映画『梟ーフクロウー』を鑑賞しました。
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された怪事件を題材に、盲目の鍼医が謎めいた死の真相を暴くドラマを描き、韓国で大ヒットを記録したサスペンススリラー作品。
2023年に韓国国内映画賞で最多受賞を記録しています。
1623年、朝鮮王朝16代王・仁祖という人物の子殺しをテーマにしたストーリーです。
朝鮮の歴史ものが好きならば知っているご存じの方もおられるかもしれませんね。
私は全然このあたりの歴史に詳しくないので、観ていて新鮮だったし、ドキドキしました。
今回の記事では、『梟ーフクロウー』で得た学びをお伝えしていこうと思います。
ネタバレを含む内容だから、これから観る人は注意してね!
夜だけ見えるなんてことがあるの?
本作の主人公であるギョンスは、盲目の医師です。
主に使用するのは鍼(はり)。
当時の医療としては、鍼はコリをほぐすためだけでなく、全身の健康を促進するものとして主流なものでした。
彼は全盲というわけではなく、夜は少しだけ目が見えるのだそうです。
だから『梟ーフクロウー』というタイトルなんですね。
梟は夜目が効きますから。
で、夜だけ視力がよくなるなんてことが果たしてあるのか気になって調べてみたところ、昼盲という症状があるみたいなんですよ。
白内障の症状として、明るい所では瞳孔が小さくなり、光をさえぎって見にくくなり、暗い所では瞳孔が大きくなるため、
光の入る量が多くなり、良く見えるようになるんですって。
盲目の鍼医
盲目の鍼灸師と聞いて、真っ先に思い浮かんだのが手塚治虫の琵琶丸というキャラクター。
『ブラックジャック』や『どろろ』にも登場します。
『ブラックジャック』では、フラッと表れて、具合の悪い人の身体に鍼を打ち、
「手ごたえあり」
というセリフとともに治してしまうというとんでもない才能の持ち主でした。
でも、結局やらかしてBJにマウントとられちゃう話が印象的でした笑
日本でも韓国でも、同じようなことを考えるもんですね。
実際にこのような人物が実在したどうかはわかりませんが、映画に登場した宮廷医のイ・ヒョンイクは実在した人物だそうですよ。
なぜ子を殺したか
さて、『梟ーフクロウー』では、朝鮮王朝16代王・仁祖という人物が実の子を殺したのですが、この理由についても簡単に解説しておこうと思います。
結論からいうと、息子が清の文化を取り入れようとしたことが許せなかったのです。
1636年12月、清は大軍で朝鮮半島に攻めてきました。
清の圧倒的な力に敗れ、仁祖は清の皇帝の前で屈辱的な謝罪を強いられます。
さらに清は朝鮮王朝に対して莫大な賠償金に加えて、人質までも要求します。
その人質として指名されたのが仁祖の長男・昭顕世子(ソヒョンセジャ)、二男・鳳林大君(ポンニムデグン)でした。
2人の息子は外国での人質生活を余儀なくされたのです。
しかしながら、昭顕世子は清での人質生活の中で、先進国である清の技術や文化に心酔します。
その報告を受けた仁祖は、憎き清と友好を深める昭顕世子に激怒しました。
そして時を経て1645年、昭顕世子は人質生活から解放されて母国に帰ってきました。
昭顕世子が帰国の際に持ち込んだ製品や書籍を見せると、仁祖は怒りを露にします。
清にかぶれて清の文化や政策を用いようとする我が子を、仁祖は許すことができず、ついにはその命を奪ってしまうと。
そういったおぞましいドラマを、スリリングに描いたのが本作『梟ーフクロウー』なのです!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『梟ーフクロウー』について解説しました。
ハラハラドキドキのドラマ、数々の受賞も頷けます。
朝鮮王朝の歴史も、面白いねぇ。
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