『ホームワーク』軽いようで深刻な子どもたちの悩み

ドキュメント・ノンフィクション系映画

君たち、宿題はしてきたかな?

映画『ホームワーク』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。

イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督によるドキュメンタリー映画です。

1989年の作品ということで、決して新しくはないんですが、今観ても斬新だし、攻めた内容だと思います。

当時のイランの問題を浮き彫りにした、メッセージ性の高い作品です。

ダニー
ダニー

タイトル通り、宿題に関する内容なんだよね。

bitotabi
bitotabi

本作の冒頭で、キアロスタミ監督はこのように語っています。

子どもの宿題を手伝っていて、考え込んでしまった。

宿題は子どものためのものなのに、大人の方がずっと大変じゃないか。

そこで学校にカメラを持ち込んで他の子どもたちはどうか調べてみようと思って。

我が家だけの問題かそれとも教育システムに問題があるのか。

他の子どもや親たちの考え方を調べてみたい。

子どもたちの宿題についての映像リサーチだ。

といった監督自身のセリフで始まるんですね。

まず、大前提として、当時のイランの学校では、大量の宿題を出され、子どもたちは家でゆっくりテレビを観る時間もなかったそうです。

そして、監督のセリフに対し、日本人だと、今一つピンと来ないと思いますが、イランでは、小さな子どもたちの方が親よりも賢いんです。

どういうことかというと、これは当時のイランの識字率にあるんですね。

1989年頃、イランの大人たちはまともな教育を受けてこなかったんです。

そのため、両親は字を読み書きできなかったり、識字センターに通ってたりしたんですね。

これはイタリアの映画ですが、『ニュー・シネマ・パラダイス』のアルフレードも、おじさんだけど学校でテスト受けてましたよね。あんな感じです。

そのため、お母さんの識字センターの宿題を子どもが見ていたケースもあったんだとか。

アンケートをとったところ、37%の親が文盲で、子どもの宿題を見てやれなかったそうです。

しかし、残りの字が読める親たちも、必ず宿題を手伝えるわけではありません。

字が読めたとしても、疲れや忙しさで苛立ち、見てやれず、親の責任が果たせないことを教師に対して詫びていたのだとか。

そのため、宿題を教えてやるのは兄や姉の役目だというケースも多いんですが、教わってきた解法が違ったり、教え方がわからなかったりして、衝突してしまうんですね。

兄弟姉妹がもめると、親も叱らざるをえない。

手を出して叱ることもしばしば。

暴力のスパイラルが生まれてしまうと。

インタビューを受ける中に、有識者の大人も登場します。

その方曰く、

イランの子どもたちは非常に抑圧されている。

難しくとも、子どもたちの創造力を伸ばす方法を考えなくてはならない。

もっと自由に。

子どもは悪戯っ子の方がいい。そうやって知恵を働かせて規則に対処するんだ。

親にも教え方を教えてやらなければ。

川で魚を獲って与えるのではなく、魚の獲り方を教えてやろう。

またこの人は日本についても言及しており、

日本のように伝統的に厳しく教育をする国では子どもの自殺率が高く、教育システムの見直しが始まっていると言っていました。

最後に、監督のインタビューを受ける前に泣いちゃう子がいるんです。

この子が泣いてしまう理由にこそ、当時のイランの問題が詰まっているんですよね。

その理由については、ご自身で映画を観てお確かめください。

ダニー
ダニー

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ホームワーク』について解説しました。

bitotabi
bitotabi

流石はキアロスタミ監督です。やっぱり刺しこみ方が違いますね。

 

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