手塚治虫さんの作品「アドルフに告ぐ」を読了しました。
手塚治虫さんを語る上で、避けては通れないほどの名作です。
私は手塚治虫さんの漫画が大好きです。
しかし、これまで、「アドルフに告ぐ」は読まずに生きてきました。
今回の記事では、私が「アドルフに告ぐ」を読まなかった理由と、なぞ読むことにしたか、また、本書を読むうえで意識すべき3つのポイントを解説します。
はじめに
はじめに、作品について紹介します。
第二次世界大戦当時の日本とドイツを舞台に、アドルフという名前をもつ3人の男がたどった運命を描く長編マンガです。
https://tezukaosamu.net/jp/manga/14.html
1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツにきていた峠草平は、そこで留学中の弟が殺されていることを知ります。やがて弟が殺された理由が、彼がアドルフ・ヒットラーの重大な秘密を文書にして日本へ送ったためであることが明らかになってきます。その文書とは、ヒットラーにユダヤ人の血がまじっているという出生の秘密を明かすものでした。
一方、神戸に住むドイツ総領事館員のヴォルフガング・カウフマンも、本国からの指令を受けて、その文書の行方を追っていました。そのカウフマンにはアドルフという息子がいました。カウフマンはアドルフを国粋主義者として育てようとしていましたが、アドルフは、自分と同名のユダヤ人アドルフ・カミルと親友だったため、ユダヤ人を殺してもいいと教えるナチスドイツの考え方には反発を感じていました。けれども、アドルフ・ヒットラーという独裁者が支配する恐怖の時代に、ふたりのアドルフの運命は大きくねじ曲げられていくのでした。
私が今まで読まなかった理由
私がこれまで本書を読まなかった理由は2つあります。
歴史に無知だった
私はこれまで、世界史や日本史など、歴史をキチンと学んできませんでした。
そのため、こういった歴史ものや伝記のようなお話は理解しがたかったのです。
しかし、最近は大いに歴史に関心があります。
特に近代史は大好きです。
知った上で、これからの時代を生きていきたいなと思います。
戦争ものが苦手だった
無知ともつながりますが、私は戦争系の映画や読み物が苦手でした。
しかし、知れば知るほど、大切なジャンルだと感じます。
国や宗教、人種的な闇を知るのは、恐ろしくも、興味深いです。
また、戦争の足音が聞こえている今こそ、こういったジャンルに触れ、自身の考えをアップデートしていく必要があるのではないでしょうか。
もはや、逃げたり避けたりしてはいけない。そんな想いです。
3人のアドルフ
私が本書を読み進めるにあたって、気になった点が「3人のアドルフ」の比重です。
カウフマンとヒットラーは何度も登場しますが、物語の後半になっても、あまりパン屋のアドルフ「アドルフ・カミル」が登場しません。
なんだったら、物語全体では、峠の方が活躍します。
しかし、最終巻の終盤に差し掛かって、ようやく目立ってきました。
その結果、むしろ本書の中で、私の心に、最も印象深く刻まれたキャラクターでした。
戦争や人種間の問題というのは、ああまで人を変えてしまうのか…。
と恐ろしい気持ちになりました。
最終巻における、タイトルの回収も秀逸です。
押さえるべきポイント
本書を読むにあたって、押さえておくべきポイントを紹介します。
大きく分けると「ナチスドイツ」「ヒトラー」「ユダヤ人」です。
「ナチスドイツ」
ナチス・ドイツは、アドルフ・ヒトラー及び国家社会主義ドイツ労働者党による支配下の、1933年から1945年までのドイツ国に対する呼称である。社会のほぼ全ての側面においてナチズムの考え方が強制される全体主義国家と化した。1939年9月1日のポーランド侵攻が英仏の宣戦を招き、第二次世界大戦を引き起こした。
Wikipediaより引用
「アドルフに告ぐ」では、かなり過激に描かれています。
主人公のひとり、アドルフ・カウフマンは、初めは日本で暮らし、ユダヤ人の友に対しても分け隔てない少年でした。
しかし、ドイツに渡り、ヒトラーユーゲントに加わると、残虐な人間へと変わってゆきました。
本当に恐ろしいです。そこまで人を変えることができるのか…。
「ヒトラー」
アドルフ・ヒトラーは、ドイツの政治家。ドイツ国首相、および国家元首であり、国家と一体であるとされた国家社会主義ドイツ労働者党の指導者。 1933年に首相に指名され、1年程度で指導者原理に基づく党と指導者による一極集中独裁指導体制を築いたため、独裁者の典型とされる。
Wikipediaより引用
「アドルフに告ぐ」では、あまりヒトラーのカリスマ性が描写されることはありませんでした。
どちらかというと、気がふれているような、それでいて弱い部分があるような。
部下が陰口をいうシーンもみられました。
そんな描かれ方です。
また、「アドルフに告ぐ」のキーとなっているポイントなのが、「ヒトラーがユダヤ人である」という点です。
これには諸説あります。ヒトラー自身も、自分の出自をあまり知らなかったのだとか。
しかし、ヒトラーの死後、多くの研究がなされ、現在ではヒトラーユダヤ人説は否定されています。
さらに注目したいのがヒトラーの最後です。
史実では「自殺」したのが通説ですが、「アドルフに告ぐ」では一味違います。
どのような描かれ方をしているのか、ぜひお読みください。
「ユダヤ人」
ユダヤ人は、ユダヤ教の信者またはユダヤ教信者を親に持つ者によって構成される宗教信者のこと。原義は狭義のイスラエル民族のみを指した。由来はイスラエル民族のひとつ、ユダ族がイスラエルの王の家系だったことからきている。ユダヤ教という名称は、ユダヤ教徒が多く信仰していた宗教であることによる。
Wikipediaより引用
現在は、民族独自の国家として、イスラエルがあるものの、それは戦後1948年5月14日からのことです。(アドルフに告ぐにおけるこのあたりの描写はとても読みごたえがあります)
それまでは、ユダヤ人は迫害を受け、国を持てず、全世界へと散らばっていました。
そのため、現在でも、世界中にユダヤ人がいます。
「アインシュタイン」「スティーブンスピルバーグ」「マークザッカーバーグ」などの、世界的偉人もユダヤ人です。
「〇〇人」と聞くと、その国に所属する人というイメージがありますが、「ユダヤ教徒」になれば「ユダヤ人」になることができるというのも何とも特徴的です。
これまでの記事でも、ユダヤ人について触れたものがございますので、興味のある方はぜひご一読ください。ニュースや映画の見え方がきっと変わります。
ヒトラーの時代の人々の認識がどういったものだったかは存じませんが、信仰の違いや血の違いで、人を差別するような世の中は間違っていますね。
今日の漫学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「アドルフに告ぐ」今こそ読むべき作品です!
戦争や人種、独裁者など、今心に刺さりやすいキーワードが盛りだくさん。
漫画で読みやすいし、間違いなく面白いので、私のように、戦争ものが苦手な人もぜひ挑戦してみてください。
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