綺麗に繋がるメンフィスの夜の出来事
映画『ミステリー・トレイン』を鑑賞しました。
ジム・ジャームッシュの作品です。
2024年4月26日から1週間限定で、シネマートでは、「ジム・ジャームッシュ特集2024」を開催しています。
その中の作品の一つがこちら。
『パターソン』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『コーヒー&シガレッツ』『デッド・ドント・ダイ』などのジム・ジャームッシュ作品を観てきました。
そしてつい先日、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』を観て、すっかりジャームッシュな気分になったので、未鑑賞の『ミステリー・ドライブ』も鑑賞したという次第です。
驚きや感動がたくさんありましたので、感想を中心にお伝えしていこうと思います。
あらすじはこちらです👇
ブルースとソウルとロック、そしてエルヴィス・プレスリーを生んだメンフィスの街を舞台に3つの物語が交差するオムニバス形式の作品。それぞれがそれぞれの場所で、同じ夜汽車を眺め、エルヴィスの「ブルー・ムーン」を聞き、翌朝1発の銃声を耳にする、ワンナイト・ムービー。
https://www.cinemart.co.jp/theater/shinsaibashi/topics/20240401008777.html
心地いい繋がり方
本作はオムニバス形式の作品です。
メンフィスに滞在、または居住する人々を3話別々の軸で描きます。
でも、最後に行き着く先は同じホテルなんですよね。
第1話と第2話で、ラジオから流れるプレスリーの『ブルー・ムーン』を聞いて、翌朝1発の銃声を耳にして、その正体は分からずに終わるんですが、
第3話でそれが何だったのかわかるという非常に気持ちのいい繋がり方をするんですよ。
この辺の気持ちよさは、『パルプ・フィクション』によく似ているなと思います。こちらの方が静かな雰囲気ですが。
1989年に作られた作品なので、こっちの方がいくらか昔に作られているんですね。
ジャームッシュって器用だなぁ。
キャストが面白い!
『ミステリー・トレイン』はキャスティングが特異です。
まず、第1話の主人公が工藤夕貴と永瀬正敏なんですね。横浜から来たロック好きのカップルを演じています。
二人とも若い!(この当時工藤夕貴は18歳、永瀬正敏は23歳)
二人とも日本語で話します。
永瀬正敏の淡々としたセリフの感じがいいんですよ…。
とてもジャームッシュ作品の世界観にマッチしています。
『パターソン』に出たのも、この役が繋がってるんじゃないかと思いますね。
また、第3話のキャストも素敵。
スティーブ・ブシェミに加え何とあのジョー・ストラマーが出演しています。(クラッシュのボーカルです)
特に歌うシーンとかはないんですが、エルヴィスと呼ばれているのが面白いです。
『ミステリー・トレイン』って、アキ・カウリスマキの作品の雰囲気に一番近いと思うんですよ。
アキ・カウリスマキとジャームッシュはとても仲良しで、
ジャームッシュ自身がカウリスマキの『レニングラード・カウボーイズ』に出演していますし、
ジャームッシュの紹介で、ジョー・ストラマーがカウリスマキの『コントラクト・キラー』に出演しているという繋がりもあります。
ちなみに『コントラクト・キラー』では歌いますよ。
逆に『ナイト・オン・ザ・プラネット』では、カウリスマキ作品の常連俳優マッティ・ペロンパーが出ていたりと、本当仲良しこよし。
ジャームッシュの映画って…
今回『ミステリー・トレイン』を観て思ったんですが、
ジム・ジャームッシュって男女が寝てるシーンを上から撮るのが好きですよね。
これは『パターソン』のショットです。
『ミステリー・トレイン』では、第1話で工藤夕貴と永瀬正敏を上から撮るショットがありました。
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』では吸血鬼のカップルを。
愛し合う男女を撮る時は、必ずこのベッドの上からのショットが入る印象です。
それぞれの作品で、愛し合っている度合は違うと思うんですが、その深さのようなものを、このショットで表しているのか。
はたまた、愛し合う一組の男女の自然な様子を映し出すねらいなのか。
いろんなこだわりがこもっているように感じます。
これからジャームッシュ作品を観るにあたって、楽しみたい視点の一つですね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ミステリー・トレイン』の感想や見どころを紹介しました。
繋がり方が心地よくてかつジャームッシュらしい。巧さを感じる作品です。
魅力的なキャストにも注目だね!
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