ラストのセリフ、ご存じですか?
「アイズ・ワイド・シャット」を鑑賞しました。
スタンリー・キューブリックの遺作となった作品です。
実はこの映画には、キューブリックの遺言となる大きなメッセージが込められていることをご存知でしょうか?
今回の記事では、アイズ・ワイド・シャットの見どころと、謎多き物語の解説をお届けします。
ネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください!
はじめに
私にとって、今回が二度目の鑑賞。
初めて観た時は、大学生くらい。
シャイニング、時計仕掛けのオレンジに衝撃を受けたので、続けてキューブリック作品を観てみようと思って鑑賞した次第です。
かなり身構えたのですが、少し拍子抜けしました。
あんまり怖くもないし、ぶっ飛んでいる訳でもない。
ただただエロティックで、よく分からない。
奇妙な映画だなぁ。まあ中にはこういう映画もあるのか。
と、自分の心にそこまでフックしなかった作品の一つであります。
しかし、キューブリックの凄さを知って、10年以上の時を経て再鑑賞すると、また見え方が変わってきました。
この映画は、3つのポイントを押さえてみれば、映画の意味がハッキリと分かる作品なのです。
ここから先、大きくネタバレを含む解説となりますので、未鑑賞の方はお気を付けください。
物語を紐解くヒント①
一つ目のポイントは、この映画のほとんどが、トム・クルーズ演じる主人公ビルの夢であるということです。
原作に関して
そもそも、「アイズ・ワイド・シャット」の原作は「夢小説」というタイトルです。
妻の名前
妻の名前は「アリス」です。
もちろん、「不思議の国のアリス」が元ネタ。
これもまた、夢であることを示唆しているのでしょう。
ビルが手にする〇〇
ビルが尾行される際に、新聞紙を手にするシーンがございます。
この新聞には”LUCKY TO BE ALIVE”と見出しに書かれています。
”運よく生きのびた”というビルの現状と重ねっているため、これも夢である証拠の一つです。
Rainbow
作中で”Rainbow”というワードが何度か出てきます。
序盤のパーティでモデルの美女2人のセリフ”虹の向こうへ行きましょう”と、
貸衣装屋の店名も”Rainbow”です。
これは映画「オズの魔法使い」で使用される”Over the Rainbow”とかけているのです。
「オズの魔法使い」もまた、夢や幻想の世界を舞台としている作品ですね。
物語を紐解くヒント②
二つ目のヒントは、タイトル「Eyes Wide Shut(アイズ・ワイド・シャット)」に込められています。
この映画ではそのタイトルに基づいて、夫婦のあり方や、夫婦愛について伝えているのです。
結婚式のスピーチ
タイトルの「Eyes Wide Shut(アイズ・ワイド・シャット)」は、直訳すると、”目を大きく閉じなさい”になります。
本来は「Eyes Wide Open」”目を大きく開きなさい”になるはずですよね。
この2つの言葉は、アメリカの結婚式でよく使われる表現です。
結婚する前は「Eyes Wide Open」相手をよく見て選んで、
結婚してからは「Eyes Wide Shut」あまり細部まで観ないようにしましょう。
という意味合いです。
トイレのシーン
上記のことを踏まえて、トイレのシーンを思い返してみましょう。
用を足しているのを観ても・観られてもいい。
そんな関係に夫婦がなるのはよろしくない。
「Eyes Wide Shut」でいきましょうよということですね。
妻の欲求
今作では、アリスがラリっている時に、自分にも浮気願望があったことを告白することで、ビルが不安に襲われ、おかしくなってしまう様を描いています。
こういった、性的欲求に関しても、なにもかもオープンにするのではなく、ある程度目をつぶった方が上手くいく。
「Eyes Wide Shut」でいきましょうよという訳です。
Fidelio
秘密クラブの屋敷へ入る合言葉”Fidelio(フィデリオ)”
これもまた、タイトルになっています。
ベートーヴェンのオペラのタイトルです。
幽閉された夫を救う妻が主人公のオペラです。
これもまた、今作が結局、夫婦の愛や在り方を表現しており、これはキューブリック自身の妻へ向けたメッセージでもあるのかなあと思います。
物語を紐解くヒント③
三つ目のヒントは、ラストのセリフにあります。
この映画は、キューブリック監督の遺作です。
その最後のセリフが何と”F※※K”なのです…!
F※※K
このラストのセリフは表面上、
”問題のあった夫婦が仲を戻すために今すぐ必要なことそれはF※※Kなのよ”
というアリスのセリフです。
しかしこれは、それ以外にも、キューブリック監督の想いが込められているのです。
出来に不満足
キューブリック監督は、今作の出来が不満足だったそうです。
主演のトム・クルーズとニコール・キッドマンは当時本当の夫婦でした。
共に30代前半。ハリウッドのビッグカップルですね。
そんな二人が好き勝手に演じたから、あまりキューブリック監督としては納得のいかない出来だった言われています。
映画の不出来に対する”F※※K”
映画業界の闇
今作で有名なのが、秘密クラブでの乱交シーンです。
あれは、当時存在した秘密結社がそういうことを行っていた事実を基にしたと言われています。
しかし、それとともに、映画業界で行われていた性的搾取に対するリークでもあると言われています。
今作は、超秘密裏に制作された映画で、試写会ですら、主演二人とワーナー・ブラザースの関係者2名のみで行われました。
映写技師ですら追い出されたほどの徹底ぶり。
ギリギリまで映画の内容は世間に公表されなかったのです。
キューブリック監督は、映画業界のそういった汚れに非常に敏感だったので、この最後の映画でリークしてやろうという目論みがあったのかもしれません。
この映画公開直後に、キューブリック監督は亡くなっています。
心臓麻痺だと言われていますが、本当ですかね…。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
謎多き映画「アイズ・ワイド・シャット」を紐解く3つのヒントを解説しました!
よくわからなかった人も、ぜひ上記を踏まえて再鑑賞してみてください!
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