映画『12日の殺人』をシネリーブルで鑑賞しました。
『悪なき殺人』で話題を集めたフランスのドミニク・モル監督によるサスペンス作品。
2020年に刊行されたポーリーヌ・ゲナによるノンフィクション小説をもとに、未解決事件の闇に飲み込まれていく刑事の姿を描き出します。
今回の記事では、『12日の殺人』を観た感想や見どころを解説していきます。
公式サイトのあらすじはこちら!
2016年の10月12日の夜、グルノーブル署で、引退する殺人捜査班の班長の壮行会が開かれていた頃、山あいのサン=ジャン=ド=モーリエンヌの町で、21歳の女性クララが、友人たちとのパーティの帰り道、突如何者かにガソリンをかけられ火を放たれた。そして、無残にも彼女は翌朝焼死体で発見される。すぐに後任の班長ヨアン(バスティアン・ブイヨン)率いる新たな捜査チームが現場に駆けつける。クララが所持していたスマートフォンから、彼女の素性はすぐに明らかになった。
クララの親友のナニーの協力などもあり、クララと交際歴のあったバイト先のウェズリー、ボルダリングジムで知り合ったジュール。そしてあろうことか彼女を「燃やしてやる」というラップを自作していた元カレのギャビなどが捜査線に上がっては消えていった。だが、クララと関係を持っていた男たちは、一様にして彼女が奔放な女性だったことを示唆していた。 懸命な操作が続いたが、事件を解決まで導く確信的な証拠もないまま捜査班は解散となってしまう。
https://12th-movie.com/
フランスにおける未解決事件
『12日の殺人』は、
「仏警察が捜査する殺人事件は年間800件以上、だが約20%は未解決、これはそのうちの1件だ」というテロップから始まります。
これ、結構多くないですか?160件以上が未解決という計算です。
ちなみに、2021年の日本の殺人事件は874件で、検挙率は95%と言われています。
つまり、5%の44件程度は未解決だという計算になります。
多い少ないで片づけていい問題ではありませんが、それでも日本に比べるとフランスの未解決率は高すぎますね。
そういったところを問題視する人や、悩んでいる人も多いからこそ、この映画が作られたのでしょう。
刑事の苦悩を描く
本作の面白いところは、未解決事件に関わった刑事の苦悩を描いているという点です。
かなり新鮮に感じます。
フランスの刑事たちの、肉体的・精神的ストレスをかなり具体的に映し出しています。
そもそも、残業が当たり前になっているし、それにともなって自身の身体も家庭もボロボロ。
そんな刑事たちがたくさん出てきます。
サボっているから未解決なわけではなく、真面目に逮捕へ向けて働いても未解決になってしまう。
その過程で心が折れてしまったり、鬱病になったりしている様子でした。
しかも『12日の殺人』では、捜査を進めていくうちに、被害者の女の子は実は性に対して奔放なタイプで、肉体関係のある男性が町にたくさんいることが分かっていくんです。
それを聞きとっていくストレスも、結構きついでしょうね…。
彼女の関係が明らかになればなるほど、彼女を責めているように感じてしまう。
実際に、彼女の友人から罵声を浴びせられるシーンもありました。
男性社会だから、捜査がそういった方向にいってしまっていたというのも、あるんですが。
その上、容疑者を上げても上げても空振り。これはもう、精神的に参ってしまいますよ。
終盤で出てくる若い女性刑事は、そういったフランス警察の働く環境が、少しでもよくなるように、希望を持たせるようなラストに感じました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『12日の殺人』の見どころと感想をお伝えしました。
未解決事件における、刑事の苦悩を描いた点が、とっても斬新な作品でした。
刑事さんにも、いろいろあるんだね…。
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