一途に目標へ向かうエネルギーの強さと
偉大な先人たちへの愛を表す
”映画讃歌”
映画『エンドロールのつづき』を鑑賞しました。
本年度アカデミー賞®国際長編映画賞インド代表に選出され、世界中の映画祭で5つの観客賞を受賞。
さらにバリャドリード国際映画祭では最高賞にあたるゴールデンスパイク賞をインド映画として初めて受賞するなど、世界中の映画祭から喝采を浴びた話題作です。
“映画讃歌”私が好きなジャンルの一つです。
今作は、監督自身の生い立ちをベースに作られた作品です。
自身を世界一の映画ファンと豪語する、パン・ナリン監督。
そのため、今作にも映画への感謝や愛、尊敬の念がたくさん詰まっていました。
オマージュがたくさんあるんだよね♬
そうなんだよ!映画好きにはたまらないね。
今回の記事では、「エンドロールのつづき」に込められた、映画愛の一部と、この映画で得た学びをお伝えします!
STORY
9歳のサマイはインドの田舎町で、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものだと思っているが、ある日特別に家族で街に映画を観に行くことに。人で溢れ返ったギャラクシー座で、席に着くと、目に飛び込んだのは後方からスクリーンへと伸びる一筋の光…そこにはサマイが初めて見る世界が広がっていた。映画にすっかり魅了されたサマイは、再びギャラクシー座に忍び込むが、チケット代が払えずにつまみ出されてしまう。それを見た映写技師のファザルがある提案をする。料理上手なサマイの母が作る弁当と引換えに、映写室から映画をみせてくれるというのだ。サマイは映写窓から観る色とりどりの映画の数々に圧倒され、いつしか「映画を作りたい」という夢を抱きはじめるが――。
公式サイトより引用
なぜ2010年なのか
今作の舞台は2010年です。
パン・ナリン監督自身の少年時代を基に作られた作品なので、時代設定がずれていますよね。
主人公が9歳なので、2010年だと、監督はまだ20代前半ということになってしまいます。
リアルな年代にすると、1980年代になってしまうそうですが、2010年にしたのには2つ理由があります。
理由①フィルム上映の終わり
理由の1つ目は、フィルムによる上映の終わりを描きたかったからです。
これは、映画を最後まで観るとよくわかります。
先人たちの撮影した作品のフィルム。大好きなフィルムが形を変えていく。
そのもの悲しさや、尊敬の思いを描きたかったようです。
原題の『LAST FILM SHOW』もこのあたりからきているのかなと思います。
理由②変わらないインドの階級社会
理由の2つ目として、インドの階級社会が、現代になってもそれほど変わっていないということを伝えたかったそうです。
1980年代でも2010年代以降でも、裕福な子どもはスマホで遊ぶけど、貧しい子どもはストリートや駅で働いているという現状を伝えたかったそうです。
名作のオマージュ
今作には、たくさんの映画に尊敬の念を込めています。
そのため、オマージュがふんだんに。
古い映画好きにはたまらないポイントですよね。
どんな作品のオマージュがあるのか、気になる方、いらっしゃるのではないでしょうか?
私が気づいた一部をご紹介します。
『列車の到着』
リュミエール兄弟の『列車の到着』が序盤に観られました。
初めての映画と呼ばれるものです。
このシーンは、白黒から徐々にカラーに変わっていく様がとても面白いです。
『走る馬』
エドワード・マイブリッジにより、連続写真で、馬が走っているかのように見せた作品。
主人公が学校で先生と話している時に観られました。
『2001年宇宙の旅』
スタンリー・キューブリックのSF映画です。
「ツァラトゥストラはかく語りき」と共に、ボーマン船長のアップそっくりのカットが観られました。映写室のシーンです。
他にもキューブリックのシンメントリーを感じる部分はたくさん観ることができました。
『鳥』
中盤頃に観られます。
インコやミミズクなど、様々な鳥のアップはアルフレッド・ヒッチコックの『鳥』のオマージュですね。
『ニュー・シネマ・パラダイス』
こちらの作品は、”町を出る使命”というメッセージ性がまず一つ大きくあります。
ここに、監督自身が、裕福ではない家庭から、一途に夢を追い、故郷を離れたという力強さが込められています。
また、映写室でお手伝いをするという設定もそっくりで嬉しくなりますね!
極めつけは、自転車に二人乗りするシーン。ちょっと泣けるくらいです。
『小津安二郎作品』
景色を映すカットは小津安二郎へのリスペクトが込められているように感じます。
『スーパーマン』
1978年の『スーパーマン』で、ビルから飛び出すシーン。
主人公がフィルムへ飛び込むシーンがよく似ています。
感想
今作を観て、もっともっと映画を観たい気持ちになりました。
自分の無知を思い知るばかり。
特に、インド映画に関しては、ほとんど無知に等しいのが、悔しい。
きっと私が知らない名作がまだまだあるんだろうなぁ。
また、私の大好きな作品『ニュー・シネマ・パラダイス』のような、美しくもどこか切ない。
そんな素晴らしい作品を2023年に、映画館で観られたことを大変幸福に思います。
皆さん、映画館で、映画を観ましょう!!!
でも、サブスクで名作も観ましょう!!!笑
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
『エンドロールのつづき』に関する情報をお伝えしました。
きっと、映画に詳しい方は、もっとたくさんのオマージュに気づき、感動もさらに大きかったのではないかと思います。
お気づきのかたは是非コメントで教えてください♬
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