「ぼくのエリ 200歳の少女」をテアトル梅田で鑑賞しました。
こちらも、先日の記事でお伝えした「パプリカ」同様、いつかは映画館で観たいと思っていた作品です。
テアトル梅田さん、本当にありがとう。
今回の記事では、私がなぜ「ぼくのエリ 200歳の少女」を鑑賞したかったのか、また、作品を深く味わうための解説をしていきます。
STORY
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説を映画化した異色ラブストーリー。孤独な少年がバンパイアと初めての恋に落ち、戸惑いながらもその現実を受け入れていく過程を詩情豊かにつづる。本作の核となる主人公役を演じるのは、カーレ・ヘーデブラントとリーナ・レアンデションという無名の子役たち。彼らのピュアな魅力が光る、残酷だがはかなくも美しい愛の物語に圧倒される。
https://www.youtube.com/watch?v=iifcR6wf0Z4
ヴァンパイアの少女と12歳の少年の美しい愛の物語です。
しかしながら、結構ホラー要素も強めな、かなり私好みの作品でした。
それではまずは、私が今作を観たかった理由をお伝えします!
さよなら絵梨
藤本タツキさんの漫画作品「さよなら絵梨」をご存じでしょうか。
こちらの作品は、多くの映画オマージュが込められた作品です。
中でも、「ぼくのエリ」は物語の土台となっているほど、キーとなる映画です。
「さよなら絵梨」のヒロインの名前も、吸血鬼という設定も、非常に近しいです。
「ファイトクラブ」も「シックスセンス」も「メメント」もわかりますが、実は「ぼくのエリ」は観たことがありませんでした。
私は藤本タツキさんの大ファンなので、氏がかなりのオマージュを込めた「ぼくのエリ」も絶対に観たい作品の一つとなったわけです。
それでは、ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください。
原題「Låt den rätte komma in」とは
原題の「Låt den rätte komma in」は、
英語で「Let the Right One In」
日本語は「正しき者を招き入れよ」という意味です。
本作におけるヴァンパイアのルールとして、「入っていいよ」と言われなければ、部屋の中に入ることはできないようになっています。
もし、入ったらどうなるのかは、映画を観てご確認ください。
エリの細かな設定
上記のように、ヴァンパイアであるエリには、様々なルールや設定があります。
一見では分かりにくいものもありますので、詳しく解説していきましょう!
父は人間でもなければ、実父でもない
エリは主人公の少年オスカーの隣に住んでいます。
大人の男性との二人暮らしのようで、食料となる血液は、その男性が夜な夜な殺人して得ています。
そんな同居人は、本当の父親ではなく、普通の人間です。
なんなら、関係上父親でもなく、ただの協力者なのです。
原作では、少年愛好者であることがバレ、普通の暮らしができなくなった元教員となっています。
恐らく、エリに大して、恋愛感情や、崇拝めいた気持ちを抱いているはずです。
「今夜はあの男の子と会わないでほしい」というセリフは、嫉妬からの願望だったのでしょう。
エリの性別
エリは作中、オスカーへ自身のことを「女の子じゃないよ」と言います。
映画では明かされませんが、原作ではエリの過去が描かれています。
エリは、かつて男の子でした。
性的異常者から性器の切除を無理矢理にされ、噛まれたり、血液を飲まれたり…
悲惨な目に合っています。
それを機にヴァンパイアになったそうです。
ちなみに、本国で放送されたノーカット版では、エリが着替えるシーンで、股間部分のアップが映り、切除されたことがわかります。
ヴァンパイアの特徴
日本のヴァンパイアといえば、ニンニク、十字架が苦手などの設定がメジャーですが、今作では少々違った設定も見られます。
共通しているのは、
日光が苦手
長生き
血液が食料
力が強い
噛まれるとヴァンパイアになる
といったものです。
違っている点は、
猫に嫌われる
入ってと言われなければ入れない
です。
このルールを押さえておくと、少し映画が立体的に見えてきます。
「ぼくのエリ」はここがすごい!
ここからは、私が今作を観て感動したポイントをお伝えします!
モンスター視点のドラマ
通常、ホラー映画や、モンスター映画は、モンスターや怪異に対し、人間目線で物語が進んでいきます。
そのため、人間が善とした勧善懲悪な内容が多いです。
しかし、「ぼくのエリ」は違います。
「シザーハンズ」や「フランケンシュタイン」、「フランケンシュタインの花嫁」のような、モンスター目線の切ないストーリーです。
そのため、ラストシーンは本当にグッときます。
少年の心を純粋に描いた
モンスターにあたるヴァンパイアのエリと、主人公オスカーの愛の物語にも注目です。
12歳の少年の無償の愛を切なく、ドラマチックに描いています。
エリと過ごす未来を選択したオスカー少年。
これから起こるであろう悲劇は、まだ彼には想像できないのかもしれないし、もしかするとエリはオスカーを次の同居人とした選んだに過ぎないのかもしれません…。もちろん、2人で幸せに暮らす未来だってあるでしょう。
2人にどんな未来が待っているのかは、各々の捉え方でいいのだと思います。
ホイテマのカメラワーク
「ぼくのエリ」の撮影は、ホイテ・ヴァン・ホイテマです。
彼は「NOPE」「インターステラー」「インセプション」「ダークナイト」などでカメラマンを務めています。
IMAXカメラの撮影においては、世界一の腕を持った人物です。
25キロを超える重量のIMAXカメラを担いで撮影することから、パワフルで豪快なカメラワークの印象がありますが、繊細さも超一級。
「ぼくのエリ」はIMAXカメラではありませんので、繊細やピントの仕掛けに全突っ込みしているように見受けられます。
そんな彼のカメラワークをぜひご堪能下さい。
・病院を見上げるシーン
・タンクの内側につく血
・オスカーが窓に触れるシーン
などはゾッとするほど見事です。
美しい音楽
今作は、音楽がとても美しいです。
音楽を聴いて心揺さぶられ、涙したのは「ニュー・シネマ・パラダイス」と「ロッキー」以来です。
繰り返し同じ音楽が使われ、エンドロールでも流れますので、余韻に浸れました…。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「ぼくのエリ」の見どころや私が観たかった理由をお伝えさせていただきました。
本当に素晴らしい作品です。好きな映画が増えました。出会えてよかったです。
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