映画『オテサーネク』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
本作は『アリス』『ファウスト』のヤン・シュバンクマイエル監督の作品です。
この映画、とにかく怖いんですよ。もう、小さい子が観たらあらゆる角度からトラウマになっちゃいそうな作品なんです。
あらすじはこんな感じ。
不妊に悩む夫婦が主人公。
色々なものが赤ん坊に見えてしまうほどのノイローゼに。
ある日夫が庭で抜いた切り株を、赤ん坊のように見立てて妻に差し出したところ、妻はそれを本物のように扱いだす。
やがて切り株は動き出し、信じられないほどの食欲を見せ始め…。
とにかく怖い
この監督の『アリス』もちょっと怖いんですが、『オテサーネク』は比較にならないです。
冒頭がもう怖い。
赤ん坊を魚のように露天で売っているシーンから始まります。これは夫のノイローゼによる幻覚なんですが、
その後も切ったスイカからなど、有り得ないところから赤ん坊が出てくるシーンが続きます。
そして、切り株までも赤ん坊に見え、冗談半分でちょうどいい大きさに切り、妻に見せるんですが、妻もまたそれを受け入れるほどに参っていたんですね。
この精神状態を映像で見せられるので、こちらまでおかしくなりそうです。
その後切り株に「オティーク」と名付け、育てていくと、とんでもない暴食であることが分かります。
ミルクやスープでは足りなくなり、やがて妻の髪や猫を食べてしまい、人間までも食べてしまう…。
この見せ方も怖いんですよ…。
チェコの民話がベース
『オテサーネク』は、チェコの食人木の民話をベースにしているそうです。
チェコの民話どうなってんねんって感じですよね笑
まあ、グリム童話だって怖い話多いですし、日本の昔話だってヤバいのありますもんね。「かちかち山」とか。
でも、チェコの昔話は抜群だそうで…、他の話も結構怖いらしいので、興味のある人はぜひ。
映画では『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』や『ハリー・ポッター』に出てくるマンドラゴラのような木の化け物になってるんですが、この特殊効果は素晴らしい。
特殊効果がすごい
もうこの『オテサーネク』クリーチャーの造形もストップモーションもお見事なんです。
うねうねと動いているように見えますし、口から目がギョロっと飛び出すシーンなんか思い出しても怖いです。
木の切り株を何体も用意して、コマ撮りしたそうで、CGを使用したのは授乳シーンだけなんだそうです。すごいこだわりっぷりです。
特殊効果で有名な監督といえば、ギレルモ・デル・トロですよね。
ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』では、半魚人が猫を食べる描写があるんです。
これはきっと『オテサーネク』のオマージュでしょう。
しかし、オマージュされるばかりでなく、『オテサーネク』もまた、ある有名な作品のオマージュをしているんですよ。
『シャイニング』のオマージュ
きました。みんな大好き『シャイニング』です。
『シャイニング』で怖いシーンとして有名な237号室の老婆。
美女の正体がドロドロにふやけた老婆であることが分かり、後ずさるシーンがありますよね。
で、老婆が手を前に出しながらゆっくりと近づいてくると。
あのシーンのオマージュが『オテサーネク』にはあります。
変態ジジイが少女に近づくシーンですね。
メガネをつけて、手を前に出してそっと近づいてくるシーンです。(あのジジイは少女の尻を触ろうとしているんですが)
めちゃくちゃよく似てるので、間違いないでしょう。
散りばめられた性的表現
『オテサーネク』には、隣家の娘の発言や行動、その他あらゆるカットには性的なものを連想させる意図が視えます。
上記の変態ジジイなどは、性的趣向まで露見していますね。
精液を連想させるものや、卵巣を連想させるものが度々出てくるんですよ。
切り株にも男性器そっくりのものが生えているあたり、何か強いこだわりがあるんだろうなと思います。
あの夫婦は、どちらも精子と卵子に問題があるようなので、そういった心の不安と重ねた演出なのかな。
ここまでの解説で、結構ヤバい作品なんだろうと思うでしょうが、最後は少し感動します。
これもまた、本作の凄いところです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『オテサーネク』について解説しました。
ヤン・シュバンクマイエル監督のこだわりが詰まりまくった傑作です。
恐怖に震えましょう…!
Amazon Prime Videoで観ることができますよ。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22
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