E.Tって何の略か知ってますか?
2025年にスティーブン・スピルバーグの『E.T』がIMAX版で全国リバイバル上映されました。
1982年に公開された作品で、名作とはいえ、若い人の中には観たことが無く、今回のIMAX版で初めて観る人も多いんじゃないかと思います。
そこで、今回の記事では、映画『E.T』のネタバレなし解説をお届けします。本記事を読めば、『E.T』がどれほど優れた映画であるかお分かりいただけると思います。
これは、ただの子ども向けエンタメ映画ではありません!
まずは『E.T』の作品概要から!
作品概要
公開年: 1982年
監督: スティーブン・スピルバーグ
脚本: メリッサ・マシスン
メインキャスト:
- ヘンリー・トーマス(エリオット役)
- ディー・ウォレス(メアリー役)
- ロバート・マクノートン(マイケル役)
あらすじ:ある夜、森にUFOが着陸。300万光年の彼方からやって来た宇宙人たちは、追いかけてきた人間に気づき離陸するが、一人だけ置き去りにされる。10歳の少年エリオットが宇宙人をかくまい、彼をE.T.と呼び友情を結んでいく──。
アメリカでは当時の最短記録で1億ドルを突破し、日本でも社会現象となった感動作。アカデミー賞®9部門ノミネート・4部門受賞。20周年アニバーサリー特別篇が公開された際に、スピルバーグは「最も個人的な思い入れが強い作品です」とメッセージを寄せた。https://tohotowa.co.jp/spielberg-imax/
E.Tはスピルバーグ作品では低予算!それ故に…
『E.T』は、スピルバーグの作品の中ではかなり低予算で作られた作品です。
1000万ドルの予算で作られ、E・Tのロボットに150万ドルほどの費用がかかっています。
しかしながら、当時の技術とこの限られた予算で作られたこのE.Tのロボットでは、指先の微細な動きを表現することは難しく、手のシーンは女優がやってるそうです。なので、手のアップだけを映したシーンが結構多いんですよ。
また、予算の都合もあり、有名俳優を起用していません。でも、これが実話スピルバーグにとっては好都合だったんです。
スピルバーグは『JAWS』の撮影時、まだまだ若手で、俳優たちから結構小馬鹿にされるような経験があるんです。演技や撮影に意見を出されたことがかなりストレスフルだったんだとか。加えて、彼の生育環境において、女性に囲まれて過ごすことが多かったので、男性俳優やスタッフはかなり苦手だったんですね。
なので、子役や無名の俳優、また女性ばかりのスタッフで作り上げられた本作は、スピルバーグのアイデアや想いがふんだんにこもっているのです。
ドリュー・バリモア
そんな俳優たちの中で、唯一有名なのが、エリオットの妹役を演じたドリュー・バリモアです。
『チャーリーズエンジェル』で有名な人ですね。
ドリュー・バリモアは、父母、祖父祖母、さらに大叔父、大叔母までも俳優という、俳優一族なんです。
彼女もまた、この『E.T』の出演から俳優街道を登っていくんですが、子役としてのブレイクによるいじめを経験したり、9歳から飲酒・喫煙、12歳でコカイン及びアルコール依存症になったりと、壮絶な私生活を送ります。その関係で、15歳で家族相手に訴訟を起こしたりと波乱万丈な人生。
それでもコンスタントに俳優として着実にキャリアを重ねっていった彼女。すごいですよね。
タイトル『E.T』について
『E.T』のタイトルって、The Extra-Terrestrialの略なんですよ。
地球外生命体というSF用語です。
ストーリー的に、『エリオットと宇宙の友だち』とかそんなホンワカしたタイトルが付けられそうなものですよね。実際、企画会議でもそういった意見が多かったそうです。
でも、スピルバーグは断固反対。SF色の強い『The Extra-Terrestrial』でいくのだと。そして付いたタイトルが『E.T』なんですね。
これ実は、スピルバーグは『未知との遭遇』の続編として『E.T』を元々作るつもりだったからなんです。
『未知との遭遇』の原題は『Close Encounters of the Third Kind』。第三種接近遭遇という意味になります。
『未知との遭遇』では、宇宙人やUFOの接近による恐怖と影響、人々の戸惑いを中心に描いていて、『E.T』はさらに人と宇宙人が近い距離で交流する様子を描いた作品ですよね。確かに、続編と言ってもいいでしょう。
しかし、さらにこのことを裏付ける登場人物がいるんです。それに関しては観た後解説で。
TVではカットされていたシーン
私も実は本作をキチンと観たのは今回が初めてだったと思うんです。
「思う」という曖昧さには理由があって、『E.T』って、私が子どもの頃、よくテレビの金曜ロードショーでやってたんですよ。
だから、ぶつ切りに観たような記憶はあっても、真剣に観たことはないままに、今日まで至ってしまったというわけです。
これは、岡田斗司夫がYouTubeのチャンネルで言ってたんですが、TVで放映された時はエリオットの在るセリフがカットされていたらしいんですよ。
そのセリフとは「解剖するんでしょ?」というものです。
もし現実に、E.Tみたいな宇宙人が見つかったとして、捕獲した後に人間がその後どうするかっていうと、やっぱり解剖すると思うんですよね。大人なら分かるんです。人間にとってメリットがありますもんねきっと。
でも、たくさんの子どもも観ている金曜ロードショーのような番組で、しかも宇宙から来た友だちという設定のE.Tを解剖する。これはTV側からすると避けたい表現だったという訳です。
しかし、私は結構あのセリフって重要だと思うんですよね。エリオットの聡い雰囲気とか、大人にとって宇宙人とはどのような存在であるかとかを気づくことができますから。あと、中盤のあるシーンにも大きく関わってきますからね。
E.Tの能力
E.Tは、人間には備わっていない不思議な能力を持っています。これ、私が鑑賞中に「どういう力なんだろう?」と疑問に思ってしまったので、お伝えしておきますね。
E.Tは大きく、3つの力を持っています。
①テレキネシス ②治癒能力 ③感覚共有 です。
①と②は分かりやすいんですが、③の感覚共有は割といきなりストーリーに入り込んでくるので、戸惑ってしまうんですよね。
具体的にいうと、E.Tが感じたことを、エリオット少年も感じ取ってしまうというものなんです。
E.Tが恐いと思ったらエリオットも恐さを感じるし、愛しいと思ったら愛しいと感じる。ビールを飲んだら酔っ払った感覚まで共有してしまうんです。
この感覚共有能力があることは、実はスピルバーグが表現したかったある想いに重要に繋がってくるんです。
詳しくは観た後解説でお伝えしますね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『E.T』をこれから観る人に向けて、観る前に読んでおくとより味わいが深まる解説をお届けしました。
『E.T』のタイトルや能力を知った上で観ると、よりストーリーが入ってきやすいと思いますよ。
スピルバーグ監督の想いにフォーカスした観た後解説もぜひ読んでみてね!
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