おまえは、信じていないだろう…?
映画『エクソシスト 信じる者』を鑑賞しました。
本作は1973年の『エクソシスト』の正式続編で、50年ぶりの新作となっています。
『エクソシスト』ファンとしては見逃せないね!
私はフリードキンの『エクソシスト』も、
ジョン・ブアマンの『エクソシストⅡ』も、
ウィリアム・ピーター・ブラッティの『エクソシストⅢ』も、
全部大好きです!
先日は午前十時の映画祭で『エクソシスト』ディレクターズカット版を劇場鑑賞してきました👍
なので、『エクソシスト 信じる者』も予告が公開された時点で観に行くことを決めていました!
しかし、大作の続編とかリブート版って、酷評されがちですよね…。
実のところ、本作も某映画サイトのレビューはあまりよくありません。
それだけ、初期作が愛されているということではあるんですが…。
そこで、今回の記事では、『エクソシスト 信じる者』が大作の続編として、納得できるものなのかどうかを見どころと共に解説していきます!
初めに、結論から申し上げますと、『エクソシスト』ファンならば、観る価値ありです!
作品概要
50年ぶりの続編となる『エクソシスト 信じる者』。
今回は二人の少女が悪魔に憑りつかれます。
ヴィクターは12年前に妻を亡くして以来、1人で娘のアンジェラを育てている。
https://exorcist-believer.jp/
ある日、アンジェラと親友のキャサリンが森へ出かけたきり行方不明となるが、3日後に無事保護される。しかし、その日から彼女たちの様子がどこかおかしい。突然暴れ出し、叫び、自傷行為を行うなど常軌を逸した行動を繰り返す2人・・・。
ヴィクターはかつて憑依を目撃した経験者クリス・マクニールに助けを求め、悪魔祓いの儀式を始めるが、それは想像を絶する危険な試みだった。懸命に見守る親達を嘲笑い悪魔は問いかける。
1人は生き残り、1人は死ぬ。どちらかを選べと――。
監督は『ハロウィン』のリブート版を2018年から手掛けたデヴィッド・ゴードン・グリーン。
実はこのリブート版の『ハロウィン』はかなり評価が高いんです。
ジョン・カーペンター版の『ハロウィン』ファンも結構好んでいる人が多いんですよね。
また、製作は『ゲット・アウト』『M3GAN/ミーガン』をはじめとした異色のヒット作を生み出し、ホラー・スリラー界を牽引し続けるブラムハウスが手掛けます。
ブラムハウスは、かなり多くのホラー作品をヒットさせていますので、そこそこ安心して観られそうですよね。
ちなみに個人的にはブラムハウスの作品で『ハッピー・デス・デイ』『ヴィジット』『ザ・スイッチ』あたりもオススメです。
ブラムハウスのホラー作品って、コメディ寄りのものとか、斬新なアイデアのものも多いんですが、今回の『エクソシスト 信じる者』は直球の悪魔祓い系ホラー作品です。
過去作との関連
ここから先はややネタバレを含みますので、鑑賞前の人はご注意ください!
本作は正式続編ということもあり、過去作との繋がりが結構あります。
中でも、初代『エクソシスト』のキャストが出演している点は見逃せません。
リーガンの母、クリス・マクニールを演じた、エレン・バースティンが何度も登場します。
しかも、クリス・マクニールとして。
娘の悪魔憑きを経験した彼女はその後、一冊の本を執筆し、それが大ヒットしたという設定で、今回の被害者にも協力します。
本を出したことで、娘のリーガンが怒って家出をしてしまい、それ以来音信不通だという悲しいエピソードも。
そして、なんとそのリーガン・マクニールも最後にチラッと出演しています。
これもまた、リンダ・ブレアが演じているんです。
これは、ファンにとってはたまらないものがあるのではないでしょうか。
まさか、リンダ・ブレアの今の姿をスクリーンで観られるなんて…。
他にも、冒頭の犬の格闘シーンも『エクソシスト』の遺跡のシーンを彷彿とさせます。
診療のシーンは、『エクソシストⅡ』っぽくもあり、プレイルームのシーンは『エクソシストⅢ』っぽくもありました!
そして、見逃せないのがクリス・マクニールの
「また会ったわね…」
というセリフ。
そうです。今回の悪魔も初代『エクソシスト』と同じ悪魔、パズズなんですよ!
信仰心の揺らぎ
また、本作では、初代『エクソシスト』同様、信仰の揺らぎを危惧するメッセージが込められているように感じました。
もう、タイトルに「信じる者」が入ってますもんね。
初代『エクソシスト』が公開された時は、欧米でカウンターカルチャーが沸き立っており、宗教よりもラブアンドピースに熱狂する若者で賑わっていました。
フリードキンは、そのあたりのメッセージを込めて、神を信じられないカラス神父を前面に押し出しているんですよ。
本作『エクソシスト 信じる者』では、主人公である父親がそういった立ち位置です。
周りの人は教会に足を運んでいるけれど、自分は神を信じていない無神論者。
そんな彼が最後に信じるものとは一体なんなのか。
このあたりが本作の見どころですね!
また、教会で説教をするスーツの男性も特徴的です。
多分、神父ではなくプロテスタント教会の牧師だと思います。
彼の容姿が、バイデン大統領によく似ているんですよね…。
これもまた、政府を信じることができるのか、といったメッセージかと思われます。
隣人との絆
また、本作では、主人公の周辺の人々が、共に悪魔と闘います。
もちろん、クリス・マクニールや祈禱師など、専門家の手も借りるのですが、
隣家の男性と女性、娘のクラスメイトの両親などが中心となって闘います。
もう、ご近所物語って感じです。
サザエさんでいうところの、いささか先生とか、サブちゃん、花沢さんの両親と一緒に悪魔と闘うようなものです笑
このアットホーム感が、結構面白いんですよ。
これもまた、核家族化で希薄となった隣人との触れ合いや協力の大切さのようなものを伝えているのでしょう。
ジャバウォック
本作では、チラッと「ジャバウォック」という言葉が登場します。
二人の少女が行方不明になった際に、学校の教室で本の読み聞かせをするという場面です。
ジャバウォックは、ルイス・キャロルによるイギリスの児童小説『鏡の国のアリス』にある架空の生物。
同書の中に登場する詩『ジャバウォックの詩』の中で語られており、映画の中でもきっと子どもに『鏡の国のアリス』を先生が読み聞かせているのでしょう。
ジャバウォックは森に生息しており、鋭い鉤爪と牙による攻撃を得意とし、燃えるような赤い目を持ち、ふらふらと、または揺れるようにゆらゆらとした様子で歩く怪物とされています。
しかし、一方で、しかしその恐ろしげな姿は、あまり目のよくなさそうな表情や出っ歯、中産階級の着るようなベストとスパッツを胴体に身に着けているなど人間らしい滑稽な見た目で、いくらか和らいでいます。
なぜ悪魔と関係の無いこの怪物が登場したのかを考えてみましょう。
「ジャバウォック」は、何かを比喩する象徴的な言葉として用いられることが多いんです。
『パンズラビリンス』の怪物と同様ですね。『鏡の国のアリス』自体、そういった比喩がたくさんこめらているのでしょう。
原作者のルイス・キャロル自身は、「ジャバ」は「熱狂的な発言」、「ウォック」は「子孫」、そして「ジャバウォック」は「激論の賜物」または「議論の賜物」を意味すると解説しています。
そのため、ジャバウォックは、このように論議されることを前提に創作された怪物と解釈できるんです。
映画の中では、子どもたちは、一体どうして様子がおかしくなったのか。
不審者の仕業か、思春期ゆえの反抗か、それとも悪魔の仕業か…。
といった議論をするためのメタファーとして、使用されたのでしょう。
子どもたちに不気味な話を読み聞かせるというシーンで、それを伝えるのはなかなか味な演出ですよね。
また、「ジャバウォック」は剣で首を切られ、簡単に退治されてしまうため、無意味なことを喋るばかりの論議の場を真理の言葉で一刀両断する比喩だとする解釈も存在します。
こちらの場合、教会での説教に対する社会的なメッセージや、
「悪魔のせいに決まってるだろ!」という、単にストーリーに沿ったメッセージなのかもしれません。
『エクソシスト 信じる者』は恐い?
さて、肝心の恐さですが、これに関してはイマイチです。
私はホラーを見慣れてしまっているので、よっぽどの作品でなければ恐がることはないので麻痺してしまっているだけでしょうが、あまり恐い部類ではなかったかなと思います。
でも、悪魔と対峙している時の、サブリミナル的な演出は結構いい感じ。
映像がこびりつきます笑
これもまた、初代『エクソシスト』と同じですね。
特殊メイクもそこそこといった感じ。
目を覆いたくなるほど、激しいものはなかったですね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『エクソシスト 信じる者』の見どころや、続編として楽しめるかどうかを解説しました!
ファンならば、観に行って損はない作品だよ!
1つのホラー映画として、恐いかと言われると、そうでもありませんが、メッセージは込められているので見ごたえはありますよ👍
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi
コメント