」を意識したのかもしれませんね。
また、映画のタイトルならば、「来る」の方がシャープでカッコいいです。
映画のポスタービジュアル的にも「来る」の方がグッと締まります。
小説なら「ぼぎわんが、来る」の方がおどろおどろしさが出ていいですが。
媒体によってタイトルを変えたほうが効果的なのは、面白いですね。
真琴と野崎は付き合ってる
映画では小松菜奈さんと岡田准一さんがそれぞれ役を務める、「真琴」と「野崎」
2人は明確に交際しているようです。
ある事件をきっかけに交流を深め、そこそこ長く交際しているそうです。
野崎も子どもを作れない体
また、映画では「真琴」のみ子どもを作れないという設定でしたが、原作では、「野崎」も無精子症で子どもを作れないという設定でした。
映画でもそうだと思うと、「野崎」が、子ども好きの「真琴」をストレスに感じる点や、ラストシーンは、また違った見え方になりますね!
津田のお札
ここから先は、映画や原作のストーリーに大きく絡むネタバレが含まれますので、くれぐれもご注意ください!
映画では、妻夫木聡さん演じる「秀樹」の友人であり大学教授である「津田」からもらったお札を仏壇に供えるシーンがありました。
これが実は逆効果で、「津田にはめられた」と野崎が言います。
このシーンが、原作を読むとよくわかりました。
魔導符
映画で津田が野崎に渡したのは「魔導符」と呼ばれるものです。
呼んで字の通り「魔」を「導く」ための呪いを施したものとなります。
お札やお守りに細工を施し、呪いや悪いものを寄せ付けるといったものです。
津田は原作においてもとても性悪でしたが、原作で「魔導符」を使った人物は、もうひとりいます。
それは、秀樹の祖母です。
田原家の罪
田原秀樹が、ぼぎわんに狙われることとなった理由は、祖父と祖母の罪が大きく絡んでいます。
秀樹の祖父の罪
なんと、秀樹の祖父は実の娘を殺しています。
そのため、ぼぎわんに狙われていたのです。
なぜ子殺しの罪がぼぎわんに繋がったのか。
秀樹の祖母の罪
実の娘を殺した夫への恨みから、妻である秀樹の祖母は魔導符をつくりました。
そして、それがぼぎわんを呼んでしまったというわけです。
ぼぎわんは、呼ばないと来ませんからね…。
赤い靴の少女の正体
これらの情報をまとめると、映画に登場した、赤い靴の少女は、秀樹の祖父が殺した娘なのではないでしょうか。
つまり、秀樹の叔母にあたる人物ですね。
その他:映画と原作の違い
その他にも、割と違いがみられました。
映像化し、2時間にまとめるにあたって、ブラッシュアップしたであろう部分がわかり、面白いです。
伝承がたくさん登場する
先述した通り、原作には関西の伝承がたくさん登場します。
それを推理し、考察し、解釈していき、怪異と闘う準備をしていました。
映画では割と「琴子」だよりでしたね。
比嘉姉妹
映画では「琴子」は命を落としてしまいますが、原作は「比嘉姉妹シリーズ」で、たくさん続編があります。
あと、真琴もめっちゃ活躍します。
最終決戦
最終決戦の場所は、映画では田原家のマンションですが、原作では真琴のアパートでした。
壮大な祈禱シーンは、あの高層マンションでなければ難しそうですよね。
英断です。
津田はお隣さんの名前
原作には、映画に登場しない人物「お隣の津田さん」が存在します。
そのため、民俗学教授で、秀樹の友人であるのは「唐草」という人物でした。
今日の本学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「来る」と、原作小説「ぼぎわんが、来る」を比較しました。
原作を読むと、映画の背景がよりくっきりと見えてきますね。
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