『Chime』に関する私なりの考察

クライム・サスペンス映画

先生には聞こえてますか この音

映画『Chime』を鑑賞しました。

本作は『CURE』『回路』の黒沢清監督の作品。

ホラーなのかサスペンスなのか何とも形容しがたい独特な恐ろしさがあります。

セリフはおろか、映像でもキチンと語らない、だからこそ、観た人それぞれに違った恐怖を抱いてしまうような作りになっているのかなと思います。

ダニー
ダニー

でも、はっきり分からないとやっぱりもやもやするよ~。

そこで、今回の記事では、私なりに『Chime』のストーリーや結末について考察してみようと思います。

『Chime』あらすじ

『Chime』は、料理教室の講師である松岡卓司の日常に起こる異変を描いた作品です。ある日、松岡の教室に通う生徒の田代一郎が「チャイムのような音で誰かがメッセージを送ってきている」と話し始めます。田代は少し変わった人物として知られていましたが、松岡は特に気に留めていませんでした。しかし、別の日の教室で田代が「自分の脳の半分は機械に入れ替えられている」と言い出し、それを証明するために驚きの行動に出ます。この出来事をきっかけに、松岡の周囲で次々と異変が起こり始めます。

 



伝播する狂気

『Chime』ではずばり、日常に異常な狂気が入り込んでしまうことで、簡単に破綻し、周囲にもまたその狂気は伝播していく。

そういったことを伝えたかったのではないかなと思っています。

きっかけはもちろん、料理教室の生徒、田代ですね。

あれ以降、松岡自身とその周りはどんどんおかしくなっていきます。

田代が言っていた、「変な音が聴こえる」という言葉は、松岡の脳裏にこびりつき、自分にも聞こえるように感じるようになってしまった。

それがざっくりとした構成なんじゃないかなと。

 



周囲に起こる異変は

松岡の周囲では様々な異変が起こります。

はじめに家族。次に職場の生徒です。そしてレストランの他人。

これ、だんだんと松岡と関係のない人にまで広がっていくというのが怖いんですよね。

黒沢清監督は『回路』『CURE』もそうですが、恐怖や狂気、怪異などが広がっていく様子を描くことが多いです。

本作もそれらの作品と似たようなところがあります。

やっぱりオカルトの恐さってこれですよ。だんだん広がっていく感じ。都市伝説みたいな。

で、ストーリーに話を戻しますが、家族や周囲の異変というのは一体何なのか。

これに関しては二通りの見方ができるかなと。

一つ目は松岡だけがおかしくなっていて、すべて松岡視点の妄想だという見方。

家族の異変や料理教室の生徒を殺害してしまったこともすべてかれの妄想とか幻想であると。

この説だと刑事の存在とか、教室前に残った血痕とかに矛盾が生じるんですが、そもそも刑事があの血痕について何も言及しないのが変ですよね。

だから血痕自体も妄想で、生徒はただの失踪なんじゃないかなって。

二つ目は田代もっていた呪いだかウイルスだか何だかが、本当に松岡に感染し、それがまたほかの人々にも伝わってしまったという見方。

この方が表面上のストーリーでは納得いきやすいかもしれませんね。

とはいえ、こちらの説も考察のしがいはあります。

霊障なのか、宇宙人の介入なのかです。

田代は首を切る前に、脳が入れ替えらていると明言していました。首筋に手術の跡が残っているとも。

これって、宇宙人が地球人に接触したようなイメージができますよね。

『ダンダダン』みたいな感じです。

しかしながら、やっぱり田代はこういったオカルトの類が好きな変わり者で、この話を真に受けてしまうほど、松岡にとって田代のとった行動は衝撃的だった。

こう考えるのが一番しっくりきますね。

 



感想

とにかく、この映画は不気味。

45分間ず~っと不気味。観る前は短いなあ、そんな気がするなあなんて思っていたけど、むしろ90分これを続けられたらきつかったかも笑

はじめに松岡がおかしくなるのは田代の一件の直後、通過する電車を背にした時だったと思うんですが、あのシーンがもうたまらない。思わず耳を澄ませてしまいますよね。なんか聞こえるんじゃないかって。

そしてそのすぐ後の食卓のシーン。あれがまた恐い。中身のない会話。突然笑い出す息子。それに対して何も言わず、妻は空き缶を捨てることに異常な執着を見せる。松岡は大きな音でそうめんをすする。それぞれが何かをかき消すように大きな音を出すんですよね。

また、やっぱり音だけじゃなくて、画面上にも何かヒントがないかと必死になって探してしまう。なんであの家は荒れているんだ?どうして小学校で使うような児童用の椅子が料理教室にあるんだ?

さらに、松岡が観たものは一体何だったんだ。刑事は何を思っているんだ。などなど。

鑑賞者の目と耳、そして頭を酷使させようと、思い切りストレスを与えてやろうという巧みな演出が光ります。

疲れるけど、ゾクリと面白い。そんな作品でございました。

ここまで書きながら思ったんですが、『Chime』ってもしかして学校のチャイムなんですかね?児童椅子出てくるし。

学校のチャイムに従う子どもたちの習慣、そしてそれは大人になっても変わらない、ある種外国人からすれば異常とも見える勤勉な日本人、狂気さながらの規律や規則を重んじるこの国民性を示唆しているのか?

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

黒沢清監督の『Chime』について私なりの考察をお届けしました。

bitotabi
bitotabi

少しでもモヤモヤが払拭できれば幸いです。

ダニー
ダニー

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