「アフター・ヤン」AI×家族。蘇る小津調。

ドラマ映画

映画アフター・ヤンを鑑賞しました。

「ミッドサマー」「ヘレディタリー」などの話題作を生む、A24。

上記のような、ホラー作品で注目が集まりがちなA24ですが、今作「アフター・ヤン」は違います。

とっても繊細なSFドラマ作品です。

管理人
管理人

AIロボット”テクノ”の記憶や目線を通して、家族とは、人間とは何かを問う、美しく切ない物語です。

今回の記事では、なるべくネタバレせずに、作品の見どころや注目すべきポイントを解説します!

STORY

“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭にまで普及した未来世界。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかしロボットのヤンが突然の故障で動かなくなり、ヤンを本当の兄のように慕っていたミカはふさぎ込んでしまう。修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に一日ごとに数秒間の動画を撮影できる特殊なパーツが組み込まれていることを発見。そのメモリバンクに保存された映像には、ジェイクの家族に向けられたヤンの温かなまなざし、そしてヤンがめぐり合った素性不明の若い女性の姿が記録されていた……。

https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=021333



小津安二郎の世界観

私は今作を観て、カメラワークや家族の心情を静かでリアルに描く演出が小津安二郎の「東京物語」にとても似ているように感じました。

私がつい先日「東京物語」を観たところだったからなのか、それともコゴナダ監督が意識したものなのか、大変気になったので、調べてみました。

コゴナダ監督は、小津安二郎作品がかなりお好きなようです。

これは嬉しい気づきでした。

コゴナダ監督は小津安二郎の信奉者として知られており、前作の「コロンバス」でも小津作品へのオマージュを散りばめているそうです。

そもそも、コゴナダというお名前も、小津作品の脚本を手がけた野田高梧を意識したネーミングだとか。

「東京物語」の、部屋の隅を定点にして、撮影するスタイルや、静かに、真っ直ぐに家族同士を対話させるような表現にそっくりなシーンがいくつも観られます。

少し先の未来を描く

高度なAIロボットや、スマートグラス、自動運転システム、オンラインゲームなど、様々なテクノロジーが登場します。

AIロボットはまだ先かもしれませんが、それ以外はもうすぐ技術的に実現しそうなリアリティがあります。

憧れのテクノロジーながら、大げさな感じがしないのは、しっとりと家族ドラマが軸にある所以でしょう。

アジア文化

中国茶やラーメン、日本の缶ビールなど、アジアの文化がたくさん出てきます。

特に、老子やお茶の文化に関しては、かなり哲学的な表現も込められています。

これらを事前にインプットしていくと、よりストーリーに深みが増すはずです。

 



ファミリー・ダンスが最高

オープニングのファミリー・ダンスがとてもコミカルでキュートです。

コリン・ファレルが真剣に、家族と一緒に踊る様は必見。

ミカちゃんの懸命さもとても可愛らしい。

映画を鑑賞してからこの動画を観て気づきましたが、出演キャストがみんなで踊っているのですね。

ドラマ逃げ恥みたいです笑

死生観・人間性・家族

先述の通り、今作は小津安二郎の作品をかなり意識したものになっています。

小津作品は、「死」と「家族」をテーマにしたものが多いです。

「アフター・ヤン」で、コゴナダ監督はそれらの表現に挑んでいます。

死とは何か。家族とは何か。

大切な存在がいなくなることによって、家族や個人はどのように変わっていくか。

それらが、登場人物の行動や対話で絶妙に表現されます。

特に、終盤の、妻とヤンの回想シーンは、必見です。

また、「死」と「家族」に加えて、AIやクローンと共存する世の中において、「人間性」を問われる要素もあります。

クローンやAIに対する、人間の適切な向き合い方とは…。

静かながら、実は強烈なメッセージが込められているように思えてなりません。

 



坂本龍一とAska Matsumiyaの音楽

「アフター・ヤン」は音楽も素晴らしいです。

世界観にマッチしたオリジナル曲を坂本龍一が。

そして作中でキーとなる曲であり、岩井俊二監督作「リリィシュシュのすべて」の名曲「グライド」をAska Matsumiyaが歌い上げます。

どちらのファンも必見です。

とっても美しく、映画をより印象的なものにしています。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

管理人
管理人

「アフター・ヤン」、コゴナダ監督が小津調を見事に表現しています。小津安二郎がAIやクローンをテーマに、家族を描いたら…?そんな味わい深い作品です。

 

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