映画『アメリカン・フィクション』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
本作は、第96回アカデミー賞で脚色賞を受賞した作品です。
Amazonが買収したMGMの作品で、日本では劇場公開されず、Amazon Prime Videoの配信のみになっているんですが、めちゃくちゃ面白いんですよ。
大学の講師をしながら、物書きをする黒人男性の主人公。
なかなか新作を書けない上に、妹の死や母の認知症により、経済的に厳しい状況へ追い込まれていく。
そこで、悪ふざけのつもりで、黒人のギャングになりすまし、スタッグ・R・リーという偽名で一冊の本を書き上げます。
これがまさかの大ヒット。映画化や、本人を探すために警察が動き出すような大騒動になり、主人公にはコントロールできない事態に発展してしまいます。
面白そう！コメディなんだね！
原作はコメディではないけど、映画はコメディ風になっているね。
今回の記事では、映画『アメリカン・フィクション』を3倍楽しむための3つのポイントを解説していくよ！
アメリカの黒人の貧困率は17％
本作は、アメリカに住む黒人を悲劇的に、経済的に貧しそうに描いたほうが本が売れるということを揶揄しています。
ステレオタイプを逆手にとって、コメディに昇華しているんですね。
町山智浩さんがラジオでおっしゃっていたのですが、アメリカの黒人の貧困率は17.1%なんだそうです。
中流階級の家庭がほとんどなんですね。
ちなみに日本の貧困率は15%。ほとんど変わらないんです。
しかも、アメリカの貧困層は平均年収200万であるのに対し、日本の貧困層は年収127万。
物価の高さがあるので微妙なところですが、年収ベースはアメリカの貧困層の方が高いんですね。
でもまだまだ、黒人が貧乏で可哀想に描くと本は売れるといった現状を『アメリカン・フィクション』はコミカルに描いています。
作中に登場するセリフ「読者や出版社は馬鹿だ」というのはあながち間違ってないのかもしれません。
また、『アメリカン・フィクション』では、ある黒人女性作家の本が売れたことに触発されて、主人公も本を書きます。
この黒人女性もまた、貧しい黒人の生活の悲劇を本にしているんですが、作家自身は大学を出て出版社に務めたようなエリート。
これ、実話なんです。
2009年にヒットした『プレシャス』という映画。
ハーレムで悲惨な生活をして暮らす肥満の黒人女性がある先生との出会いで変わっていく話なんですが、原作のサファイアさんは大学を出ていて別に貧困層ではないんですね。
黒人の研究をしているだけの人なんですよ。
当時、果たしてこれはリアルなのか、これでいいのかと、ちょっとした問題になったそうです。
ちなみに、『アメリカン・フィクション』に登場する主人公の兄（ゲイ）の話に出てくるタイラー・ペリーはプレシャスの製作総指揮をとった人物です。
脚色賞ってなんだ？
2024年3月現在、『アメリカン・フィクション』を観る上で最も気になるのは、アカデミー賞脚本賞を受賞しているという点ではないでしょうか。
まず、そもそも脚色賞とはなんぞやということを解説しておきます。
小説や舞台劇などから起こされた脚本におくられる賞です。
また、過去の映画の続編やリメイク作品もこの部門の対象になります。
原作となる作品がない独自の脚本については、アカデミー脚本賞がおくられるといった感じですね。
過去の主な名作としては、『風と共に去りぬ』、『カサブランカ』、『ゴッドファーザー』、『エクソシスト』、『羊たちの沈黙』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ジョジョ・ラビット』、『コーダあいのうた』などが該当します。
ちなみに『プレシャス』も2009年に脚本賞を受賞した作品です。
スタッグ・R・リー
『アメリカン・フィクション』で主人公がペンネームとして名乗るスタッグ・R・リー。
これもまた実在の人物です。
ブルーハーツの真島昌利さんの「アンダルシアに憧れて」という曲の中に登場します。
1895年12月27日、アメリカ南部のバーで事件が起こります。
スタッグ・R・リーという黒人が口喧嘩の末に彼のカウボーイハットを引ったられ、相手の男を射殺しました。
彼はすぐに逮捕されましたが、その事件のウワサはあっと言う間に広まり、長く語り継がれて伝説となります。
帽子を取られただけで人を殺したやべーやつ。の反面、究極にオシャレに気を使うクールなやつみたいなところもあったのでしょう。
いつしかアメリカにおいてスタッグ・R・リーは「恐ろしい黒人男」の代名詞となるんですね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます！
映画『アメリカン・フィクション』を楽しむための3つのポイントを解説しました。
Amazon Prime Videoで観られるよ！
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22
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