貴族への道はあまりにも険しい。
映画「バリー・リンドン」を鑑賞しました。
同じジャンルは2度撮らないことで有名な、スタンリー・キューブリック監督の歴史映画です。
18世紀のアイルランドを舞台に、富と力を求め、青年が成り上がっていく様をドラマチックに描いています。
アカデミー賞作品賞含めた7部門にノミネートされ、撮影、衣装デザイン、美術監督、編曲の4部門を受賞しています。
今回の記事では、「バリー・リンドン」をより深く味わうための見どころをお伝えしていきます!
僕のライバルが登場する作品だね…!
本当はナポレオンを…
「バリー・リンドン」の主人公バリーは、農民出身の若者です。
偉人ではありません。
当初キューブリック監督は、歴史物を撮るにあたって、そのテーマを皇帝ナポレオンにしようと考えていました。
しかし、予算や権利の都合上ナポレオンをテーマにすることは叶わず、結局「バリー・リンドン」が生まれたわけです。
しかし、ナポレオンを撮影するために準備した資料はそのまま「バリー・リンドン」に役立てることができ、細部までこだわった作品に仕上がっています。
音楽
「バリー・リンドン」アカデミー賞の編曲賞を受賞しています。
必然、その音楽は素晴らしいものです。
・ヴィヴァルディ:ホ短調チェロ協奏曲第3楽章
・ヘンデル:組曲第11番ニ短調HWV.437〔第2集第4番〕からサラバンド
・シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番ホ長調D.929, Op.100から第2楽章
などなど、クラシックの名曲が当時のヨーロッパの雰囲気に素晴らしくマッチしています。
オープニングからすでに、荘厳な雰囲気が音楽によって演出され、「時計仕掛けのオレンジ」や「2001年宇宙の旅」、「シャイニング」同様、とんでもない映画をこれから観ることになるであろうことを予感させますよ…!
カメラワーク
撮影賞を受賞したそのカメラワークも圧巻。
ズームアウト、ズームイン
劇中で、ズームインとズームアウトが頻繁に使用されます。
徐々に人物から、ズームアウトしていくことで、部屋や景色も合わさったショットとなり、絵画のような美しさを感じさせます。
レディ・リンドンの入浴シーンは冷たい表情も相まってゾッとするほど。
ズームインしていく様もまた素晴らしく、表情が明らかになることで、煌びやかな貴族の世界に潜んだ、人々の心境がよく伝わってきます。
シンメトリー
キューブリック監督といえばシンメントリーなショットが象徴的です。
「バリー・リンドン」でもそれは健在。
寧ろ、部屋やセットの美しさをかなり魅せる作品なので、もしかしたら一番シンメントリーなショットが多い作品かもしれません。(上映時間も長いですし)
屋敷の外観、部屋に立つバリーのショットなどのシンメトリーが非常に美しいです。
ロウソクの灯
今作は18世紀の欧州を舞台にしています。
そのため、電灯は存在せず、夜間はロウソクの灯を頼りに生活していました。
キューブリック監督は、それをそのまま作品に生かしています。
薄暗くも、温かみのあるロウソクの光だけで撮影したシーンがいくつかあります。
これがまた美しいのです。
衣装・メイク
今作は衣装デザイン賞も受賞しています。
キューブリック監督が、こだわりぬいた18世紀の欧州の衣装。
きっとかなり当時そのままの衣装に近いはずです。
なんせ、キューブリック監督ですから。そこに妥協はないはずです。
また、衣装だけでなく、貴族独特の白塗りやホクロのメイクなど(ちょっとバカ殿風)も、とても興味深いです。
ブライアンvsダニー
今作には、私が大好きな「シャイニング」のダニー君のライバルになりうる、可愛い子役が登場します。
キューブリック監督作品のアイドルの座を争うライバルです…!
バリーの実子、ブライアン君です。
なかなかのご尊顔ですね。
セリフや話し方もとてもキュート。
“Yes,Papa”が可愛すぎる。
しかし、可愛ければ可愛いほど、ストーリーの感傷が大きくなります。
彼は落馬事故により幼くして命を落としてしまうのですが、この葬儀のシーンがたまらない。
誕生日パーティの時に笑顔で乗っていた羊の馬車に棺桶が揺られるのです。
これはかなりきますね…。泣いちゃいました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「バリー・リンドン」の見どころを紹介しました。
絵画のような美しさと、18世紀の文化も味わうことができる傑作です。
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