映画「戦争と女の顔」を鑑賞しました。
めちゃくちゃ学びの深い作品です。
戦争や、男女平等について考えたい人はぜひともご覧いただきたい。
ただの「可哀想なお話」で終わるのではなく、作品を深く味わうためのポイントを解説します。最後には、「スパイファミリー」との関連も!
ただの「可哀想なお話」で終わるのではなく、作品を深く味わうためのポイントを解説します。最後には、「スパイファミリー」との関連も!
STORY
1945年、終戦直後のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)。荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、ある日後遺症の発作のせいで、面倒をみていた子供を死なせてしまう。そこに子供の本当の母で戦友のマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還する。彼女もまた後遺症を抱え、心身ともにボロボロの二人の元女性兵士は、なんとか自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだすが…。
https://www.youtube.com/watch?v=eaqt4SWK0Qg
まずは、この作品の最も注目すべきポイントである、原作の『戦争は女の顔をしていない』について解説します。
独ソ戦従軍女性500人の証言を基にしている
「戦争と女の顔」は、「戦争は女の顔をしていない」という書籍が原作です。
こちらは、500人以上の独ソ戦従軍女性からの聞き取りを集めた証言集です。
なんと、ロシアではながらく発禁になっていたのだとか。
ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った。しかし戦後は世間から白い目で見られ、みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――。500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした、ノーベル文学賞作家の主著。
澤地久枝さん解説文より引用
なぜ自分の戦争体験を隠さなければならなかったのでしょうか。
その理由は、映画を観れば、何となく理解できます。
戦地妻という蔑み
映画の終盤で、恋人の母親に戦争帰りの主人公が挨拶に行く場面があります。
そこで母親は侮辱的な言葉を繰り返し浴びせ、彼女を帰らせます。
このシーンに、全てが詰まっています。
ソ連では多くの女性が自ら志願し、 兵士として戦った。女性のパイロット やスナイパーも存在した。 だが、戦後 彼女たちの運命は悲惨だった。 男女同権を掲げて発足したソヴィエト政権 は、スターリンの独裁体制の確立とともに保守化し、戦後には女性兵士の存在そのものが国の恥とみなされるよ になっていった。ゆえに彼女らは沈黙した。さもなければ、男たちからは人 殺しの女などと結婚できるかと嘲笑われ、他の女たちからは男目当てで従軍 したふしだらな 「戦地妻」と後ろ指をさされたからだ。
本田晃子さん解説文より引用
このような残酷な現実があることを知ることができてよかったです。
反戦のメッセージを、こんな風に伝える方法もあるのですね。
映画や本って、つくづくすごいのだということを実感しました。
赤と緑
「戦争と女の顔」では、赤と緑を美しく象徴するシーンがたくさん観られます。
赤といえば、共産主義の象徴カラーですが、そのあたりを掘り下げるのはあまりにもセンシティブで、偏った記事になってしまうので、控えます。
しかしながら、イーヤのマーシャに対する思いを緑で表すのはとても美しいです。
ペンキや、ワンピースでもって、だんだんと欲望がマーシャへと伝わっていく。美しくも切ない演出をどうぞご堪能ください。
スパイファミリーはロシアが舞台?
「戦争と女の顔」には、「ターニャ」や「サーシャ」といった名前の人物が登場します。
スパイファミリーで大人気のキャラクター「アーニャ」とよく似ていますよね。
そのため、スパイファミリーはもしかして、独ソ戦あたりをイメージした作品なのかと思い、調べてみました。
結果、スパイファミリーは英独の争いをイメージして作っているそうです。
また、「アーニャ」の名前は、遠藤達哉先生の過去のキャラクターを合わせてできた名前だそうです。
今日の映学
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