『ジョーカー:フォリア・ドゥ』が作られた理由と、ミュージカルな理由【贖罪と誇張】

映画

「That’s Entertainment」

映画『ジョーカー:フォリア・ドゥ』をTOHOで鑑賞しました。

公開前から賛否両論があった本作。

その理由は大きく2つ。

・前作『JOKER』の出来が良すぎたから、越えられるはずのない続編を作るよりもこのまま終わった方がいい。

・前作『JOKER』が社会に悪い影響を与える作品でもあったため、自粛すべき。

bitotabi
bitotabi

私は映画は映画であると、ある程度割り切って考えられるのですが、一部の人々にとっては『JOKER』は感化され過ぎる作品であったんですね。

ダニー
ダニー

確かに、日本でもアメリカでも影響は大きかったよね。

そういったネガティブな側面がある中、どうして制作、公開されてしまったのか。

今回の記事ではそこに迫っていこうと思います。

『JOKER』が持つ影響力

まず初めに、『JOKER』という映画がもつ影響の大きさについてもう少し詳しく解説していこうと思います。

JOKERというキャラクターは、かなり曰くつきなんです。

2019年に公開された映画『JOKER』、そもそもこの作品が公開される時点で、アメリカ本土では不安の声が上がり、映画公開時には厳戒態勢が取られました。

というのも、遡ること2008年『ダーク・ナイト』では、ヒース・レジャー演じるJOKERの演技が大きく称賛される一方で、ネガティブな影響もまた大きかったのです。

2012年7月、『ダーク・ナイト』の続編『ダーク・ナイト ライジング』が公開された時、悲劇は起こりました。自分をジョーカーだと名乗る24歳の男が、映画上映中に銃を乱射し12人を射殺するという事件が起こります。

そのため、『JOKER』の公開も、かなり批判的なムードだったわけであります。

『JOKER』公開時、厳戒態勢が取られたアメリカでは大きな事件が起こっていないようですが、日本では大事件が。

2021年10月、JOKERに扮し、京王線特急電車内で乗客1人を刺した上、車両に火を付け、計13人を殺害しようとしたとして一人の男が逮捕されました。

そのため、特に日本では続編『ジョーカー:フォリア・ドゥ』が批判的なムードが強かったわけであります。

 



監督の贖罪

トッド・フィリップス監督は、『JOKER』という強烈なエネルギーを持つ作品生み出しました。

結果、日本や世界各国でJOKERに感化され、よからぬ方向へ進んでしまった人が出てきてしまったと。

私は本作はその贖罪として作られたのではないかと思います。

ダニー
ダニー

ここから先はネタバレになるので、観てない人は注意してね。

 



まずタイトルに入っている「フォリアドゥ(仏:Folie à deux)」という言葉は、感応精神病、またはフランス語で二人狂いという意味です。

一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有することが特徴の病気ですね。

劇中でリーがJOKERに強い影響を受けたことを差しつつ、現実に『JOKER』から影響を受けた人々のこともさしているのでしょう。

本作は、前作でJOKERが犯した罪について問われる裁判劇となっています。

結果、JOKERは死罪となり、最終的に命を落とすという結果まで、劇中はっきりと見せています。

「JOKERは一時悪のカリスマになったが、結局のところただの人間で、罪を犯せばその責任を取らされる」

そういったメッセージを伝えるために贖罪としてこの映画を作ったのではないでしょうか。

また、『ジョーカー:フォリア・ドゥ』がミュージカル調であることも重要なんです。

ミュージカル調である理由

『ジョーカー:フォリア・ドゥ』はジャンルに分けるのであれば、ミュージカル映画になるのではないかと思います。

劇中、JOKERやリーが突然歌って踊る、そんなシーンが何度もあります。

シリアスなドラマ映画だった前作とはかなり違いますよね。

明るささえ感じることができる作りになってるんですから。

そして、これにはちゃんと理由があります。

「これは映画なんですよ。楽しむための娯楽なんですよ」

と強く伝えたかったからなんです。

劇中でガガやホアキンが歌い上げる『That’s Entertainment』という曲。

この歌詞が正にそれを表しているわけです。

この曲は名作ミュージカル映画『バンドワゴン』の曲です。

落ち目の俳優が仲間と協力して舞台で再起を図るという明るいミュージカル映画。

「ピエロの笑いやロマンスを楽しみましょうよ それがエンターテインメントでしょ」

それを実にダイレクトに伝えにきたというわけであります。

これを見せられちゃあ、JOKERを真似るのはもはやダサいというか、人間的に浅い。そんな印象を持っちゃいますよね。

だから、本作において歌はとにかく重要。

レディ・ガガがヒロインを演じることに批判的な声も多く上がっていましたが、むしろ彼女の声があったからこそ、この映画は1段上に上がっています。

これを観て、ガガの演技がイマイチだどうだとか言っちゃうのは、ちょっと違うんじゃないかな~と思いますね。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ジョーカー:フォリア・ドゥ』が作られた理由と、ミュージカル映画である理由について解説しました。

bitotabi
bitotabi

『JOKER』にハマりすぎた人は、ぜひこちらを観て完結させた方がいいと思いますよ。

ダニー
ダニー

『バンドワゴン』も観ると楽しみやすいかもね。

 

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