嫌なことがあっても、アイス食って忘れろ
映画『ひとくず』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
犯罪歴があり、空き巣をしては博打や飲み屋で溶かしてしまう、ひとのくずのような男が、偶然出会った被虐待児を救おうとするお話です。
私は以前、高円寺の古本屋で本作のポスターを見かけて、それ以来ずっと気になっていたんですが、ようやくAmazon Prime Videoで観ることができました。
児童虐待の実態は凄まじいものであり子供には逃げ場がなく、救いの手から閉ざされてしまっています。
https://hitokuzu.com/introduction/
また日本の法律上、行政が非常に介入し難いという現実があります。
厚生労働省によると、2016年度における児童虐待相談の件数は12万2578件であり、26年連続で増加しています。
この映画は監督・脚本を務める上西雄大が、児童相談所にてご尽力される医師、楠部知子先生から虐待の実態を耳にしたことから始まりました。楠部先生から「眼を向けてあげてください、救われる命があります」との言葉を受け、今こそ一人ひとりが関心を持つべき問題だと考えを固めました。虐待に苦しんでいる子供に手を差し伸べたい・・・
そこで、児童虐待をテーマにした映画「ひとくず」を制作することを決断しました。
撮影はオール関西で撮影されうえに上西自身が主宰する劇団員のほか、田中要次、木下ほうか、工藤俊作、谷しげる、堀田 眞三、城明男、飯島大介などベテラン俳優が参加。
児童虐待という社会問題について考えるべく、作られた作品なんです。
ちなみに、児童虐待は、今なお増え続けています。
2022年度に対応した児童虐待相談の件数は、21万9,170件で過去最多となっているんです。
統計を取り始めた1990年度から32年連続で増えているというこの現状、無視できませんね…。
あらすじはこんな感じだよ。
生まれてからずっと虐待の日々が続く少女・鞠。食べる物もなく、電気もガスも止められている家に置き去りにされた鞠のもとへ、犯罪を重ねる破綻者の男・金田が空巣に入る。幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に、自分を重ね、社会からは外れた方法で彼女を救おうと動き出す。そして、鞠の母である凜の恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。
虐待されつつも母親を愛する鞠。
https://hitokuzu.com/story/
鞠が虐待されていると確信した担任教諭は、児童相談所職員を連れてやって来るが、鞠は母の元を離れようとせず、保護する事ができずにいた。金田は鞠を掬うため虐待をする凜の恋人を殺してしまう。凜に力ずくで、母親にさせようとする金田。
しかし、凜もまた、虐待の過去を持ち、子供の愛し方が分からないでいた。
そんな3人が不器用ながらも共に暮らし、「家族」の暖かさを感じ本物の「家族」へと近付いていく、、、。
こんな話を聞くと、暗い映画を想像されるかもしれませんが、そうじゃないのがこの映画のすごいところ。
もちろん、テーマとしては重いので、フィルム・ノワールっぽさがあるんですが、ところどころコミカルなシーンもあって、何となくヌーヴェル・ヴァーグっぽくもある。
暴力的なシーンや、観るに堪えない虐待のシーンも映し出されます。
でも、重々しく感じ切らずに観られるんです。
主人公と、鞠とその母親三人での会話シーンは笑ってしまう場面も多々あります。
焼肉屋のシーンなんて、最高でしたね。
日本の低所得者層を映し出すという点や独特なポップさで演出するという点において、アキ・カウリスマキとかアニエス・ヴァルダの作品に近い雰囲気があります。
とにかく、観てて暗くなりすぎない、不思議な映画なんです。
オール関西で撮影されたとのことですが、あまり関西っぽさはありません。どちらかというと、関東の下町をイメージさせるような感じでした。みんな、標準語ですしね。
私は大阪出身なので、関西圏で撮影されたとなると、どのあたりかピンときますが、本作に関しては全然わかりませんでした。あえてわかりにくくしたんでしょうかね。(ちなみに、ロケ地は兵庫県 川辺群 猪名川町だそうです)
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ひとくず』の感想をお伝えしました。
児童虐待という重々しいテーマですが、独特の雰囲気で楽しみながら観ることができます。めちゃくちゃ貴重な作品です。
Amazon Prime Videoで観られるよ!
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22
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