「ファイナルアカウント 第三帝国最後の証言」を鑑賞しました。
こちら、めっっちゃ貴重な映画です。
人類の争いの歴史や残忍さを知っておくための資料として、これほどうってつけなものはないでしょう。
何だか凄そうな映画だね…。
今回の記事では、「ファイナルアカウント 第三帝国最後の証言」をより深く味わうために、押さえておくべき知識やポイントをお伝えします。
はじめに
【ホロコースト】の背景からルーツを探る、監督の人生最期の旅路
https://ttcg.jp/movie/0877700.html
ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ”第三帝国”が犯した、人類史上最悪の戦争犯罪”ユダヤ人大量虐殺【ホロコースト】”を実際に目撃した人々。武装親衛隊のエリート士官から、強制収容所の警備兵、ドイツ国防軍兵士、軍事施設職員、近隣に住む民間人まで、終戦から77年を迎える今、「現代史の証言者世代」と呼ばれる高齢になったドイツ人やオーストリア人など加害者側の証言と当時の貴重なアーカイブ映像を記録した貴重なドキュメンタリーが日本公開となる。
まずは、この、あまりにもセンシティブな内容を映像化した、ルーク・ホランド監督について解説します。
ルークホランド監督
ルーク・ホランド監督は、今作を撮り終えた直後、2020年6月にお亡くなりになりました。
強烈なメッセージのこもった作品を、よくぞ残したものです。
ホランド監督は、10代になって初めて、母がウィーンからのユダヤ人難民で、祖父母はホロコーストで殺害されたというルーツを知りました。その後、10年間の間に、250を超えるインタビューを行い、本作完成直後、71歳で癌で亡くなりました。
監督の生前のメッセージ動画が公開されています。
彼らが、なぜ沈黙を守り続けたのか。
こちらのメッセージ動画を観てから映画を鑑賞すると、よりよくわかります。
罪の有無への答えとは
「ファイナルアカウント」のインタビューを受けた人は、そこまで階級が高くなかった人が多いです。
自身で直接手をくだしていない軍人や、収容所でパートタイムをしていた女性などが半数以上でした。
そういった人たちへも、監督は罪の有無を尋ねています。
彼らの答えは
「自分の意志で行動したなら罪」という意見が多数でした。
これらの意見を受けて、OPの「生まれながらの犯罪者はいない。作られるのだ」という監督のメッセージに繋がるのです。
上官クラスは
親衛隊の上官クラスは、また違った意見を述べていました。
罪を認めると、自分の誇りを汚してしまうと感じているのですね…。
ヒトラーを今でも咎めないという意見までみられました。
しかし、彼らを責めることもまた、無知でナンセンスな行為なのではないかと思います。
思慮深く、かみ砕いて受け止めてほしいです。
見どころは学生との座談会
私が最もオススメしたいシーンは、学生と元親衛隊の男性との意見交流会のシーンです。
こちらはインタビュー形式ではなく、交流会の様子を監督が撮影しているシーンとなりますが、かなり胸にくるものがありました。
若者と衝突するシーンや、それでも大切なことを次の世代へ伝えたい。
そんな思いが爆発しているシーンで、見ごたえあります。
ドイツの若者の生の意見を聴けるのも面白いです。
用語紹介
「ファイナルアカウント」に登場する、ナチスドイツに関わる用語を解説しておきます。
おさえておくと、インプットしやすくなるはずです。
また、手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」も比較的読み進めやすく、学びが深いのでオススメです!
青少年への洗脳や、ヒトラーユーゲントに関しては、こちらが一番よくわかります。
水晶の夜
映画の中で、ピックアップされる出来事です。
水晶の夜とは、1938年11月9日夜から10日未明にかけてドイツの各地で発生した反ユダヤ主義暴動、迫害である。ユダヤ人の居住する住宅地域、シナゴーグなどが次々と襲撃、放火された。 暴動の主力となったのは突撃隊のメンバーであり、総統アドルフ・ヒトラーや親衛隊は暴動を止める事なく、傍観者として振る舞った。
Wikipediaより引用
暴動に加わったのがどこまでの範囲なのかは諸説あります。
映画の中では「当時はそれほど悪いことだと思っていなかった」という意見が。
それほど、ユダヤ人迫害の勢いが慣習となっていたのですね…。それが恐ろしいです。
親衛隊
親衛隊は、ドイツの政党、国民社会主義ドイツ労働者党の組織であり、主に第一次世界大戦時の将校や指揮官などの退役軍人で構成されていた。ドイツ語でSchutzが「護衛」「防護」、Staffelが「梯団」「梯隊」を意味する。
Wikipediaより引用
SSと略して言われることが多いです。
また、武装親衛隊と呼ばれる組織は、親衛隊が武装した組織で、国家の軍隊ではなく、党もしくはヒトラー個人の私兵の総称です。
優れた国民として、エリート意識を持たせ、私的に利用するための軍といったところでしょうか。
インタビューを受ける人の中には、もと武装親衛隊もいます。
彼の受け答えはなかなか恐ろしいですよ。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「ファイナルアカウント 第三帝国最後の証言」について解説しました。
恐くて触れたくない気持ちも分かりますが、ぜひ見て学んでいただきたい作品です。
戦争や差別への関心が高まりそうだね!
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