これからの世界を作るのは“新しい人”なんだ
映画「エクソシスト2」を鑑賞しました。
本作は世界中でオカルトブームを巻き起こしたウィリアム・フリードキンの1973年作品「エクソシスト」の続編です。
4年後の1977年に公開されました。
監督が別の人に(後ほど解説しますが、この人も名監督)変わっています。「エイリアン」のパターンですね。
私は「エクソシスト」がとっても大好きなのですが、「エクソシスト2」は、これまで鑑賞してきませんでした。
どうしてどうして?
なぜなら、監督がフリードキンじゃないし、あまりいい評判を聞かないからね。
大ヒット作の続編にありがちなパターンですよね。
でも、観てみると、かなり楽しめる内容でした。
映画って自分で観ないとわかんないもんですね。
今回の記事では、「エクソシスト2」を楽しく鑑賞するためのポイントをいくつか解説していきます。
作品概要
1977年 アメリカ 監督:ジョン・ブアマン
リーガン・マクニールは宙を飛んでいる夢に怯えていた。彼女には見たこともない風景などの幻が見える。あの忌まわしい事件の記憶は全くなく、外見的にはごく普通の明るい16歳の娘に成長していたが、母親の計らいで精神分析療法には通っていた。メリン神父の死の謎を調査するよう命じられたラモント神父は精神病理学者タスキン博士と、4年前の悪魔祓いで何が起こったのか、そして現在のリーガンの深層心理に何が起きているのかを追求し始めた。そして彼らがいきついたのが古代アフリカの悪霊パズズとその象徴であるイナゴの大群だったとは…。
ワーナー公式DVD紹介ページより引用
きちんと4年後に、あれから4年後という設定で公開されています。
そのため、リンダ・ブレアの成長とか葛藤が自然なところがいいですね。
映画好きにとっては重要なポイントが、監督が変わっているという点でしょう!
ジョン・ブアマン監督
ジョン・ブアマン監督は、「太平洋の地獄」や「最後の栄光」、「未来惑星ザルドス」などを監督した人物です。
「太平洋の地獄」には三船敏郎が出演しています。
また、「最後の栄光」ではカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。
そして「未来惑星ザルドス」は今なおカルト的な人気を誇る作品で、あのスタンリー・キューブリックが協力しています。
「未来惑星ザルドス」の評判を受け、「エクソシスト2」の監督に抜擢されたというところでしょうか。
ちなみに、「エクソシスト」は当初キューブリックが監督としてオファーを受けていたそうです。
これらの理由から、フリードキン監督ほどはいかないしろ、十分にこういったオカルト作品に向いた監督であることがわかりますね!
でも、一般的に観て、「エクソシスト2」が「エクソシスト」よりも、明らかに上回るポイントがございます。
音楽がエンニオ・モリコーネ
本作の音楽は、あのエンニオ・モリコーネが務めています。
エンニオ・モリコーネといえば、映画音楽の大家です。
音楽、めちゃくちゃ美しいですよ…。
時に、ホラー・オカルトらしからぬメロディが流れますが、そこがまた崇高なミスマッチでいいんです。
チューブラー・ベルズのようなインパクトはないにしろ、映画音楽をしっかりと堪能できる作品に昇華しています。
しかし、第一作のファンとしては、全く違う作品としてではなく、やはり前作を引き継いでいるところも嬉しかったので、ここからそのあたりを解説していきます。
リンダ・ブレア以外にも同じ人が出ているんだよね?
マックス・フォン・シドーがちゃんと若い
まずは、マックス・フォン・シドーが新たなシーンで登場しているのがなにより嬉しいポイントです。
マックス・フォン・シドーは、「エクソシスト」で老け顔メイクを施して出演していました。
ディック・スミスという偉大な特殊メイクアーティストの手によって、44歳という実年齢から遠く離れた70歳前後の見た目で出演しています。(ゴッドファーザーのマーロン・ブランドもこの人のメイクです)
本作でマックス・フォン・シドーは過去にアフリカで行った悪魔祓いの回想で登場しているのですが、この時はほとんどメイクがないので、ちょうど50歳くらいの見た目なんですよね。
ちなみに、「エクソシスト2」でもディック・スミスは特殊メイクを担当しています。
そのため、リーガンの悪魔祓いの回想シーンでは再び老け顔メイクを拝めますし、リーガンの悪魔メイクもお見事です。
シャロンって誰や?
もう一名、前作から登場しているのが、キティ・ウィン演じるシャロンというキャラクター。
「エクソシスト」ではめちゃくちゃちょい役なんですが、本作ではめちゃくちゃ活躍します。
リーガンの家庭教師というか、お手伝いみたいな役の女性です。
メリン神父とパズズの激闘を肌で知っている人物として重要なキーを握っています。
こんな人いたっけか?と思って「エクソシスト」をすぐに見返しましたが、ちゃんと出てました。
歳をとったお手伝いさんともう一人若い人がいるんですが、その人です。
マクニール家って裕福なんですね…。
加えて、彼女の存在により、あんな恐ろしい出来事があっても、長い間リーガンが親からの愛情を受けにくく、悪魔の夢に悩むことを相談しづらいという状況を物語っています。
女優として生きたい母、あるいは女一人で子を育てることの難しさ、様々な要素が見えてきますよね。
イナゴが表すもの
本作では、イナゴが重要なものとして登場します。
イナゴって、十の災いっていう、古代エジプトで奴隷状態にあったイスラエル人を救出するために神様がもたらした災いの一つなんですよね。
エジプトとその王ファラオをコテンパンにするために放ったのがイナゴだったんです。
このあたり、やはり「エクソシスト2」もキリスト教批判的なメッセージがあるっぽいですよね~。
ジョン・ブアマンも恐らく、ユダヤ人か、もしくはキューブリックのような無神論者なのではないでしょうか。
「未来惑星ザルドス」も宗教批判だって言われてますもんね…。
アフリカにおけるキリスト教
本作では、アフリカ大陸も重要な舞台になっています。
教会というか、神殿というか、洞穴というか…、独特なものが出てきます。
アフリカにおけるキリスト教って、どのようなものなのか調べてみました。
なんとなく、シャーマニズムが強いのかなと思っていましたが、主にイスラム教とキリスト教の信者が多いようです。
もちろん、土着の神を信じる文化もあります。
また、コクモというキーキャラクターはエチオピア出身だと言っていました。
エチオピアはこれまた独特で、歴史的な背景から、ユダヤ教とキリスト教と混じった特有のエチオピア正教会というものが存在するのだそうです。
確かに、十字架とか、イエス風味の壁画はあるものの、祈祷や礼拝のシーンはめちゃくちゃ独特でした。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「エクソシスト2」を楽しむためのポイントを解説しました!
これはこれで、オカルトとして面白いし、宗教観の勉強にもなります。
モリコーネの音楽も素晴らしいです。
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