映画『ゴールデンカムイ』解説記事!歴史を知るとなお面白い。

アクション・パニック映画

天から役目なしに降ろされた物は一つもない

映画『ゴールデンカムイ』をTOHOシネマズで鑑賞しました。

本作は2014年8月から集英社「週刊ヤングジャンプ」にて連載が開始され、昨年22年4月に多くのファンたちの熱い注目を受ける中、堂々完結し、現在まで既刊全31巻で累計2,700万部(2024年1月時点)突破している、野田サトルによる超大ヒットコミック「ゴールデンカムイ」の実写化作品です。

ダニー
ダニー

あらすじはこんな感じだよ👇

舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。
日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。 そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。
囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。
そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。
同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。
そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。

https://kamuy-movie.com/story/index.html
bitotabi
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今回の記事では、映画『ゴールデンカムイ』の見どころをサクッと紹介してから、少しアカデミックな視点で本作で扱われるアイヌ日露戦争について解説していきます!

映画『ゴールデンカムイ』の見どころ

本作の一番の見どころはやはり豪華キャストでしょう。

主演の杉元を演じるのは実写化請負人、山崎賢人さん。

『ジョジョの奇妙な冒険』や『キングダム』、『斉木楠雄のψ難』など、人気コミックの実写化といえばこの人ですね。

ヒロインのアシㇼパを演じるのは山田杏奈さん。

小さくて優しくて強い少女アシㇼパによくハマっています。顔芸もいき過ぎてなくっていい感じです笑

他にも、眞栄田郷敦さんや矢本悠馬さん、工藤阿須加さん、高畑充希さんなどの若手。

玉木宏さん、井浦新さんなどの中堅。

そして、舘ひろしさんや木場勝己さんなどのベテランまで。

非常に幅広く豪華で、バランスのよいキャスティングとなっています。

個人的には、鬼の土方歳三を演じた舘ひろしさんと、脱獄王白石を演じた矢本悠馬さんがかなりハマっていたように感じました。

 



また、冒頭の戦争のシーンから感じたのですが、本作は映像がとても美しいです。

日本の映画って、テレビドラマと同じようなつるっとした映像が多いんですが、本作の映像は深みがあります。いいカメラ使ってそうです。

CGもたくさん使ってますし、戦争シーンの迫力も見ごたえあります。多分、かなりお金かかってますよ…!

カムイって何?

ここからは少しアカデミックな解説を。

私は『ゴールデンカムイ』の漫画原作を読んでいたんですが、戦争や歴史的背景については当時深く考えずに読み進めていました。

映画では、歴史的背景を具体的に説明してくれていたので、この機会にさらに深く学んでみようと思います。

まずはじめにタイトルにもなっている「カムイ」という言葉。

これは、アイヌの言葉です。

「カムイ」とは、アイヌ語で「」を意味します。

つまり『ゴールデンカムイ』は「黄金の神」。

アイヌ民族が残した莫大な金を手にし、神になるのは誰か。

または、アイヌが残した黄金そのものを神としているか。

そういった意味のタイトルなのでしょう。

 



アイヌ民族は迫害されていた?

劇中に、小樽の町の中でアシリパが、

「なんでアイヌがうろついている?」

差別的な発言を受けるシーンがありました。

北海道は、本州から離れていますよね。

そのため、日本人が開拓していったという歴史があります。

黒田清隆とか、蝦夷地とか、何となく歴史の授業で聞いたことがありますね。

しかし、北の大地には、アイヌ民族が昔から住んでいたのです。

アイヌ民族は、おおよそ17世紀から19世紀において東北地方北部から北海道(蝦夷ヶ島)、サハリン(樺太)、千島列島に及ぶ広い範囲をアイヌモシリ(人間の住む大地)として先住していました。
この時期の前後には、アイヌ民族がこの隣接地域に移動したり、逆にその地域の他民族が移動し接触したことも認められております。
これら居住域はもとより、さらに広い範囲においてアイヌ語由来の地名が分布していることが実証されています。

https://www.ainu-assn.or.jp/ainupeople/history.html

19世紀当初から20世紀後半まで、日本の政権は、アイヌ民族に対し同化政策を押しつけていたのです。日本語で話すことを禁じられたり、土地を奪われたりといった差別に苦しんできたのです。

1868年に明治政府(日本政府)が成立すると、その翌年には北海道地域の開拓を目的とする官庁「開拓使」が道内に設置される。それ以降、文明国への発展を目指す日本政府はアイヌ文化を野蛮なものとみなし、アイヌ語の使用や文化の継承を抑制する同化政策を推進。アイヌの多くの土地は没収され、主な収入源だったサケやシカの狩猟が自然保護の名目で禁止されるとともに、名目上はアイヌの保護を謳いながら、極めて差別的な名称を与えた「北海道旧土人保護法」が1899年に制定されると、日本語を義務化するような植民地主義的な政策が法的根拠を持って実施されるようになっていく。この保護法は1997年に廃止されるまで約100年もの間継続し、アイヌの人々は言われのない差別と圧政に苦しみ続けた。

https://sustainable.japantimes.com/jp/magazine/48

なかなかハードな内容ですね…。

日本は単一民族とされていますが、果たしてその通りだと考えていてよいのか。

『ゴールデンカムイ』の中では、アイヌの人々は差別的な発言を受け、アイヌの人々もまたアイヌではない人のことを和人と呼んでいました。

明治末期でも、対立した関係だったわけです。

bitotabi
bitotabi

今一度考えていきたいところですね。

ちなみに、冒頭の戦争シーンは北の大地での戦闘ではなく、二百三高地という土地。

あれは旅順と呼ばれる、現在は中国の土地です。

日露戦争では日本軍が旅順を155日間にわたる激戦の末に占領したのです。

日本も土地を広げるために戦っていた歴史があるので、迂闊な発言はできませんね。

 



ドーナツ状の食べ物は何?

『ゴールデンカムイ』には、アイヌの人々が食べる料理がたくさん出てきます。

アシリパさんの家の中にあった、ドーナツ状の何か。

あれが気になったので調べてみました。

オントゥレプ」という保存食だそうです。

オオウバユリという植物の根の繊維を発酵・乾燥して作る、20年以上保存できるという驚異の伝統食なんですって。

丸めて団子にして食べるのがポピュラーだそうですよ。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ゴールデンカムイ』の見どころと、アイヌや日露戦争の歴史について解説しました。

bitotabi
bitotabi

色々なことを知ってみると、また味わいが変わってきますね。

ダニー
ダニー

コミックも最後まで読みたいな~。

 

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