映画は人々を操る手段であってはならない
クエンティン・タランティーノ監督の2009年作品、『イングロリアス・バスターズ』。
この映画は、ナチス政権下のドイツで、人々を操る手段として、映画が用いられている様子が描かれるんです。
そういった、国民をコントロールするための目的に作られる映画って、存在するんですよ。特に、戦争中は、戦争で功績を残した人や、国のために闘うことは素晴らしいものであると、人々に思い込ませるために、映画にして見せていたという歴史があるんですね。こういった映画を国威高揚といいます。
『カサブランカ』みたいな名作もあるんですが、大抵は人々を洗脳したり、独裁者や政治家が国民をコントロールするた下めのあまりよろしくないものが多いんです。(ロバート・ゼメキスの映画もそういうところがあるのでご注意)
特にナチス政権下はそんな映画がほとんどでした。
『イングロリアス・バスターズ』では、そんなナチスの企みを壊してやろう、映画はそんな手段で用いられるようなものじゃない、映画ってもっと素晴らしいものなんだ。という、クエンティン・タランティーノの熱い想いがこもっている映画だと言えるでしょう。
タランティーノ監督は、どの作品も映画への愛がたっぷり詰まっている感じがするよね。
その通り!『イングロリアス・バスターズ』では、そのストーリーのみならず、氏の愛した映画に対するオマージュもたくさん詰まっているんです。今回の記事では『イングロリアス・バスターズ』でオマージュされた作品についてまとめました。あとついでに映画に出たきた表現の中で少しだけ分かりにくいところを解説します。
7つのオマージュ
1. 『ザ・ダーティ・ダズン』(1967): 第二次世界大戦を舞台にしたアクション映画で、特殊部隊がナチスを打倒するために派遣される物語です。「イングロリアス・バスターズ」の基本的なプロットは、この映画に似ています。
2. 『ジ・イーグル・ハズ・ランデッド』(1976): ナチスの特殊部隊がイギリスに侵入するという物語で、この映画もタランティーノの映画に影響を与えたと言われています。
3. 『ウン・ドルード・ネロ』(1968): イタリアのマカロニ戦争映画で、タイトルの一部が「イングロリアス・バスターズ」に使われました。この映画も戦争の暴力や英雄的行動を描いています。
4. 『サンセット大通り』(1950): ランダ大佐がナチスドイツの終焉を「サンセット」として象徴的に表現するシーンがあります。この映画はハリウッドの暗黒面を描いたもので、タランティーノもその影響を受けています。
5. 『ローリング・サンダー』(1977年): アルド・レイン中尉という登場人物は、俳優のアルド・レイと映画『ローリング・サンダー』の主人公チャールズ・レインに由来しています。
6. 『地獄のバスターズ』(1978年)の: イタリアの戦争映画ジャンルで、粗暴で暴力的な描写が特徴です。タランティーノはこのジャンルの大ファンで、「イングロリアス・バスターズ」にもその影響が見られます。中でもイタリアのカルト映画『地獄のバスターズ』(1978年)の影響が大きくあります。タランティーノ監督はこの映画を非常に愛しており、彼の作品にもその影響が色濃く表れています。『地獄のバスターズ』は第二次世界大戦を舞台にしたイタリアのマカロニ戦争映画で、特殊部隊がナチスの目標を破壊するために派遣されるストーリーです。この映画の荒々しいアクションシーンや無頼漢のキャラクターたちは、『イングロリアス・バスターズ』にも通じる要素です。
6. 『スカーフェイス』(1983年):ラストでバスターズのメンバーが機関銃で撃ちまくるシーンは、『スカーフェイス』のラストと似たエネルギーと暴力性を持っています。特に、『スカーフェイス』でアル・パチーノ演じるトニー・モンタナが、自宅の階段で機関銃を使って防御しようとするシーンは非常に有名で、銃撃戦の激しさと緊張感が特徴です。
シーン解説
①ルージュカーペット:『イングロリアス・バスターズ』でブラッド・ピットが「レッドカーペット」を「ルージュカーペット」と言った理由は、キャラクターのラルド・レイン中尉がフランス語の「rouge(赤)」を使って冗談を言っているからです。これは言葉遊びで、フランス語の「rouge」を使って「赤いカーペット」を指しています。彼のキャラクターの魅力とユーモアを示す軽妙なシーンです。
②ラストシーン:ハンス・ランダ大佐との取り引きに応じるものの、彼を許すわけではありません。カギ十字を刻むことで、ランダが一生涯その罪を逃れられないようにし、ナチスの戦犯としての烙印を押しています。これはレイン中尉が個人的な復讐心と正義感から行った行動であり、ナチスへの強い反感を示しています。この行為によって、取り引きは成立しても、彼がナチスを許さないことを明確にしています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『イングロリアス・バスターズ』で描かれた7つのオマージュについて解説しました。
本当はまだまだあると思うんですが、私がキャッチできたのはこれくらいでした。
タランティーノ作品は、こっちの映画愛も試されているような気がするから、気合が入るよね。
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi
コメント