映画『オッペンハイマー』が2024年3月29日に日本で公開となりました。
原爆を作った人の話ということで、被爆国日本では公開が見送られそうになりました。
しかし、アカデミー賞最有力の呼び声が高く、開いてみれば作品賞を含む7冠を獲った恐るべき作品。
加えて監督は『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』『TENET』など、数多くのヒット作を世に放つ、今最も勢いのある映画監督クリストファー・ノーラン。
ぶっちゃけ、映画好きとしては観ない手はない、2024年最重要作品と言えます。
しかしながら、原爆というデリケートな問題。観るのは不謹慎かも…。と思ってしまう人がいるのも分かる。
でも、安心してください。むしろ、被爆国日本の人たちこそ観た方がいい作品かもしれません。
今回の記事では、そのあたりも踏まえて、映画『オッペンハイマー』のネタバレなし解説をお伝えします。
ノーランの映画は難解なものが多いので、ぜひ、鑑賞前にお読みください!
クリストファー・ノーラン監督って?
まずはじめに、クリストファー・ノーラン監督について説明します。
ノーラン監督は、2001年の『メメント』という作品でブレイクしました。
その後『インセプション』『インターステラー』『TENET』など、数多くの名作を生み出しています。
個人的に、クリストファー・ノーラン監督は、スタンリー・キューブリック監督にかなり影響を受けていると思うんです。
同じようなジャンルの作品に囚われず、様々なジャンルに挑戦するあたりとか…。(そのうちホラーも作ってくれると思います)
キューブリック監督同様、ワーナーで映画を作っていたんですが、今回の『オッペンハイマー』はユニバーサル。意外でした。
オッペンハイマーという人物をテーマに映画を作ることになったのは、自身が育った1980年代のイギリスは核兵器や核拡散の恐怖におびえていたという実体験がもとなのだとか。
作品の特徴としては、CGを使わず特撮を用いることが多いです。
ノーラン監督の作品は、めちゃくちゃSF要素が強いんですが、ノーラン監督自身はかなりインターネットやテクノロジーを嫌っているんです。
自分も携帯電話を所持していませんし、子どもや撮影スタッフにも使用を禁じているほどらしいですよ。
ですので、『オッペンハイマー』でも、そのシーンのほとんどがCGなしの特撮であることを踏まえて観ると、その凄さが分かると思います。
ちなみに、『インセプション』のホテルがひっくり返るガンアクションシーンも特撮です。
IMAXカメラで撮影することにも強いこだわりがあります。
IMAXカメラって、めちゃくちゃ大きくて重くて、撮影が大変なんですが、そんなカメラで撮っているとは思えないカットがたくさんあるんです。
それを可能にしたのがホイテ・ヴァン・ホイテマというカメラマン。ノーラン作品の常連です。
彼がIMAXカメラを担いで撮影したことから、ノーラン監督の世界が広がっていったんですね。
また、ノーラン監督の作品では、パートナーとの絆が強く描かれることが多いです。特に『メメント』『インセプション』あたりは強烈。
ノーラン監督の奥様は、エマ・トーマスという人で、ノーラン監督作のプロデューサーを務めています。
奥様への感謝というか、敬意のようなものを込めて、作品を創っているのかもしれませんね。
『オッペンハイマー』でも、夫婦の関係に注目したいところです。
ノーラン監督自身を投影したのではないかという人物が出てくることも多いです。もう、見た目がそっくりなキャラクターがよく登場します。(TENETではロバート・パティンソン演じるニール)
『オッペンハイマー』ではキリアン・マーフィ演じるアーネスト・ローレンスがそんな予感。
とにかく、魅力たっぷりの監督です!
キリアン・マーフィって?
本作で主役のオッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィ。
彼は、『ダークナイト』『バッドマンビギンズ』『インセプション』『ダンケルク』など、ノーラン監督作の常連俳優です。
常連ではあるのですが、彼はこれまで、チョイ役だったり、不遇な役ばかり演じてきたんですね。
そんな彼がいよいよノーラン監督作で主演をはる!
これだけでも、ノーラン監督作のファンとしてはたまらないものがあるわけです。
ノーラン監督から、キリアン・マーフィへの愛を感じますね。
ロバート・ダウニー・Jrの問題って?
アカデミー賞授賞式後、ネットニュースやSNSで話題になったロバート・ダウニー・Jrの授賞式での行動。
前回受賞した、キー・ホイ・クァンへの素っ気ない対応を、アジア人差別だと指摘されてしまったんですね。
緊張していたにせよ、もう少し柔和な態度を取れば、こういった騒動にはならなかったと思いますが、何より問題かなと思うのが、『オッペンハイマー』で彼が演じた役とあまりにもかけ離れた行動である点です。
ロバート・ダウニー・Jr演じるルイス・ストローズは、オッペンハイマーと対立する人物なんですが、オッペンハイマーからは軽視され、何度も無視され、その恨みでオッペンハイマーにぶつけるような役なんですよ。
これの役で受賞した人が、この行動をとってしまうというのは…、ちょっといただけないでしょう。もったいないですね。
ルイス・ストローズは、『オッペンハイマー』の第二の主人公ともいえる役どころで、シーンもかなり多いです。
彼が主役のシーンは白黒になるので、そこに注意すると物語が入ってきやすいのではないかと思います。
オッペンハイマーはどんな人?
原爆の父と呼ばれるオッペンハイマー。
まず、『オッペンハイマー』は彼を罪人として描いています。だからこそ、日本人こそ観るべきだと思うんです。
何が罪なのかというと、原爆を作った事よりも、原爆を日本に落とすことを許可したことが問題なんですね。
なぜそこに至ってしまったか、そしてどのように苦しんだか、それを紐解いていくのが『オッペンハイマー』という映画です。
『オッペンハイマー』では、彼をとても不器用な男として描いています。しかし、彼には原子反応が可視化できるという特殊能力のようなものをもっているんですね。(このあたりが、映画っぽいところではあります)
それによって、原爆を生み出すことに成功してしまうんです。
で、大事なのが、オッペンハイマーはユダヤ人なんです。
元々はナチスドイツへの復讐のつもりで作っていたはずの原爆ですが、作っている間にナチスドイツが滅びてしまった。
じゃあこれをどうするか…、なぜそうしたか…、
これを目撃するのが、『オッペンハイマー』なのです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『オッペンハイマー』について、ネタバレなしで解説しました。
最後に人物相関図を掲載します。
ノーラン監督の最新作、ぜひ映画館で楽しみましょう!
きっと、忘れられない映画体験になるよ…。
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