「Hey, Little Troublemaker」
映画『ジャンゴ 繋がれざる者』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
クエンティン・タランティーノ監督作品。
私は本作を観て、大変感動するとともに、人間のおぞましさもまた、感じました。
どんな作品なの?
本作は、西部劇をタランティーノ監督が独自にアレンジしたような作品になっています。
今回の記事では、『ジャンゴ 繋がれざる者』を深く楽しむための解説記事です。
ネタバレを含みますので、ご注意ください。
まずはどのようにアレンジしたかを解説します!
そもそもDjangoとは
いかにアレンジしたかを知るために、まずは「Django」というキャラクターについて説明します。
「Django」とは、1960年代にイタリアで作られた西部劇の主人公の名前です。
この頃イタリアではアメリカを舞台にした西部劇、日本でいうところのマカロニウエスタンという映画が大変人気だったんですね。
もちろん、日本やアメリカでもヒットしました。
1966年の『続・荒野の用心棒』(英題はDjango)のヒットをきっかけに、それ以降様々なマカロニウエスタン映画で、「Django」というキャラクターの名前が使われるようになりました。
タランティーノ版ジャンゴの特徴
タランティーノ版ジャンゴの最大の特徴は、何といっても主人公を黒人にしたことです。(ジェイミー・フォックスが演じています)
それまで「Django」というキャラクターは、白人が演じてきましたが、それを黒人にし、さらに舞台を南部に変えているんです。
で、黒人で南部というと、アメリカの黒い歴史、黒人奴隷文化が主になっている訳です。
この作品はアメリカに住む白人の、奴隷に対する残忍な行為を初めて描いたアメリカ映画なんですよ。
映画史は長いですが、それまで南北戦争をテーマにしたものはあったにせよ、奴隷に対する暴力や非人道的な行動にフォーカスしたものはなかったんです。
とても勇気の籠った作品だと思いませんか?
この作品以降『それでも夜は明ける』のような作品が描かれるようになっていきました。
ちなみに、普通マカロニウエスタンというのは、その名の通り西部が舞台で、賞金稼ぎのガンマンを描くものですよね。
皆さんが頭に思い浮かべるとしても、黒人のガンマンってイメージしにくいと思うんですよ。
でも、実際は南北戦争後黒人たちは西部に流れてガンマンをやっていたということが、近年になって分かってきたそうです。
だからこれってあながちおかしなことではないんですね。
タランティーノの勇気
この映画は、黒人奴隷に対する残忍な行為をはっきりと描いています。
遠く離れた奴隷市場までとんでもない薄着で、足枷をつけたまま歩かせるなんて当然だし、
些細なミスで鞭打ちするなんてことも(肉を裂くほどの威力です)、
レオナルド・ディカプリオが農園主としてたくさんの黒人を奴隷として使うキャラクターを演じているんですが、これがもう本当に最低なんです。
奴隷同士を死ぬまで闘わせる「マンディンゴ・ファイティング」というものを一興として笑いながら眺めているんですよ…。
マンディンゴというのは優れた肉体を持つ者を生き残らせるという意味なので、映画では描かれませんが、より優れた黒人を生むために、性的な虐待もしているはずです。
他にも犬に襲わせるシーンなんかもあるんですが、これ、耐性が無い人には相当きついと思います。
それだけの残虐なシーンを、隠すことなく伝えた。これは本当にすごいことだなと思います。
また、そういった行為に対して、主人公ジャンゴが復讐する。これもまた、多くの黒人たちに感動を与えたはずです。
2010年代に西部劇を
黒人へのリスペクトに加えて、古き良き映画へのリスペクトがこもっているのが、タランティーノ監督作品の特徴です。
『キル・ビル』では日本の時代劇とブルース・リーが出演していた香港アクションへのオマージュがたくさん詰まっているし、
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではあの頃のハリウッド対するオマージュがたくさん詰まっています。
そして本作では、イタリアの西部劇へのオマージュをしているんですね。
さらに、ブラックスプロイテーションという70年代に黒人がクールだとされて、黒人が白人を殺すようなカウンターカルチャー的な映画をミックスした映画でもあるんです。
ブラックパワームービーと言われたりもします。
このシーンに注目!!
ここから先は、特に注目していただきたいシーンやキャラクターを紹介します。
初めてのビール
ジャンゴの救い主であり、パートナーでもある、シュルツは黒人差別に反対する人物で、ジャンゴに対しても平等に接しようとしています。
そんな彼は、初めてジャンゴと村に立ち寄った時に、パブでビールをふるまうんですね。
これがとにかく美味そうで。
絶対に飲みたくなりますよ。
悪者たち
本作には悪いやつがたくさん出てきます。
特に注目していただきたいのが、サミュエル・L・ジャクソンとディカプリオの二人。
もう本当に胸糞悪いくらい嫌なキャラクターです。
狡猾で、力強い。
二人の演技は流石だなと思います。
ジャンゴの復讐
そんなあらゆる理不尽に対して、ジャンゴは次々と復讐を果たしていく。
これがこの映画最大の見どころですね。
特に、鞭打ちをし返すシーンと、
ラストシーンはたまりません。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ジャンゴ 繋がれざる者』の解説をお届けしました。
やっぱりタランティーノ監督の映画は楽しいです。
かっこいいセリフもたくさん出てくるよ!
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