映画は永遠。
映画「バビロン」を鑑賞しました。
封切の翌日、2月11日にIMAXで鑑賞することができました。
流石はデイミアン・チャゼル。
あっぱれブラッド・ピット。
でも、賛否が分かれているよね?
そうだね。結構、映画に関する知識を要求される作品だったと思う。
一度観ただけでは、分かりにくい人もいるだろうね。そのあたりは「ラ・ラ・ランド」も同じだよ。
今回の記事では、映画「バビロン」の見どころと、鑑賞した際に、少しわかりづらかったであろうシーンについて解説します。
※記事の中にネタバレを含む箇所がございますので、ご注意ください。
鑑賞前の方、観たけどよくわからなかった方はぜひこちらの記事を👇
それではまずは、一度の鑑賞では少し分かりづらいポイントを解説していきます!
撮影所のデモ
物語の前半でチラッと登場する撮影所の入り口で看板をもって反対運動をする人々。
「あんなだだっ広い空き地になぜ?」と疑問に思いませんでしたか?
あれは、冒頭の乱痴気騒ぎや、撮影所の無秩序さを知ったキリスト教の人々や保守派の人々によるデモ活動なのです。
反対運動が起こってしまうほど、当時のハリウッドは無茶苦茶で、ドラッグやセックスが蔓延するパーティを開催していたことを、冒頭の長い時間をかけて表していたわけですね。
トーキー映画の撮影シーン
「バビロン」では、サイレント映画からトーキー映画への移行が描かれます。
トーキー映画に挑む撮影シーンが実にユニークです。
雑音が入ったり、機材トラブルや演技のNGに見舞われ、何度も何度もカットを入れて、撮影を繰り返すシーンがございます。
あのシーンは、「雨に唄えば」のオマージュです。
また、実際に、サイレントの時は音をスタッフが音を出しながら撮影するのが当たり前だったので、みんな不慣れだったんですね。
ちなみに、登場する女性監督を演じているのは、デイミアン・チャゼル監督のワイフです。
また、当時実際にいたドロシー・アーズナーという女性監督をモデルにしています。
レディ・フェイ・ジューは何者?
「バビロン」では、実在した人物をモデルにしたキャラクターがたくさんいます。
詳しくはこちらを👇
前回の記事で紹介しなかったものの、思いの外たくさん登場したレディ・フェイ・ジューというアジア系の女性。
彼女もまた、実在の人物をである、アンナ・メイ・ウォンをモデルにしています。
1920年代に活躍した人物で、2022年10月にはアメリカの硬貨に採用されているほど、偉大な人物なのです。
物語ではあまりそのメジャーっぷりを感じにくいので、そのあたりをインプットしておくとまた見え方が変わってきそうですよね。
雨に唄えば
「バビロン」を理解する上でとても大きなカギを握るのが、名作「雨に唄えば」です。
正直、「雨に唄えば」を観なければ、この映画のよさは半減します。
でも、逆に言えば、「雨に唄えば」を観れば、半分以上は理解できるはずです。
その理由は、物語全体の土台と、ラストシーンにあります。
映画の土台とラストシーン
デイミアン・チャゼル監督は、この映画のテーマである、サイレント映画からトーキー映画の変遷を描こうと思ったきっかけとなった作品が「雨に唄えば」だとインタビューで語っています。
「雨に唄えば」で描かれた他にも、もっと様々な転換期ならではドラマや出来事があったはずだと思い立ち、「バビロン」を作ったのです。
そして、その中には、地位や名誉、命までも失った人々がいたことを知り、それを「バビロン」で表現しました。
しかし、彼らはただ犠牲になった訳ではなく、彼らの残した作品や功績も、後の映画へと引き継がれているということを、表したのが、あのラストシーンです。
映画の舞台は、1920年代の終わり頃。
それからおよそ20年後の1952年に「雨に唄えば」は公開されました。
主人公たちの苦悩の日々が、「雨に唄えば」という映画の中で描かれた。
自分たちも映画の歴史の一部となることができた。
そういったレクイエムをこめたラストシーンな訳ですね。
そして映像は「走る馬」「月世界旅行」などの原点的な作品がモンタージュで映し出され、やがて「2001年宇宙の旅」や「ターミネーター2」、「アバター」と徐々に現代の映画へと繋がっていく…。
これは、分かっていれば、かなり泣けます。
映画オタクなら笑
このラストにグッときた人は、「NOPE」と「エンドロールのつづき」もめちゃくちゃオススメですよ👍
デイミアン・チャゼルはこう魅せる
個人的に気になっていたのが、転換期におけるスターをどう描くかという点です。
「雨に唄えば」では、ベテラン俳優の2名の生き抜き方をそれぞれに描いていました。
ドンは新たなステージへ挑戦し、リーナは他者を蹴落とすかたちで生き残ろうとします。
「バビロン」では、マーゴット・ロビー演じるネリーが、トーキー映画以前に新人として登場し、野心的に他者を蹴落とすようなストーリーとなっていました。
私は「雨に唄えば」のリーナが割と好きなので、中道的なこのあたりの描き方は割と気持ちよかったです笑
少しリーナが救われたような感じがしました。
しかしながら、ブラッド・ピット演じるジャックも、ネリーも、皆トーキー映画の波に乗れず、落ちていきます。
この切ないストーリーが何とも言えません…。よかったなぁ。
キューブリックの名作との類似点
「バビロン」はかつてのハリウッドの輝かしい黄金時代を描くとともに、その裏側や汚れた部分も描いています。
私は「バビロン」を観て、スタンリー・キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」に似ている点があるように感じました。
冒頭の絢爛豪華な建物で繰り広げられる乱痴気騒ぎや、セックスやドラッグにまみれる様は、アイズ・ワイド・シャットの秘密クラブのパーティに似ています。
また、後半に登場する化粧室のような部屋も、同じような雰囲気です。
加えて、キューブリック監督は、「アイズ・ワイド・シャット」を、ハリウッドを中心とした映画業界全体の闇を暗に込めた映画として作ったという説も。
詳しくは、こちらの記事をぜひお読みください。
ブラッド・ピットの演技
私は、今作でブラッド・ピットの演技にかなりグッときました。
光り輝くスター俳優が落ちていく様を実に切なく演じ切っていたように見えました。
また、自身も、アルコール依存症でいろいろあったので、ジャック・コンラッドを本気で演じられるのは、彼以外にはいないような気がしてなりません。
引退説もちらほら聴きますが、もう少しこれからの彼の作品を観たいです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「バビロン」の少し分かりづらいポイントと、見どころについて解説しました。
何度か観て楽しみたい映画ですね。長いけど。
私はもう一度観に行こうと思います!
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