特撮への愛と情熱に感動。
ツッコミどころすら愛おしい。
映画「地球防衛軍」を鑑賞しました。
東宝の午前十時の映画祭にて鑑賞。
本作は、1957年に公開された作品で、東宝特撮初のカラー、スコープサイズによるSFスペクタクル大作となります。
とにかく、これが黎明期とは思えないほどのクオリティ。
夢中で見入ってしまいました。
ストーリーも特撮もとっても面白いんだよ。
まずは、冒頭の宇宙ステーションのSFX。これがもうのっけから熱くさせてくれます。「2001年宇宙の旅」にもよく似たシーンがあるのですが、本作もそれに劣らないクオリティ。上部と下部が逆回転に回るんですが、この制作はかなり困難を極めたそうです。モゲラのクオリティと合わせて、円谷監督や美術制作スタッフの情熱が伝わってきます。
ミステリアンたちの、独特で丁寧な話し方も、今では宇宙人のステレオタイプとしてすっかり定着していますが、本作が元祖でしょう。今でも宇宙人のモノマネといえば、扇風機で声を震わせて「我々は…」と言ってしまいますよね。あの声に関しても、特殊なマイクを使用して変声しているんですよ。
ミステリアンの要塞、ミステリアンドームは、未来ではドーム型の建物が誕生するであろうことを予想したアイデアで、その後1965年にはアメリカで世界初のドーム型球場が建設されました。8年も先どったあたり、流石ですよね。また、このドームを制作した工場は、後に新幹線の先端の丸い部分を請け負うことになったとか。何とも夢と未来を感じさせるものがあります。
終盤で登場するマーカライト・ジャイロや、空中戦艦α号とβ号の重厚感もたまりません。マーカライト・ジャイロをゆっくりと少しずつ動かすことで、およそ東京タワーほどの巨大な重機の雰囲気を、ミニチュアで再現したことには感動を覚えます。
戦闘シーンの特撮も素晴らしいです。本作は自衛隊の全面協力のもと撮影されています。自衛隊の富士学校が、映画に合わせて演習を行っているので、狙撃シーンは本物の隊員が、本物の重火器を使用しているんですよ。撮影中、決して笑わないように指示されたため、めちゃくちゃ本格的。どこか淡々とした攻撃に、リアリティがあふれ出しています。本作を機に、少し自粛してしまったほど、全面的に協力をしているのです。そのため、本作で撮影したシーンは、その後の特撮映画でも繰り返し使われているのだとか。
サスペンスフルでメッセージ性に富んだストーリーも素晴らしい。「ラドン」も「ゴジラ」もそうでしたが、前半の遭遇までのドラマはホラー作品さながら。物語のちょうど半分まで、宇宙人たちが善か悪か分からないところも緊張感が心地よい。半分サービスカットのようなヒロインの入浴シーンも、日常に脅威が迫ってきた様子を表してるような感じがします。後のSF作品でも、こういったシーンを盛り込むことは、この作品が源流なのかもしれません。
当時は宇宙開発が盛んであり、それに伴ってもちろん兵器開発も進んでいた時代です。ミステリアンたちは、水爆の戦争により、被爆し、あげく母星を失って地球へとやってきました。その結果宇宙の放浪者となり、我々地球人は同じ轍を踏んではならない。世界中が手を取り合って協力すべきであると、そういった世界平和的なメッセージもこもっているのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「地球防衛軍」について解説しました。
日本の特撮SFにおいて、これほど重要な作品はないかもしれません。
4Kリマスターは、美しさの中に、釣糸を残すなど、ノスタルジックな魅力を残している素晴らしいクオリティでした。
海外作品にも決して負けない素晴らしい作品だね。
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