この映画において“ひまわり”は何を象徴するのだろうか
映画「ひまわり」をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
1970年と古い作品ですが、ロシアウクライナ戦争の只中において、再び注目が集まっています。つい先日まで、HDレストア版が、全国のスクリーンで上映されていたほどです。
確かに、今こそ観るべき作品です。
Amazon Prime Videoの観放題で観ることができるよ!
STORY:
第二次世界大戦下、陽気なアントニオ(マストロヤンニ)と結婚したナポリ女のジョバンナ(ローレン)は、夫を戦争に行かせないために狂言芝居までするが、アントニオは地獄のソ連戦線に送られてしまう。
終戦後も戻らない夫を探すために、ジョバンナはソ連に向かい夫の足跡を追う。しかし、広大なひまわり畑の果てに待っていたのは…
ひまわり 50周年HDレストア版公式サイトより引用
解説
本作の音楽はヘンリー・マンシーニ。
「ピンクパンサー」や「ティファニーで朝食を」がゆうめい。
あまりにも美しく、それだけでも泣けます。
監督は「自転車泥棒」のヴィットリオ・デ・シーカ。
初期はネオリアリズモと呼ばれる、戦後イタリア社会の問題をテーマにした作品を多く手がけました。
しかし、キャリア後半はコメディ路線へ。
ソフィア・ローレンと、マルチェロ・マストロヤンニの名コンビによる「昨日今日明日」、「ああ結婚など」でコメディ路線の映画がヒットします。
本作「ひまわり」は、社会派のネオリアリズモと、コメディの合体作品です。
前半はコメディ調で、後半は戦争ドラマになっているんですね。
当時のイタリアでは人情的な法律があり、結婚したら2週間ハネムーンとして戦争にいかなくてよかったそうで、そのあたりのシーンをコミカルに描いています。
この当時は、ソ連は鉄のカーテンと呼ばれ、冷戦真っ只中だったんですが、それを越えてソ連で撮影したのはすごいですね。
ちなみに、ひまわり畑はウクライナで撮影されています。
ここで映画を象徴する「ひまわり」について解説を🌻
ひまわりはソ連を象徴する花でした。
世界で先駆けて、種を使って油をとって工業製品にし、産業として成功したんです。
劇中に出てくるひまわり畑の下には、兵士たちの死体が埋まっているんですよね。
でも、民間人も埋まっているんです。スターリンの粛清によって。
それらが、花を咲かせているんです。
そういったソ連の歴史を物語るためにひまわりを使ったのと、
戦争で男が死んでも、女性はそこに根を張って太陽の方を向いて生きているという比喩も込められているのではないでしょうか。
戦争の悲しさという点では、墓地のシーンも強烈ですね。圧巻です。
ちなみに、本作では「カチューシャ」という名前の女の子が出てきます。
カチューシャって、ロシアではよくある名前で、
大正時代の人気女優、松井須磨子が『復活』の舞台公演でカチューシャという役を演じた際に、あの髪留めを頭につけていた。
その姿から「カチューシャ」という名称が定着したんだとか。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「ひまわり」の時代背景や、タイトルの意味を解説しました。
もの凄い傑作ですね。
今こそ観たい1本です。
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