映画『異人たち』では80年代を中心に、たくさんのロックやテクノポップが流れます。
『異人たち』は、ゲイであることを打ち明けられない葛藤を描くんですが、
80年代には、ゲイであることをオープンにして活動するグループがたくさんいたのです。
「イレイジャー」や「ブロンスキービート」「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」などですね。
また、当時のシンセポップやテクノ、オルタナ系のバンドには、それまでの武骨でハードなロックとは少し違う、華やかなサウンドや柔らかなサウンドを奏でるグループもたくさんいて、それらはゲイの人々に好まれる傾向があったんです。
『異人たち』でもそういった曲がたくさん流れるので、音楽を楽しみながら鑑賞できます。

あの曲なんていう曲だろう?

そんな疑問にお答えするために、今回の記事では、映画『異人たち』で流れる曲をYouTubeの音源付き、解説つきで紹介します!
The Power of Love フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド
冒頭でアダムがテレビで聞いていた曲で、最後にも流れる曲です。
私はこの曲は映画のストーリーにおいてかなり重要だと思っています。
PVを観ると、ラストの演出がオマージュしたものだというのがよく分かりますよ。
フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドといえば、『Relax』という曲がかなり有名なんですが、あれは実はアナ〇セッ〇スについて歌った曲なんです。
当時『Relax』は「ココリコミラクルタイプ」というお笑い番組のOPで使用されており、あの番組にはリリー・フランキーさんが出ていましたよね。
リリー・フランキーさんの芸名は、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドからとっているそうですよ。
しかしながら、『The Power of Love』はクリスマスに作られ、PVもキリストの誕生を描いており、愛について歌った真剣な曲です。
どんな性的趣向の人が聞いても感動できますが、彼らとしてはキリスト教で禁じられる同性愛を強く歌い上げているはずだと思うので、そこを汲み取ると結構ロックな曲だよなと思います。
Johnny Come Home ファイン・ヤング・カニバルズ
アダムが脚本に手を付けた後に、思い出の品を眺めている時にかかる曲です。
この後に、父母に会いに行くので、「家に帰る」というシチュエーションに合わせた曲なんだと思います。
Is This Love? アリソン・モイエ
家族が再会し、思い出を語り合う時にかかる曲。
父と母はこの曲に合わせて踊ります。
Build ハウスマーティンズ
家族との再会後に家に帰ったアダムが、双眼鏡で窓の外を覗く時にかかっていた曲。
そして、アダムとハリーは初めて愛し合います。
「build=建てる」という歌詞が度々登場する曲で、それっぽさはムンムン。
「ファットボーイ・スリム」のノーマン・クックがギターです。
I Don’t Want to Set the World on Fire インク・スポッツ
アダムが父と二人きりで話す時に、父が「祖父が好きだった曲だ」「何がいいのか分からなかったが、今では気に入っている」なんて言いながらかける曲ですね。
私はこのシーンが一番好きでしたし、泣きました。
「ただ僕は君の心の炎をともしたいだけなんだ」という意味になるんですが、子や妻を愛して生きていきたい。
しかし、現実に息子と向き合うことはできなかった…。
そんな切なさがこもっているように感じます。
I Want a Dog ペット・ショップ・ボーイズ
アダムとハリーがクラブに行った時、初めにかかる曲。
「犬がほしい」「猫はほしくない」みたいな歌詞の曲です。
傍にいてくれるパートナーが欲しいみたいな心情を唄っているんだと思います。
Promised Land ジョー・スムース
クラブで2曲目にかかる曲です。
「僕らは約束の地に辿り着くだろう」という歌詞があります。
この後の展開に繋がっていそうですね。
Death of a Party (12Death) ブラー
クラブで3曲目にかかる曲で、二人がトイレに入ってトリップする時、この後の幻想的なシーンでもかかります。
トリップ感と非常にマッチしていますね。
ブラーは私も好きなバンドです。カッコいい曲です。
「パーティに行って、首を吊るしてくれ」みたいな過激な歌詞。
Always on my mind ペット・ショップ・ボーイズ
クリスマスの飾りつけの時にかかっている曲です。
お母さんが歌いだし、父も口ずさむのがとても印象的なシーン。
「Tell me=教えて」と歌うんですよね。
アダムからすれば、父母に自分のことをキチンと伝えられなかったことを後悔してしまうような。
そんな想いが込み上げてこれまた泣けてきました。
映画の予告編で流れていた曲もこれです。
If I Could See the World パッツィー・クライン
親子で最後にお出かけする時の曲ですね。
「If I could see the world Through the eyes of a child=子どもの目を通して世界が見られたなら」
死んでしまった自分たち、子を理解することができずに。
そんな哀愁がつまっているように思います。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『異人たち』に登場する曲を紹介しました。

使用曲に、かなり想いがつまっているように思えますね。

聴きながらまた泣いちゃいそうだよ…。
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