原作者が自らメガホンを撮った本作は、愛が深い。
「エクソシスト3」を鑑賞しました。
先日「エクソシスト2」を初めて観たので、流れで観ちゃいました。
本作もまた、フリードキン監督ではないので、少し不安を抱きながら観た訳ですが…
結論から申し上げますと、かなり好みの作品でした。
「エクソシストは一作目だけ」なんて、とんでもないって感じだね!
それでは早速、見どころの解説に参りましょう!
作品概要
原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティが、『エクソシスト』で最も気に入っていたキャラクターのキンダーマン警部を主人公にした物語を構想し、続編として『Legion』を書き上げ、自ら映画化した作品。『エクソシスト2』の出来に不満を持ったブラッティが1作目『エクソシスト』の正当続編として作っています。
STORY:
1990年、春。ポトマック河畔に黒人少年の首なし死体が上がる。その右手に彫られた双子座を見た途端、キンダーマン警部(ジョージ・C・スコット)の脳裏に15年前起きたそっくり同じ手口の連続殺人の記憶が蘇える。しかし犯人は処刑されたというのに。不吉な予感を裏付けるように第2の事件が起こる。
映画.comより引用
監督の原作への愛が強い分、「エクソシスト」との繋がりがめちゃくちゃ深いので、「エクソシスト」を鑑賞してから観るのがいいかもしれません。
とはいえ、2時間観てから観るのはちょっと…、という方へ向けて、次項で簡単に登場人物の繋がりを解説しておきます。
登場人物の繋がり
「エクソシスト」から引き継ぐかたちで登場するキャラクターは主に、キンダーマン警部、ダイアー神父、カラス神父の3名です。
キンダーマン警部とダイアー神父
キンダーマン警部は、ジョージ・C・スコットが演じています。
キューブリックの「博士の異常な愛情」でタージドソン将軍を演じた人ですね。
本作でも、ごつい身体は健在です。
「エクソシスト」で、カラス神父のランニング中に話しかけてきたあの刑事さんです。
ダイアー神父は、カラス神父の靴を脱がしてた人です笑
あと、ラストシーンでマクニール家を見送り、階段を見下ろしていたのもこの人ですね。
どうしてこの2人が、「エクソシスト3」で主演級のキャラクターになったかというと、ブラッディ監督が好きなキャラクターだからでしょう。
「エクソシスト」のディレクターズカット版では、マクニール家を見送った後、この二人が会話を交わすシーンがあるんです。(私は「エクソシスト」を観る時、ほとんど通常版を観るので記憶にないのですが)
スパイダーウォークとか、首の一回転とか、興醒めするシーンが多いように感じるので、個人的には通常版の方が好きなんですが、どうもディレクターズカット版の方が、原作に近いらしいんです。
やや救いのあるラストシーンに仕上がっているみたいなんですよね。
ブラッディ監督はこちらの方を好んでいるのでしょう。
カラス神父(ジェイソン・ミラー)
本作ではカラス神父をジェイソン・ミラーが演じています。
「エクソシスト2」では一切登場しなかったので、ちょっと嬉しいですよね。
患者Xという役で出てくるんですが、これが何と本物のカラス神父という設定。
悪魔パズズが、カラス神父の肉体の死後、殺人鬼の魂を憑依させ蘇らせたのです。
元々、ジェイソン・ミラーは当時アル中で、出る予定はなかったんですが、無理を押して出演しています。
セリフをほとんど覚えられなかったので、それをうまく逆手にとって、殺人鬼の顔とスイッチするという演出をしているんです。
あれ、初めて切り替わった時ドキッとしませんでした?
あの映画が凄い使われ方を…
本作では、結構映画のネタが多く登場します。
中でも目立つのが「素晴らしき哉、人生!」です。
もう、本当にすごい使われ方でビックリしますよ笑
この映画で一番たまげたポイントなので、ネタバレはなしにしておきます。
ゾディアック事件を基にしている?
私は本作を観て、“ゾディアック事件”をベースに考えたのではないかと感じました。
デビッド・フィンチャーも映画にしたあの事件です。
シンボルを残す連続殺人犯、警察内部しか知らないことを知っている、新聞に声明を出す
などなど、ゾディアック事件を彷彿とさせるものがいくつもあります。
そのため、本作は、刑事サスペンスとしての味わいも深いです。
「ゾディアック」や「ダーティハリー」が好きな人にもオススメ。
意外性バツグンのホラー
「エクソシスト3」は「エクソシスト」のように強烈なグロテスクなシーンはありません。
犯行は全て度を越して猟奇的ですが、シーンとして映ることはなく言葉で語られます。
でも、中盤以降にある、ハサミのシーンと天井のシーンは、結構怖いです。
「ここできますか!」
という意外性があります。
特に、ハサミのシーンはかなり長回しのワンカットなので、緊張感がもの凄い。
そのあたりが、普通の映画監督とは違って面白いよね。
悪魔は神父の身体が欲しい
本作では、パズズや殺人鬼が、神父の身体を欲しがっていることが判明しました。
これ、先日公開された「ヴァチカンのエクソシスト」でも同じことを言ってました。
神父の身体を乗っ取れば、信者や他の神父たちにも干渉できるため、内部から崩壊させることができるからなんですって。
悪魔って、賢いし、粘り強いですよね。
キンダーマン警部がカッコいい
私は本作を観て、ブラッディ監督同様、キンダーマン警部がとても好きになりました。
人を惹きつける寛容さや、明朗快活さに加えて、愛と強さを持っているキャラクターです。
終盤に悪魔と対峙する時に彼の放つセリフが本当にカッコいい。
あんなにイカしたサノバ○ッチはないんじゃないでしょうか。
悪魔に「俺の力を信じるか?」と問われた後の返答です👇
信じる。
死を信じる。病気を信じる。
不正と不義を信じる。
苦痛と怒りと憎悪も信じる。
殺人や傷害を信じる。
残虐や不誠実を信じる。
汚物や腐臭を信じる。
不快な小動物やあらゆる醜悪と堕落を信じる。
You son of a b××ch!I believe!
and you.
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「エクソシスト3」の解説をお届けしました。
ブラッディ監督の作品愛を感じつつ、人間の強さや美しさを描いたドラマチックな作品です。
サスペンス好きにもオススメだよ!
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