『ルックバック』解説記事 京アニへのオマージュとその背景

アニメ映画

じゃあ藤野ちゃんは、なんで描いてるの?

映画『ルックバック』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。

公開は2024年6月28日。

原作は藤本タツキによる同名の漫画で、監督は押山清高が務めました。

藤本タツキは『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』で知られる漫画家で、

押山監督は、『エヴァンゲリオン新劇場版:破』や『風立ちぬ』などの作品に携わってきた人です。

ダニー
ダニー

とっても感動的なお話だよね。

bitotabi
bitotabi

そうだね。でもね、この映画には表面上のストーリーだけではなく、ものすごく強いメッセージがこもっているんだよ。今回の記事では、『ルックバック』に込められた愛のこもったエールと、クリエイターの苦悩について解説します。

あらすじ

小学校4年生の藤野は、学年新聞で4コマ漫画を連載しており、周囲から絶賛されていました。しかし、ある日、教師から不登校の同級生・京本の漫画を掲載するために、藤野の連載枠の一部を譲るように頼まれます。藤野は最初、京本を見下していましたが、彼女の絵の才能に驚かされます。藤野は悔しさを感じながらも、本格的な絵の練習を始め、努力を重ねます。やがて、藤野と京本は互いに影響を与え合いながら、漫画家として成長していきます。しかし、ある日、すべてを打ち砕く事件が起きるのです…。

bitotabi
bitotabi

まずは、この映画を観るにあたって、「京都アニメーション放火事件」について押さえておく必要がございます。

京都アニメーション放火事件

2019年7月18日、京都アニメーションの第1スタジオで発生した放火事件は、日本のアニメ業界に大きな衝撃を与えました。この事件では、41歳の男性がスタジオに侵入し、ガソリンを撒いて放火しました。火災は瞬く間に広がり、建物全体を焼き尽くしました。この事件により、36人が死亡し、34人が負傷しました。

事件の背景と影響

犯人は、京都アニメーションに対する個人的な恨みを動機として犯行に及んだとされています。事件後、国内外から多くの支援と哀悼の意が寄せられ、Twitterでは「#PrayForKyoani」というハッシュタグが広まりました。また、事件の影響で、アニメ業界全体が安全対策の見直しを迫られることとなりました。

事件の詳細

事件当日、犯人はスタジオの1階にガソリンを撒き、ライターで点火しました。火災は瞬く間に広がり、建物内にいた多くのスタッフが逃げ遅れてしまったのです。火災発生からわずか1分で高温の煙が建物内に充満し、多くの犠牲者が煙を吸い込んで意識を失いました。

事件後の対応

事件後、国内外から多くの支援が寄せられ、寄付金は30億円を超えました。また、事件の犠牲者全員の氏名が公表されるまでに1か月以上かかり、実名報道の是非についての議論が巻き起こったのです。

 



『ルックバック』における京都アニメーションのオマージュ

『ルックバック』は、クリエイターの苦悩や成長、そして悲劇的な出来事に対する反応を描いており、京都アニメーションの放火事件を連想させる要素が含まれています。

ダニー
ダニー

ここから、具体的なオマージュについて解説していくね!

具体的なオマージュの要素

  1. 事件の描写: 作中で描かれる悲劇的な事件は、京都アニメーションの放火事件を彷彿とさせます。特に、クリエイターたちが犠牲になるシーンは、実際の事件を思い起こさせるものです。映画では12人が負傷、13人が死亡したとされており、現実はそれよりもさらに悲惨であったことから、いかに大変な事件であったかが身に沁みます。
  2. キャラクターの設定: 主人公たちの関係性や背景には、実際のクリエイターたちの苦悩や努力が反映されています。特に、才能あるクリエイターが、外部からの攻撃にさらされる描写は、京都アニメーションの事件と重なる部分がありますね。
  3. メッセージ: 『ルックバック』は、過去を振り返りながらも前に進むことの重要性を強調しています。このテーマは、悲劇的な出来事を乗り越え、未来に向かって進むためのメッセージとして受け取られています。

 



ヒロイン二人の名前の仕掛け

『ルックバック』のヒロイン二人の名前には興味深い仕掛けがあります。藤野の名前は、藤本タツキ自身の名前「藤本」と関連しており、彼の分身とも言えるキャラクターです。一方、京本の名前は、京都アニメーションの「京」と関連しており、京都アニメーションの事件をオマージュしていることを示唆しています。

藤野

藤野の名前は、藤本タツキ自身の名前「藤本」と関連しています。藤野は、藤本タツキの分身とも言えるキャラクターであり、彼のクリエイターとしての経験や感情が反映されています。

京本

京本の名前は、京都アニメーションの「京」と関連しています。これは、京都アニメーションの事件をオマージュしていることを示唆しています。京本のキャラクターは、才能あるクリエイターとして描かれており、彼女の存在が作品全体に深い意味を持たせています。

bitotabi
bitotabi

ちなみに、声優は、

藤野役: 河合優実

京本役: 吉田美月喜となっています。

藤本タツキの京アニへの愛情

藤本タツキが京都アニメーション(京アニ)に対する深い愛情を語ったインタビューは、いくつかのメディアで取り上げられています。特に、2024年6月25日に発行された「Rolling Stone Japan vol.27」のインタビューで、藤本タツキは京アニの作品が自身の創作活動に大きな影響を与えたと述べています。彼は特に『涼宮ハルヒの憂鬱』や『日常』、『氷菓』などの京アニ作品に感銘を受けたと語っています。

作品の意図

藤本タツキは、クリエイターとしての経験や感情を作品に込めており、『ルックバック』もその一環として制作されています。この作品を通じて、彼はクリエイターたちの苦悩や成長、そして悲劇に対する反応を描き出し、読者に深い感動を与えています。

 



『ルックバック』における『チェンソーマン』のオマージュ

『ルックバック』では、原作者藤本タツキの代表作である『チェンソーマン』のセルフオマージュも随所に見られます。

これらを汲み取ると、少年誌の本誌連載というのが、どれほど大変で、どれだけの想いがこもっているかがよく分かるはずです。

京本が扉を描くシーン

京本が扉を描くシーンは、『チェンソーマン』のデンジが夢の中でポチタから「開けちゃダメ」と言われるシーンを彷彿とさせます。このシーンは、キャラクターが新たな現実や恐れに直面する象徴的な瞬間として描かれています。これは、原作漫画でも同じでした。

藤野が連載している漫画の表紙

藤野が連載している漫画の表紙には、『チェンソーマン』のスタイルやデザインが反映されています。特に、キャラクターのポーズや構図が『チェンソーマン』の表紙とそっくりです。藤本タツキ独特のスタイルが感じられます。漫画のアップになるシーンをよく観ると、ストーリーもまた、同じような設定であることがうかがえますよ。

感想

私は漫画原作をすでに読んでいました。

なので、ストーリーはある程度頭に入っていましたが、めちゃくちゃ泣いちゃいましたね。

これ、アニメ化されて本当によかったと思います。

というのも、やっぱり京アニへのオマージュが色濃いんですよね。

だから、アニメになって完成された感じがあるというか…。

もう、序盤から泣けちゃいます。

具体的に私が泣いたシーンは、

初めて藤野が漫画の巧さで敗北して悔しがり、真剣に向き合うシーン

藤野が漫画描くことを一度辞めてしまうシーン

京本と藤野が出会うシーン(スキップで帰るところも)

二人が絵を共同して漫画を描くシーン

京本が美大へ進学する決意を告げ、二人が喧嘩別れするシーン

そして、ラスト。

いや、振り返ってみると、ほぼ泣いているんじゃないか?

エンドロールもグッときますもん。

藤本タツキの京アニへの感謝と、漫画家として生きる苦悩、そして漫画家やアニメーターへのエール。

これらがギュッと詰まった、最高に熱い1時間でした。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ルックバック』について、詳しく解説しました。

bitotabi
bitotabi

愛、感謝、苦悩、挫折、夢、激励。色々な感情がたっぷり詰まった濃厚な作品です。

ダニー
ダニー

Amazon Prime Videoで観られるから、ぜひ鑑賞してみてね。

 

https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22

 
当ブログは、毎日更新しています。
ブックマークして、またご覧いただけると嬉しいです。励みになります。
SNSにフォローしていただければ、更新がすぐわかりますので、ぜひフォロー・拡散よろしくお願いします。

X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi

 



コメント

タイトルとURLをコピーしました