『ワールド・ウォーZ』ゾンビ映画はこうでなくっちゃ

アクション・パニック映画

We have to work together. It’s the only way to survive.

ゾンビ映画は風刺の宝庫。

これまで、多くのゾンビ映画が社会問題や人間の本質を風刺しています。

例えば、ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』(1978年)は、消費社会への批判が込められています。ゾンビたちがショッピングモールに集まるシーンは、無意識に消費行動を繰り返す現代人を風刺しています。

また、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)は、人種差別や社会的な不平等をテーマにしています。黒人の主人公が最後に白人警官に射殺されるシーンは、当時のアメリカ社会の人種問題を強く意識させます。

さらに、『28日後…』(2002年)は、ウイルスの蔓延とそれに対する人々の恐怖やパニックを描いており、現代のパンデミックへの警鐘とも取れます。

ゾンビ映画は単なるホラーではなく、社会の問題や人間の本質を映し出す鏡のような存在なのです。

ただ怖がるだけではもったいない。それがゾンビ映画。

bitotabi
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そして、今回紹介する『ワールド・ウォーZ』もその一つ!

ダニー
ダニー

どういう内容を風刺しているか、詳しく解説していくね。

ワールド・ウォーZ (2013年)

監督: マーク・フォースター
脚本: マシュー・マイケル・カーナハン、ドリュー・ゴダード、デイモン・リンデロフ
主演: ブラッド・ピット
あらすじ: 元国連職員のジェリー・レイン(ブラッド・ピット)は、突如発生した謎のウイルスが世界中に広がり、人々をゾンビ化させるパンデミックに直面する。家族を守るため、ジェリーは国連の要請で各国を巡り、ウイルスの起源と対策を探る旅に出る。彼はイスラエルや韓国などを訪れ、ゾンビの脅威に立ち向かいながら、ウイルスの謎を解明しようと奮闘する。

ざっくりと風刺は4つ

『ワールド・ウォーZ』にはざっくりと4つの社会風刺が込められているのではないかと思われます。

  1. グローバルなパンデミック
  2. 政府と国際機関の対応
  3. 社会の分断と協力
  4. 人間の本質と生存本能

それぞれ詳しく解説していきましょう。

グローバルなパンデミック

みなさんの記憶に新しい「コロナウイルス」。

あれって実は2002年から既にあったものなんですよ。

SARSと呼ばれていたものですね。

そして、2012年頃にまた、MERSと呼ばれるウイルスが蔓延しました。

これもまた、コロナウイルスと同じ種類の感染症なんです。

MERSの恐いところは、感染経路がいまだ明らかになっていないところです。

加えて、患者の約半数が死亡、これといった治療法が確立されていないという本当に厄介なウイルスなんですね。

映画の中心テーマは、未知のウイルスが世界中に広がり、人々がパニックに陥る様子です。

これは、現実のパンデミックに対する人々の恐怖や混乱を反映しているのではないでしょうか。

映画公開のタイミング的にも、しっくりきます。

政府と国際機関の対応

政府や国際機関の対応の様子もまた、この映画の風刺ポイントです。

主人公ジェリー・レインが国連の職員であることから、内部の様子をじっくり観察することができ、映画は国際機関や政府の対応の遅れや混乱を描いています。

これは、実際の危機管理や国際協力の難しさを風刺しています。

コロナショックの時、国や政府の対応は皆さんも注目しましたよね。

しかし、本作では、対応の遅さだけではなく、誰もが命をかけて現場で闘っているのだというポジティブな面も見せてくれてはいます。

 



社会の分断と協力

これが非常に面白いし、この映画の特徴的なところです。

大概のアメリカ映画って、アメリカの医療や対応が世界一!

私たちが世界を救う!

みたいな流れになることが多いんですが、この映画は少し違う。

アメリカは壊滅し、イスラエルやインドなど、他国へ助けを求めにいくのです。

映画では、イスラエルが早期に高い壁を築いてゾンビの侵入を防ぐシーンがあります。

これは、現実の国境管理や移民問題を暗示しており、社会の分断と協力の必要性を強調しています。

今でもまだ、イスラエルとパレスチナでは緊張した状態が続いておりますので、協力の必要性はこちらの作品を観た際にはぜひ汲み取っていただきたいですね。

人間の本質と生存本能

これは多くのゾンビ映画にいえることですね。

ゾンビに対する人々の反応や行動は、人間の本質や生存本能を浮き彫りにしています。

極限状態での人間の行動や倫理観が試される場面が多く、これも一種の風刺と言えるでしょう。

本作ではゾンビ化した街で悪行を働く輩は登場しません。

むしろほとんどがいい人。こちらの倫理観を試される気さえします。

何度も何度も、いい方に転ぶんですよ。

喘息の薬を入手しようと店を訪れるシーンや、アパートに逃げ込むシーンなんか、反省してしまうほど。

人間捨てたもんじゃないな。そう思わせてくれます。

主人公と家族を離ればなれにした政府側の人間も、結局は「働くざるもの食うべからず。みんな命かけてんだから、君もそうしなければ」ということなので、間違った指示ではないんじゃないかと私は思いましたね。

どんな状況にも屈しない強さを感じるシーンでもあります。

しかし、それ以外の、極度の緊張の中でも相手を思いやることのできるあたたかさを感じるシーンの数々。これが素晴らしい。

もちろん、ブラッド・ピット演じる主人公の優しさも最高です。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ワールド・ウォーZ』のメタファーについて解説しました!

bitotabi
bitotabi

グロさや恐さを求めると物足りないかもしれませんが、社会風刺を楽しみたい人はかなり楽しめる作品です!

ダニー
ダニー

ブラッド・ピットもかっこいいよ!

 

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