『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』彼は時代の変化と共に

ドキュメント・ノンフィクション系映画

それはレコードで聞けるよ。新しい曲をやろう。

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を鑑賞しました。

bitotabi
bitotabi

今回の記事は感想を中心にお伝えしますので、これから鑑賞される方はご注意ください。

ダニー
ダニー

自伝映画だから、内容が分かっても楽しめるけどね!

この映画を観て、感じたことや知ったことが大きく3つあります。

①フォークとはどういうものなのか

②激動の時代の中を、ディランはどう生きたか

③音楽のスタイルを変えること

順番に解説していきたいと思います。

フォークとは

フォークソングって、どういう音楽だと思ってましたか?

私はアコースティックギター1本で歌うものをそうだと思ってました。

でも、その昔、フォークソングって、民謡のようなものを歌い継ぐのが一般的だったみたいなんですね。

誰でも知っている曲を歌うから、聞いてる人も楽しい。みんなで歌おう。そんな感じの。

日本でも昔は童謡を歌手が歌ってるパターン、あったんじゃないでしょうか。

その流れを大きく変えたのが、ジョーン・バエズやボブ・ディランだったということが、この映画を観て分かりました。

 



激動の時代を、ディランはどう生きたか

ボブ・ディランが歌手として登っていった時代というのは、激動の世の中だったんですよね。

ベトナム戦争とか、キューバ危機、ケネディ暗殺とか。

そしてそんな中生まれたのが、「カウンターカルチャー」という、若者たちの文化です。

年配者たちの常識が、若者によってひっくり返ろうとしている。そういったムーブメント。

そんなカウンターカルチャーと、ディランの歌は親和性がありすぎたんですね。若者たちが熱狂してしまった。

ヒッピーカルチャーとの相性も、これまたよかった。ヒッピーって何となく、アコギとジーンズでタバコを吸いながら自由を語るようなイメージがありますよね。

かつ、彼が巻き込まれたのは、それだけではなかったんですね。次項に続きます。

 



音楽のスタイルを変えること

カウンターカルチャーの象徴の一つとして崇拝された一方で、新しいフォークの申し子としても、スターになっていったディラン。

しかし、海の向こう、イギリスでは、ビートルズやキンクスなどのエレキギターを使ったロックが大ブームになるわけです。

もはや政治的な影響も与えてしまうほどになったディラン。

一方で新しい文化であるエレキを使って演奏したい。

しかし、エレキは商業音楽としてみなされていたので、周囲は彼がエレキで演奏することを許さないという風潮になっていったわけです。

でも音楽の流れは間違いなく電子的な音に向かっていく。それはもう今日の音楽をみれば明らかですよね。

その潮流に、彼は乗っていったと。そして、フォークとロックを融合させた、新たな音楽を確立したんですね。

だからこそなのか、ボブ・ディランって唯一無二な感じがするんですよ。「ボブ・ディランみたいなアーティストって誰かいる?」って尋ねられても、答えようがないというか。

 



私、好きだったアーティストが音楽の雰囲気を変えるのって、すごく残念に思うことがしばしばあったんです。

「コールドプレイ」とか、初めはロックだったのに、いつのまにかダンスミュージックになっちゃったなとか。「踊ってばかりの国」の最近の曲がしっとりし過ぎててなんか苦手だなって。

またもどってほしいよな~。なんて思ったりするわけです。

でも、『名もなき者』を観て、その考えは変わりました。

アーティストが、好んで、自分たちの強い意志で変わろうとしているのであれば、それは尊重すべきだと。

それがある程度時代に迎合したかたちであってもです。

劇中、ティモシー・シャラメ演じるディランがこんなセリフを言ってました。

「それはレコードで聞けるよ。新しい曲をやろう」

確かにそうだよな。今この時に、自分が好きなアーティストが強い思いを込めて歌っている曲の方が、価値はあるよねと。

一貫して、古いままの音楽スタイルを貫くカッコよさもある一方で、時代によって変化させるというカッコよさもあるんだよな~と思い直しました。

感想

内容についての感想は概ねお伝えしたので、キャストについて少し感想を。

ティモシー・シャラメは本作でアカデミー賞主演男優賞を獲るかもしれませんね。それくらいディランになりきってました。

いいですよね~。この再現度。たまりません。

しかし、その他のキャストもめっちゃよかったんですよ。この映画。

往年のフォークシンガーたちを演じた俳優はみんなよかった。

中でも特に光を放っていたのが、ジョーン・バエズを演じたモニカ・バルバロ

彼女、あんまりセリフはないんですよ。でも、その分、目線とか表情で語るといいますか。

何を考えてるかを想像させるのが非常に巧いなと感じました。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』について感想をお伝えしました。

bitotabi
bitotabi

これは、2025年に公開される映画の中でも、特に面白い作品だと思います。ぜひ、映画館で。

ダニー
ダニー

ディランの曲も好きになると思うよ。

 

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