“あの日の痛み”に涙する
第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、グランプリを受賞。第80回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞、第95回アカデミー賞でも国際長編映画賞にノミネートされた作品です。
カンヌ系か…。深そうだね…!
割とそうでもなかったかな。
カンヌっぽさはあるものの、かなりストレートに訴えかける作品だよ。
この映画を観ると、「誰かを大切に思う気持ちや態度」について、考えが深まるよ。
「クロース」と「怪物」
「怪物」は第76回カンヌ映画祭にてパルム・クィア賞を受賞しています。
パルム・クィア賞はLGBTQのメッセージがこもった作品に贈られる賞で、「クロース」もまた、少なからずそのあたりのメッセージがこもった作品です。
「クロース」は、「怪物」よりもLGBTQについてダイレクトに触れた作品ではありません。
また、「怪物」のようにサスペンスフルな作品でもありません。
それよりも、大切な人との向き合い方であるとか、少年の心の絆や成長にともなう葛藤を強く描いたドラマチックな作品です。
好きになること・大切に思うこと
誰かを好きになり、一緒にいたり、大事にしたり、されたりすると、周りからは「恋人」とか「パートナー」とか呼ばれますよね。
それが同性だったら…?少し距離感が近すぎたら…?
どんな風な目で見られ、どんな風に呼ばれるのでしょう。
そういったことからトラブルになっていくのが本作です。
私はこの映画を観て、誰かが誰かを大事に思う気持ちや行動を、わざわざカテゴライズしたり、名前を付けたりすることは、時にとても乱暴なことになるんだなと感じました。
名演技に涙する
本作では、二人の少年が素晴らしい演技を披露しています。
どちらもベルギー出身です。
エデン・ダンブリン|レオ
本作の主人公で、親友レミとの絆や衝突、別れのなかで、迷いながら成長する様を見せてくれます。
中性的でフェミニンな魅力を持った少年。
14歳の時に電車内でルーカス・ドンと偶然出会い、主人公・レオ役のオーディションに受けることを薦められ、見事抜擢され、本作で映画デビューを果たしたそうです!
そんな昔の渋谷みたいなスカウト、あるんですね笑
グスタフ・ドゥ・ワエル|レミ
主人公レオの親友で、ストーリーの中で最も重要な役どころ。
切ない演技で鑑賞者に学びをくれます…。
彼は、モデルとして活躍しているそうですね。
感想・学び
ここからはストーリーに関するネタバレを含みますのでご注意ください。
本作では、結構早い段階で大きな展開がございます。
レミ君の死です。
亡くなってからが長いんです。
1時間くらいあります。
親友が亡くなってから、その事実に主人公レオがどのように向き合うか。
これを観る映画なのです。
大切な人がいなくなっても、花は咲くし、骨折も治る。
残されたものの日々は、平等に進んでいく。
しかし心の傷は癒えない。
どのように自分と向き合うか。
どのように遺族と向き合うか。
大変深く考えさせられましたね…。
「僕が突き放した」と涙ながらに語るシーンは、グッと刺さります。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「クロース」とってもオススメの作品です。
でも元気な時に観てください。
「アフターサン」と同じく、心の弱いところに刺さってきます。
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