「私たちは皆、誰かの夢の中の登場人物に過ぎない。」
映画『ブレードランナー』
リドリー・スコットの名作として挙がる本作。
実は公開当初の興行収入は今一つだったんです。
にもかかわらず、VHS発売からカルト的な人気を誇るSFの名作となって変わった作品。
え~、そうなんだ!
という感じで、『ブレードランナー』には、そういった「実は」な情報がたくさんあるんです。今回は少しマニアックな視点から『ブレードランナー』の魅力やトリビアをお伝えします!きっと、『ブレードランナー』を観たくなるはずです。
STORY
まずは簡単にあらすじを。
2019年、環境破壊が進んだ未来のロサンゼルス。人類は宇宙への移住を進め、地球には酸性雨が降りしきる中で暮らす人々が残されていた。この世界では、遺伝子工学によって作られた人造人間「レプリカント」が存在し、過酷な労働や危険な作業に従事している。しかし、レプリカントは4年の寿命を持ち、感情を持ち始めると人間に反抗する危険性があった。
元ブレードランナーのリック・デッカードは、逃亡したレプリカントを追跡し、排除する任務を再び引き受ける。彼はタイレル社のレプリカント、レイチェルと出会い、彼女が自分の記憶が作られたものであることに気づく。デッカードはレイチェルに惹かれながらも、逃亡したレプリカントたちを追い詰めていく。
『ブレードランナー』は1982年に公開されました。
フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968)を原作としています。
フィリップ・K・ディックと言えば、『追憶売ります』➡『トータル・リコール』、『少数報告』➡『マイノリティ・リポート』、『スキャナー・ダークリー』(原作映画同名)など、多くの原作が映画化されています。
特に『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』はSF文学の古典として広く認知されていて、世界中で多くの読者に読まれ続けている超がつく名作。
そんな偉大な原作にも関わらず…↓↓↓↓
リドリー・スコットって、実は…
監督であるにも関わらず、リドリー・スコットは原作を読んでいないんです。
原作『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』を読んだ人は分かるかと思いますが、原作は映画のようにハードボイルドな作品ではありません。
もっと洗練された雰囲気の、スタイリッシュなSFなんですよ。
リドリー・スコットが原作をしっかり読まずに映画を作ったからこそ、あの独特な雰囲気とカルト感が生まれたんですね。
ショーン・ヤングって、実は…
「レイチェル」というレプリカント役のショーン・ヤング。
とてもお美しいですよね。
めっちゃ変な髪型と服装なのに、痺れるくらいの美しさ。
なんとこの当時、まだ21歳だったんです。
ショーン・ヤングは『THE BOOST』で俳優のジェームズ・ウッズ(『ヴィデオドローム』の人です)と共演し、その後交際をしていました。
ジェームズ・ウッズの浮気癖があまりにひどく、なんと、ショーン・ヤングは寝ている間に彼のち○こを接着剤でくっつけたのだとか。
インタビューの中でジェームズ・ウッズは「膝まで届いていたよ」と笑顔で返していたそうです…。阿保ですね笑
いやはや、怖い話です。
若くして苦労を重ね、男女関係にも敏感だった彼女だからこそ、レイチェルの艶っぽい雰囲気を出せたのでしょうね。
ルトガー・ハウアーって、実は…
強く悲しきアンドロイド、ロイ・バティーを演じたルドガー・ハウアー。
その美しさや逞しさ、そして健気さに魅了され、いつの間にかデッカードよりもロイのほうに感情移入してしまう人も多いのでは?
個人的には一番好きなキャラです。
レイチェルと並んで、非常にアイコニックなキャラクターです。
最終的には、人間であるデッカードに、生き方を指南することを覚えていますでしょうか。
激しい攻防の末、窮地までデッカードを追い詰め、「生きたいだろ?」と語りかけるシーン。
4年間という寿命しかないレプリカントからの、「俺はもう死んでしまうけど、おまえは生きられるんだから、懸命に生きろ!」というメッセージがこもっているんですね。
その流れからの、最後の名シーン。
「おまえたち人間には信じられないようなものを私は見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦。タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム、そんな思い出も時間と共にやがて消える。雨の中の涙のように。死ぬ時が来た。」
(I’ve seen things you people wouldn’t believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate. All those moments will be lost in time, like tears in rain. Time to die.)
これ、なんとアドリブなんですよ。全文ではありませんが、後半はルドガーがその時思いついたものなんだそうです。
All those…あたりからですかね。本当素晴らしい、映画史に残る名シーンだと思います。
その他撮影中、アクションシーンや細かな演出において、リドリー・スコットは、ルドガー・ハウアーの意見を積極的に取り入れたのだとか。
ルドガー・ハウアーは『ヒッチャー』のクレイジーな演技も素晴らしいので、興味がある人はぜひご鑑賞ください。
ジョー・ターケルって、実は…
ジョー・ターケルはレプリカントの製造社タイレル社のトップ、タイレルを演じています。
キューブリックの映画に多く出演していることで知られる彼。
『シャイニング』ではバーテンの役を演じています。
そんな彼、実はセリフを全然覚えられないタイプなんだそうです。
カンペ必須俳優だったんですって。
そんな様子が分かるのがロイと対峙するシーン。
よく見ると、カンペを読むために、目が泳ぎまくっています。
実は、タイレル役の分厚いメガネのせいで、カンペが読みづらくて大変困ったそうです笑
しかし、無下にできないのが、『ブレードランナー』撮影中のこの時、彼の父が病気で危篤状態だったという噂もあるんですよね。
何にせよ、存在感は抜群です。
デッカードに共感しづらい理由
私は、本作を何度観ても「デッカード」に共感できないんですよね。
その理由として、
1.劇中で女しか撃たない
2.これといった大義がない
3.困った顔しかできない
4.雰囲気の割に弱い
の4つがポイントだと思うのです。
1.女しか撃たない
実はストーリーの中で、女のレプリカントしか倒さないんです。
その上、銃をもって背中から撃つという、何とも主人公らしからぬ倒し方。
2.これといった大義がない
原作では「奥さんに動物を飼ってあげたい」という大義名分があるんですよ。
映画では動物を欲しがることはおろか、奥さんはいないという設定。
ただの賞金稼ぎとして、だから、刑事にいいように使われているだけな印象が強くなるんですよね。
3.困った顔しかできない
これは、デッカードというか、ハリソン・フォードの問題です笑
90%以上、どのシーンも「困ったなぁ」みていな表情で乗り切っています。
唯一表情が見えるのは、攻撃を受けて痛がるシーンのみ笑
4.雰囲気の割に弱い
ハードボイルドな世界観の作品なので無双するのかと思いきや、デッカードはめっちゃか弱いんです。
すぐに武器を使うし、大体対峙する度ボコボコにやられます。あげく、女性に助けられる始末という。
いい歳なんですけど、それでも混沌した時代ゆえに、レプリカントにいろいろなことを教わりながら成長するという側面があるんですね。
そういった意味では可愛いやつなんです。
眼が表すこととは
『ブレードランナー』は眼がとても重要です。
冒頭は誰かの(ロイだと思いますが)両目のアップから始まりますし、
レプリカントを判定するテストでは眼を観察します。
さらに、ロイともう一体のレプリカントは、どちらも人間を攻撃する際に、眼を狙っています。
人間や生き物にとって、眼というのは大変重要であることを示唆しているのでしょうね。
「色々なものを観てきた」というラストのセリフしかり。
眼や、物事を記憶することに重点を置いているのでしょうかね。
ちなみに、『孤狼の血LEVEL2』で鈴木亮平が眼ばかり攻撃するのは、『ブレードランナー』のオマージュらしいですよ。
ユニコーンが表すこと
ユニコーンもまた、本作において重要なメッセージとなっています。
ラストシーンで、自宅に戻ると、アパートの廊下にユニコーンの折り紙が落ちています。
これは、ガフがレーチェルを見逃してくれたことを表現してるのですが、もう一つ面白い説があるんですよ。
私が観た「ファイナルカット版」では、中盤あたりで、デッカードの顔の後に、ユニコーンを映すシーンがあるんですね。
これ、デッカードが幼い頃にみた夢なんですよ。
なぜガフは、デッカードの夢に出てきたユニコーンの存在を知っているのでしょう。
それは、過去に記憶を移植され、つまりはデッカードもレプリカントなんじゃいかということを意味しているのでは…?
今日の映学
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