ボクは門出の絶対だからです
映画『デッドデッドデーモンズデデデデデボクストラクション 後章』をTOHOで鑑賞してきました。
前章のクライマックスは大変な衝撃でした。そして、満を持しての後章。
映画の設定とか声優については前章の記事で解説していますので、今回は感想を中心にお伝えします。
私はもう、この後章を観るのが大変恐ろしく感じていました。
なぜなら、浅野いにおの『おやすみプンプン』の後半がとっても辛かったから。
読むことを後悔しながらも、ページをめくる手が止められない。そんな毒のある作品でした。
絶対いい結末を迎えないであろう、少年少女の青春悲劇を描いた作品。
だから、きっと『デデデデ』もそうなんだろうなと思ってまして…。
鑑賞までコミックも読まず、ネタバレも踏まず、我慢できました。
それではここから、後章の感想と解説に参りましょう。
ネタバレ注意です!
後章 感想
後章の公式サイトあらすじはこちら。
入試に合格し、
https://dededede.jp/about/#story
亜衣や凛と同じ大学に通うことになった門出と凰蘭。
大学では竹本ふたば、田井沼マコトと意気投合、
会長の尾城先輩がいるオカルト研究会に入部してキャンパスライフが始まった。
一方、宇宙からの〈侵略者〉は東京のそこかしこで目撃され、
自衛隊は無慈悲な駆除活動を粛々と実行していた。
上空には、傾いて煙が立ち上る母艦。
政府転覆を狙い〈侵略者〉狩りを続ける
過激派グループ・青共闘の暗躍。
世界の終わりに向かうカウントダウンが刻まれる中、
凰蘭は、またもあの不思議な少年・大葉に遭遇する…。
まず、一番気になっていた結末については、決して後味の悪いものではありません。
むしろ好きな感じのラストでした。
全体的な感想としては、
・SF要素がかなり強く楽しめた
・メロドラマっぽい展開があって誰でも観やすい
・どうしても小比類巻が鬱陶しかった
・「絶対」があることの素晴しさを教えてくれる
といったものを持ちました。
それぞれ詳しく解説していこうと思います。
SF映画として面白い
まずはじめに、『デデデデ後章』は、SF映画としてかなり面白い。
『前章』のラストで、門出の過去について知り、ならば一体今のこの状況はどういうことなのか、めちゃくちゃ気になりましたよね。
侵略者の道具を用いて、門出の記憶を消したのか?それともタイムマシンのようなものを使ったのか。
徐々にそれが明らかになっていくんですよね。
門出に殺されたはずの総理が生きているぞ。この海辺の町は前にきたところだぞ。って感じで。
そして明らかになったのが、おんたんは別の次元、パラレルワールドからやってきたということでした。
パラレルワールドが存在するという設定なんですね!
おうらんはシフター(平行世界をシフトしている人)であると。
分かりにくかった人のために言っておくと、ドラゴンボールのトランクスくんとか、七曲りの森下さんと同じ設定です。
今自分が生きている世界とは別の世界が並行して存在しているというSF理論ですね。
最近でいうと、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もこの理論を用いていました。あれはパラレルワールドにいる様々な自分の力をインストールして闘うという設定でしたね。
で、おんたんは、門出が男子のいじめから救う、侵略者と出会ってしまう夏期講習に行かせないなど、悲劇的な未来の引き金となりうるターニングポイントで暗躍してきたというわけなんです。
まあまあ、この設定だけなら、そこそこありがちかなと思うんですが、私がすごくいいなと思ったのは、その事実に近づく過程で、おんたんの頭の中を覗くシーン。
侵略者の大場くんの道具を使って除くんですが、これが『インターステラー』のあのシーンにそっくりなんです!
これはたまりませんでしたね。グッと引き込まれました。
『インターステラー』では、本棚が5次元を移動するカギになっておりまして、
『デデデデ後章』では、おんたんの記憶がまた本棚のように並んでいると。
他にもいろいろSFとして面白い部分はあるんですが、個人的には最もこの演出に痺れました。
メロドラマっぽい展開
『デデデデ後章』は、メロドラマっぽい展開にもなっていきます。
まさか、おんたんと大場が恋に落ちるとは…。
このあたりのドラマがあるので、SFが得意ではない人にとっても、かなり見やすくなっているのではないかと思います。
でも、メロメロのメロドラマにはしない。
何とも爽やかでね、いいんですよ。グッと近づくかと思うとギャグになっちゃうところも世界観が守られているなって感じ。
「頭の中がオール下ネタ。魂の練度が低い女」というセリフにはめちゃくちゃ笑いました。
小比類巻が鬱陶しい
こいつはもう、鬱陶しかったです笑
なんでこいつがラスボスみたいにならなくちゃいけないのって感じ。
しかも結構強い。嫌でした。
セリフのすべてから中二病臭漂っていて、寒気がしました笑
「絶対」があることの素晴しさ
この作品で最も伝えたいことは、これなんじゃないかなと思います。
自分にとって、「絶対的」な何かがあれば、健やかに生きていけるという。
大切な人を失って、住んでいた町も壊滅、この後の影響だって計り知れない。
でも、自分にとって「絶対」である人が傍にいるなら、なんとか生きていけるよ。
そんなラストだったので、決して嫌な感じはしなかったんだと思います。
門出とおんたんのような関係は稀有だと思いますが、これってもう少しミニマルな考え方もできるんじゃないかと思います。
例えば門出にとっての「いそべやん」だったり
おんたんにとっての「銀杏BOYS」だったり
まことにとっての「ウィッグ」だったり
小比類巻にとっての「革命」だったり
好きなものとか、好きな人とか、好きな考え方がその人に与えるエネルギーというのは、想像以上に強いものなんだろうなって。
今の私にとっては、映画を観ることなのかもしれません。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『デッドデッドデーモンズデデデデデボクストラクション 後章』の感想と解説をお伝えしました。
SFとしてもメロドラマとしても、大変楽しみやすい作品です!
自分にとっての「絶対」って何だろう?って考えさせられたね。
コメント