こんだけ嫌われりゃ本望だ
Netflixのドラマ『極悪女王』を鑑賞しました。
『極悪女王』は、1980年代に日本の女子プロレス界で活躍した伝説的なレスラー、ダンプ松本の半生を描いたドラマです。監督は白石和彌、脚本と企画は鈴木おさむが担当し、主演はゆりやんレトリィバァが務めています。このドラマは、ダンプ松本がどのようにして女子プロレス界で名を馳せ、最も恐れられるヒール(悪役)レスラーとなったのかを描いています。
めちゃくちゃ面白くて、女子プロレスに抱いていたイメージががらっと変わりました。
ダンプ松本さんが、どういった経緯、どういった感情で極悪非道なヒールレスラーとして活躍したのかが非常によく分かります。
これが実話ベースなんですから、もう、本当に面白い作品ですよ。
今回の記事では、『極悪女王』を実際の人物や出来事と重ねつつ解説していきたいと思います。
まずはあらすじと一緒にこちらの動画をご覧ください!
あらすじ
物語は、1974年の日本から始まります。主人公の松本香は、貧しい家庭で育ち、父親の暴力や借金に苦しむ日々を送っていました。ある日、香は偶然にも女子プロレスの練習風景を目にし、その世界に魅了されます。彼女はプロレスラーになることを決意し、厳しいトレーニングを経てデビューを果たします。
しかし、正統派レスラーとしての成功は難しく、香は自ら悪役レスラー「ダンプ松本」としての道を選びます。彼女は過酷な試合やトレーニングを通じて、次第にその名を知られるようになります。仲間たちとの友情やライバルとの戦いを描きながら、香は女子プロレス界での地位を確立していきます。
ドラマのクライマックスでは、ダンプ松本が女子プロレス界で頂点に立つまでの過程と、彼女が抱える内面的な葛藤が描かれます。最終的に、香は自分の過去と向き合い、プロレスラーとしての誇りを取り戻すことができるのかが問われます。
ドラマをすべて観た人ならお分かりいただけるかと思いますが、ダンプ松本のレスラー人生は本当に壮絶で、最後もまた劇的なんです。
ドラマの見どころの一つである髪切りデスマッチ。あれもかなり忠実に再現されています。
実際の映像では、ドラマよりもレフェリーがダンプに協力的なのが面白いです。もしかすると、ドラマのようにテレビ局との約束みたいなのは無く、ダンプが勝つようにできていたのかも…?
まあ、そのあたりはさておき、ダンプ松本と主演のゆりやんの見た目がそっくり!顔も身体も!
他の女優も、プロレスラーというハードな役をほとんどスタント無しで演じている点が本作の見どころのひとつです。
まずは主演のゆりやんについて解説していきましょう。
ゆりやんレトリィバァ ダンプ松本
「オーディションを受けたのが、数年かけて45㎏減量した直後。アメリカ進出の夢がある私には、またとない機会だと思う半面、100㎏近くにまで体重を戻せるのか、覚悟するのに時間がかかったんです。でも、ずっとお世話になっているパーソナルトレーナーの岡部友さんに支えていただき、ダンプさんのような強い体を目指すことができました」
「ダンプさんのすごさを身をもって知った」ゆりやんレトリィバァが語る、『極悪女王』の舞台裏 | ブルータス| BRUTUS.jp1980年代の女子プロレス黄金期の裏側を描くドラマ『極悪女王』。その撮影秘話を、ゆりやんレトリィバァが語る。
もう、ドラマを追って観ていけば一目瞭然ですが、相当トレーニング積んでます。
また、役への入り込み方ももの凄いものがあり、白石監督も目を見張るものがあったそう。
ドラマでは、ヒールになりきるために、ベビーフェイスのレスラーたちとは口をきかないというシーンがあり、これもまた実践したそうです。唐田えりかさんとは「役になりきるために、今日から私たちも口をきかないようにしよう」と撮影中以外も徹底したんだとか。
そこまで入り込んでしまったものだから、髪切りデスマッチのバリカンシーンでは本当に手が震えちゃったんですって。
私はもともと芸人としてのゆりやんが大好きなので、このドラマも観るに至ったんですが、観る前は「ゆりやんが白石監督の作品?シリアスな演技できるのか…?」と思ってましたが、杞憂でした。
この演技は間違いなく本物で、ダンプ松本にしか見えません。引き込まれます。
唐田えりか 剛力彩芽 クラッシュギャルズ
当時アイドル的な人気を誇ったクラッシュギャルズを演じた唐田えりかと剛力彩芽もまた素晴らしい。
二人もまた、ほとんどスタント無しで演じている様子が伺えました。
第1話では、割と貧相だし、ちょっとハラハラしちゃうんですよ。これもまた、白石監督の演出なのかなと思います
嬉しい、悔しい、悲しい……長与さんを演じるにあたって、すべての感情に蓋をしないで生活してみようと思ったんです。私は運動自体得意じゃなくて、作品と同じように普段の練習でも落ちこぼれ。だから長与さんの得意技であるフライングニールキックという技をすることになった時も、最初は“代役にしよう”と言われたのが本当に悔しくて、ポロポロ泣いてしまって。全部自分でやりたくて、とにかく練習しました。
「強くならなきゃいけない。通じるものがある役でした」唐田えりかが語る、『極悪女王』の舞台裏 | ブルータス| BRUTUS.jp1980年代の女子プロレス黄金期の裏側を描くドラマ『極悪女王』。その撮影秘話を、唐田えりかが語る。
このインタビューからして、唐田えりかも代えがたいキャスティングだと思います。長与千種って、本当に貧しくて、苦労したそうなんですよ。
その悔しさとか、負けん気みたいなのがよく出てました。よく闘いぬいてくれたなと思います。
そして昇華されるように、剛力彩芽もまた、ライオネス飛鳥を演じ切ることができたんだとか。
ダンプさんや長与さんが“魅せる”プロレスで存在感を築いたのに対し、飛鳥さんは“真っすぐなプロレスをやる”という信念を持った人。その真面目さや、不器用な強さみたいなものにどこか共感できたし、唐田さん演じる千種の隣にいると、飛鳥としての感情みたいなものが出てくるんです。
「いつしか本当にプロレスラーになったような気持ちに」剛力彩芽が語る、『極悪女王』の舞台裏 | ブルータス| BRUTUS.jp1980年代の女子プロレス黄金期の裏側を描くドラマ『極悪女王』。その撮影秘話を、剛力彩芽が語る。
剛力彩芽は高校時代ダンス部に所属していたことから、運動は割とできるほうなんですが、増量に苦しんだらしいですよ。
松永兄弟の黒い噂
全女の経営陣である松永兄弟も、もちろん実在しています。
実は彼ら、ドラマ以上にやばい人たちだったそうで…。
松永兄弟には、賭博や不正行為に関与していたという黒い噂がありました。特に、賭博場を運営し、違法な賭博活動を行っていたとされています。また、試合の結果を操作するために選手に賄賂を渡すなどの不正行為も行っていたと言われています。これらの行為は、彼らの悪名を高める一因となりました。
実際、社長の松永高司は、『極悪女王』で描かれた焼きそば作るエピソードが本当だったり、全女を立ち上げる際多くの女子プロレスラーが着いてきたあたり相当に慕われていたことがわかったりするので、実際のところはどうなんだか分かりかねますが。
感想
ここからは個人的な感想を少しだけ。
私はプロレス世代じゃないですし、格闘技もそこまで好きなわけではないので、女子プロの世界には全く明るくありません。
ダンプ松本についても、「昔は悪役レスラーだったけど、今は愛嬌のあるおばさん」そんな認識しか持ってなかったんです。
でも、父親はその昔プロレスが好きだったそうですし(こどもの頃ふざけてアイアンクローとかジャイアントスイングとかアトミックドロップされたりしました)、母親はダンプ松本とかブル中野を大変嫌っていました。
その理由がようやく分かった気がします。
そりゃあ、テレビであれだけのことをやれば、暴力が苦手な人は嫌悪するだろうし、周りがダンプならどれだけ罵倒してもいい、そういった同調圧力が当然のようにあったのでしょう。
「極悪同盟は世の中の罵詈雑言を食って生きていくんだよ」「これだけ嫌われりゃあ本望だ」
まさにそんな女子プロレス界をデザインした。ダンプ松本率いる極悪同盟が筆頭となり、全女のレスラーや経営陣たちみんなでつくることができたんだろうなと。
そして、プロレスが好きな人たちにとって、今では考えられないような熱狂であったと。
コンプライアンスの厳しい現代では、なかなかお目にかかることは難しいでしょうね。
そんなダンプ松本。元々は優しい心を持つ貧しいプロレス好きの少女であった。
これもまた、非常に納得できました。「相席食堂」ダンプ松本出演回、ぜひ観てください。とっても腑に落ちます。
とにかく、レスラーを演じた俳優たちの体当たり演技は凄まじいです。努力が伝わってくるので、プロット以上に最後は込み上げてくるものがあります。私はラスト泣きました。
実際の試合もめちゃくちゃ感動的なので、ぜひ。
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今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
Netflixドラマ『極悪女王』について解説しました。
流石は白石監督ということで、めちゃくちゃ面白いですし、5話完結という点も鑑賞ハードルが低いので、ドラマ慣れしていない人でも絶対楽しめますよ!
ドラマ超苦手な私でも2日で見切れましたから。
何だったら1日で観れらちゃうよ!
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