『悪は存在しない』難解ラストを徹底考察!

ドラマ映画

考えることで、この物語は完結する

映画『悪は存在しない』を鑑賞しました。

本作は『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督の新作です。

『ドライブ・マイ・カー』があまりにもすごかったので、流石に前作越えはないだろうと思っていたのですが、これはこれでもの凄い作品でした…。

銀獅子賞獲ってますしね。

本作も、『ドライブ・マイ・カー』同様、独特の雰囲気を醸し出しているのですが、大きく違うのがラストの演出。

もう、とんでもなく驚きましたし、1日経った今でも胸がざわついております。

bitotabi
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今回の記事では、そんなラストシーンについて考察を述べたいと思います。

ダニー
ダニー

完全ネタバレだから、まだ観てない人は気をつけてね!

あらすじ・感想

まずは公式サイトのあらすじと、簡単な感想から。

長野県、水挽町(みずびきちょう)。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧(大美賀均)とその娘・花(西川玲)の暮らしは、水を汲み、薪を割るような、自然に囲まれた慎ましいものだ。しかしある日、彼らの住む近くにグランピング場を作る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりを受けた芸能事務所が政府からの補助金を得て計画したものだったが、森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は巧たちの生活にも及んでいく。

https://aku.incline.life/

全体的に、セリフが淡々としていて、演技っぽくなかったのが印象的でした。

当初はスタッフとして参加していた大美賀均さんが主演ですが、その演技っぽく無さがマッチしていたように感じます。

子ども役の西川玲さんも素晴らしい。無垢で可憐な少女として、物語に溶け込んでいたように思います。

また、物語のテーマとして大きい、長野県の雄大な自然の映し方。これもまた味わい深いです。

そして、それにマッチする素晴らしい音楽。

それらだけでも充分に楽しめる本作ですが、まさかあんなラストが待ち受けいていようとは思いもしませんでした。

 



bitotabi
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それではここから、考察に参ります。

考察にあたって

主人公の巧が芸能事務所の男高橋の首を締め落とすという、驚きのラストで幕を閉じる本作。

ヤフーニュースのインタビューにて、監督はこのように語っています。

ストーリーの進行とともに、地方と東京それぞれの登場人物に少しずつ共感していくうちに、衝撃的なラストを迎える。映画を見終わった人は、何とも言い表せない、形容しがたい感情に襲われることだろう。

「わかりやすい対立構造みたいなものがあって話が進むなか、主人公はずっと誰とも対立する立場にはいないんです。議論が紛糾する場面でも、実のところ中立的なことを言っています。そんなキャラクターの最後の行動が観客を驚かせるわけです」

観客にとっては、驚かされるのと同時に難解でもある。そこに込めた意味を濱口監督に聞くと、ネタバレにはならないように答えてくれた。

「ただ単にそれが起きた、ということが第一です。それを受け止めていただきたい。主人公の側にもいわゆる悪意は存在しないという解釈でいいと思います、たぶん(笑)

さらに濱口監督は続ける。

「彼自身が生きてきた人生と、あの瞬間の偶然みたいなものが、彼にああいう行動を取らせているんじゃないかと考えています。あの瞬間に、タイトルと物語の緊張関係がもっとも高まります。劇中の高橋のラストのセリフは観客の疑問でもあると思いますが、その答えは与えられることはなく、高橋も観客もなぜこうなったのか自問するしかない、という構造です」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2e8c44ecb46bd09182135051aaf670fe959d707b

なるほど…、観客が考えることで、この物語は完結するというわけですね。

この記事をお読みになっているあなたも、きっとあの結末について自分はどう向き合い、結論づけるか、また、他の人はどう受け止めたのか。

そういった気持ちで読みにきてくれたのだと思っています。

それではここから、私なりに導き出した結論を、いくつか述べようと思います。

 



考察その1

一つ目は、巧はグランピング建設への怒りをぶつける目的で高橋の首を絞めたのではないかというものです。

ずっと中立な立ち位置だった巧。

彼自身も、どうするべきかは今一つ分からなかったのでしょう。

グランピング建設を受け入れるか、反対すべきか。

しかし、ラストシーンにて、撃たれた鹿を目撃したことで、やはりこの場所にグランピング施設なんて作ってはいけない。(おそらくラストのあの場所は建設予定だったのでしょう)

人の為にも、鹿やそれ以外の動物のためにも。

そういった感情と共に、怒りのあまりにあのような行動に至ったという。

また、娘の花ちゃんが愛する自然が無くなってしまうかもしれないという危機感も乗っかっているように思いました。

 



考察その2

2つ目は、衝動的な行動ではなく、初めからそのつもりだったというものです。

巧みは村の「便利屋」。

村長あたりに、こういったことを依頼されていたのではないかというものです。

村長が自分ではなく、巧の連絡先を聞くように指示したのも、この作戦が裏にあったからなのかもしれません。

きっかけを作ろうとしていた矢先、向こうからのこのこやってきた。

そしてタイミングよく、高橋と二人きりになることができた。

なので、作戦通り、高橋を始末したと。

東京の人間を殺したら、後始末が大変そうですが、そこはまあ、花ちゃん捜索中に行方不明になったとかにすれば、クリアできそうな感じもします。

これといった仕事をしていないにも関わらず、「金には困ってない」という巧のセリフ。

このような汚れ仕事を、度々請け負う対価として、大金をもらっているという可能性も考えられますね。

 



今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『悪は存在しない』の考察を、私なりにまとめてみました。

bitotabi
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ダニー
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